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トイレ掃除の方法と頻度は? 「トイレ掃除」10の法則【最新版】

住生活ジャーナリストの藤原千秋が、正しいトイレ掃除や頻度、お手入れのヒント、トイレ掃除10の法則をご説明します。臭いが気になる、あるいはハッキリ臭い、ないしは目に見える汚れがすでにあるようなトイレを、的確に快適な環境にするには?

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

トイレ掃除の方法と頻度は合っている? トイレ掃除10の法則

トイレ掃除の方法と頻度

トイレ掃除の方法と頻度

排泄の場、ゆえに多少臭くても仕方がないような気がするトイレですが、実はいまどきの水洗トイレであるならば手入れの仕方次第で、ほとんど無臭にすることも不可能ではありません。

においが気になる、あるいはハッキリ臭い。そして目に見える汚れがすでにあるような場合。現状の掃除の方法ないしは掃除頻度を「間違えている」可能性が……。

快適なトイレ環境を実現するには何をどうするべきなのでしょうか? トイレ掃除の正解のヒント、10の法則をご説明します。
 
<目次>
 

法則1. トイレのにおい、汚れは「使用頻度に比例」して増す 

学校や公共の場のトイレで自明ですが、普通に用を足している限りにおいや汚れはトイレの使用回数、使用頻度に比例し、増えます

一人暮らしより二人暮らし、四人家族より五人家族の方がトイレ掃除の頻度、深度を増やす必要があるということですし、外出しがちなライフスタイルが在宅傾向に移行したならば、従来の掃除頻度では足りない可能性があるということです。
 

法則2. トイレのにおい、汚れは「家族の年齢、性別、体調」による

加えて、使用者が不特定ではない家庭のトイレの場合は、使用するその家族の属性(年齢や性別)や習慣、体調などによってもにおい、汚れの性格や度合いは変わります。

例えば立って排尿する人がいるか、それが何人いるかによって、床、壁などへの尿の飛び散りの量は異なります。また座って排尿する場合にも、その年齢や性別、座る位置などによって、便座裏などへの尿のはね汚れの様子が変わります

お腹がゆるい人がいれば便によるはね汚れも増えます。使用者のコンディションに見合った掃除法をとる必要があります。
 

法則3. 便器に「尿石」があるのは掃除が足りていないしるし

トイレの便器には「尿石」と呼ばれる固形汚れが付着するといわれます。これを落とすために塩酸やクエン酸などの酸を使うと良いというのは確かに理には適っているのですが、近年の家庭の洋式便器で目に見える尿石が発生してしまうような場合、そもそもの掃除頻度や方法に何か不足がある可能性があります。

尿石は、排泄した尿に何かしらの細菌が付着し代謝して出す酵素が、尿の尿素を分解してアンモニアを発生させることによってpHがアルカリ性になるために、尿の中のカルシウムイオンが難溶性のカルシウム化合物に変化することで生じます。

そして固まった尿石そのものがまた細菌の温床となって酵素を出し、アンモニアを発生させ……と悪循環します。このアンモニアがいわゆる「おしっこ臭さ」の主原因ですので、つまりは排泄した尿で細菌が代謝しだす以前に、掃除して始末ができればいいのです。
 

法則4.「サボったリング」はサボってなくてもできる

尿石と混同されやすい、洋式便器の喫水線(きっすいせん)、いわゆる「サボったリング」という汚れがあります。これは便器の水たまりの縁に茶黒く付着する線状の汚れで、不思議とトイレ全体の掃除が行き届いていても発生することがあります。

この汚れの原因として考えられるものに、実は洗浄タンク内部の汚れ、つまり溶解したゴムやサビ、カビなどがあります。洗浄タンクの手洗い部分に何かものを置いていたりしても、その色素などがタンク内に沈殿し、便器の汚れをもたらしていることもあります。

また尿石が発生している場合、このサボったリングと尿石が合体しているケースもあります。
 

法則5. ぱっと見汚れがなくても「くさい」ならどこかが汚れている

トイレ内部には、便器外にも想像以上に排泄物の飛び散りが生じています。排尿時の飛沫のみならず、水洗する際にもその水勢で飛び散ってしまうこともありますし、洗浄便座を使う際などにも水流の当たり具合によっては、思いがけず多量に飛んでしまうことがあります。オナラの影響などもあります。

そういった飛沫ひとつひとつは汚れとして認識しにくく、時間が経った後にわかる(におう)ことがほとんどです。つまるところパッと見た範囲での「汚れ」はなくても、においが出てしまった(アンモニアが発生する程度に細菌が繁殖している)以上は、目に付きにくい色や姿でどこかが汚れているという証左になります。

そのような見えにくい汚れは、ブラックライトで照らすほか、嗅覚で探し当てることになります。
 

法則6. トイレの壁に何か貼ったり、飾ったりするほど「臭く」なる

このように、においの元を辿っていくと、便器周辺、そして案外におうのが床そして壁のあたりだということに気づきます。つまり、トイレ内部に写真やポスターを飾ったり、何かしらのコレクションを展示している場合には、そこに尿等の飛沫が飛んでいる(細菌が繁殖している)可能性があることを認識しておく必要があります。

どんなにこまめに真面目にトイレ掃除をしていても、どこかおしっこ臭い……。そんな悩みがある場合には、試みにでも掲示物、展示物を一度全て撤去し、床のほか壁、ドア、天井を清拭消毒すれば、あっさり雲散霧消するかもしれません。
 

法則7. ズボラ派なら「マットを敷いた方が」床を臭くしない 

床に尿の飛沫が飛び散る!と聞くと、がぜん疎ましくなるのがトイレマットという存在なのではないでしょうか。分厚くゴージャスであるほど洗濯しにくく、他の洗濯物との兼ね合いでいつ洗うべきだろうかなど考えあぐね、トイレ環境を悪化させる諸悪の根源と思われている節さえあります。

しかし実際のところトイレマット(床に敷かれているだけ、乾いて冷たい)から検出される大腸菌等の細菌数というものは、およそ私たちの身につけているパンツ(肛門等に接し、かつ、いつもホカホカ、湿っている)のそれと比べ、理屈で考えれば遠く及ばず微々たるもの。じつのところそんなに汚くはないものです。

ところで尿の飛び散りなどが多く発生するだろうタイミングというのは、排尿に忙しない朝などではないかと推察されますが、その都度拭かないとその尿は床の上で滞り、こびりついたり、シミになったりしかねません。

マットがあればその布が尿を吸い取ってくれますので、およそ床まで(よほどの量でない限り)届かず済みます。こまめに拭き取る余裕がない場合はマットがあったほうが家を傷めません。

近年、洗濯に適した薄手の速乾素材によるトイレマットも安価に市販されているので、複数枚購入して交換すると楽でいいでしょう。
 

法則8. 便座カバーやスリッパの有無は正解がない「趣味の領域」

トイレマットと同じくらい近年人気のないトイレの布ものに「便座カバー」「ふたカバー」「トイレットペーパーホルダーカバー」「スリッパ」などがあります。およそ昭和に開花した「カバー文化」は何にでもカバーをかければ傷まずゴージャス、という価値観に拠っていますが、衛生面からいえばどうだろうというところがあり、合理性から排除されがちなのも頷けはします。

特に便座カバーはマットと違って直接肌に触れますし、そもそもお尻に近いものですので、何が吸い込まれているか、付着しているか……。

しかし暖房便座ではない場合お尻の冷たさは筆舌に尽し難く、これは「置くタイプ」の便座カバーの導入とこまめな洗濯で対応する他ないところかと思います。

家族で共用することになるスリッパの衛生面などにも疑念はありますが、基本的にこのへんのカバー類の利用如何というのは、インテリア的、趣味的な価値観によるものではないかというのが筆者の私見です。ある程度の洗濯頻度が保たれ、臭いの原因にならずにおける場合は無理やり撤去しなくてもいいのではないでしょうか。
 

法則9. トイレブラシは消耗品 

トイレマットや便座カバーなどと並んで近年人気を落としているのが「トイレブラシ」という道具です。

トイレブラシは基本的に便器内部の汚れ落としに使う掃除用品ですが、トイレ掃除の際にのみ使われるかというとそうではなく、主に
排便などの際に思いがけなく便器を汚してしまった本人が後始末のため都度使用するという性格もある道具で、家庭の中でも使用者が定まらない傾向があります。

そのため使用後の始末が行き届かないとトイレブラシ自体が汚染されたまま保管され異臭やカビの発生源になりかねないこともあり、「使い捨て」できるトイレブラシ的な洗剤(道具)が熱烈に支持されている所以といえるでしょう。

とはいえ、それでもいつでもすんなり便器を掃除したいときには使える仕様にしておく必要がありますし、ブラシ部の個数がいたずらに消耗される可能性もあり経済的な課題も生じます。

ブラシは定期的に買い替え、交換する方が衛生的であることは否めません。あまり高級感を追求した商品ではなく、ほどほどのブラシを消耗品として使うという選択肢もあるということです。
 

法則10. 消臭剤を置くべきか否かは「トイレの連続利用」率で判断

可能な範囲でどんなに真摯にトイレ掃除に取り組んでも、掃除と掃除の間隙に汚れが溜まってしまったり、暑くて湿った気候に後押しされて「におい」が短期間に増してしまうこともままありえます。

そのような場合の場つなぎ、不快感の軽減に市販のトイレ用消臭剤は大きく役立ちます。しかし消臭、マスキング効果が高いほどににおい(汚れ)が感知しにくくなるというデメリットもあります。

トイレ用消臭剤、芳香剤の類は必ずなければならないものというわけではなく、香りの傾向含め、カバー同様これも非常に嗜好品に近いものといえます。あった方がいいかどうかの判断は、家族数が多いなど、ひとつのトイレを連続利用する頻度が高いか否かがひとつのヒントになります。直前に家族が使ったトイレにさっと入る際、においを感知しにくい方が不愉快になりにくいからです。

用を足した直後に使う消臭スプレー等のあるなしも、このへんの状況に応じて勘案すればいいかと思います。ちなみに温水暖房便座等には脱臭機能が付加されていることが常ですが、脱臭フィルターが著しく汚れているために脱臭機能が果たしきれていないケースも多いです。

便座そのものも尿汚れなどが入り込んでいる「においの盲点」なので、定期的に便座を取り外してひっくり返すなどし、尿汚れ、フィルターの詰まり汚れ(尿などの飛沫とホコリが相まってベタベタしていることが多いので注意)をしっかり落とすようにしましょう。



余談ですが、トイレの床に洗剤を置いている場合、洗剤そのもの、また使用済み生理用品を入れるエチケットボックスなども「におい」の温床になりやすいので注意が必要です。つまりはあまり余計なものを置かない方が総じてトイレ環境は良くなるでしょう。退屈しのぎにスマホを持ち込んで、用を足しながら使用するのも衛生的にNGなので、念のため……。

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