定年・退職のお金/退職金の運用方法

ツライ老後になる? 退職金の運用で失敗してしまう要注意な3パターン

定年退職が間近な人は「退職金」を楽しみにしていると思いますが、使い方を失敗してしまうと老後の生活費がなくなり、老後破綻まっしぐらになってしまうので注意が必要です。今回は退職金を運用する上で気をつけたいことについて解説していきます。

執筆者:All About 編集部

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退職金2000万円をもらったら、運用で注意してほしいこと

日本経済団体連合会・東京経営者協会が発表した「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると、「管理・事務・技術労働者(総合職)」の60歳が受け取れる退職金は、大学卒(勤続年数38年)だと約2243万円、高校卒(勤続年数42年)だと1953万円とのことです※。

※学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を対象に算出

退職金という大きな金額が自分の口座に入金されると、舞い上がってしまい身の丈に合わない使い方をしてしまうと「ツライ老後」になりかねません。大切に使っていきたいものです。また特に注意してほしいのは、知識がないまま多額のお金を投資してしまいお金を失ってしまうことです。

今回は退職金の運用で失敗してしまった3つのケースを挙げてみたいと思います。
退職金の運用で注意したいこと

退職金の運用で注意したいこと

 

ケース1:金融商品の内容がよくわからないまま投資してしまった

退職金の運用方法として、投資商品の内容がよくわからないまま、購入するのはNGということを覚えておいてください。たとえば高金利で申込みできる定期預金と投資商品のセットとして売られている「退職金専用の特別プラン」は多くありますが、注意書きをよく読むことが重要なのです。定期預金の金利が高金利で魅力だとしても、預入してから●カ月間の間、という設定がされているかもしれません。金利は年利表示なので、たとえば表示された高金利が3カ月間とあれば高い金利で預けられるのは1年の4分の1の期間のみです。

その後は通常の金融機関の店頭金利になります。同時に投資商品も購入しなければなりません。投資商品は購入手数料が必要だったり、運用している間信託報酬という手数料もかかり、手数料が割高な場合もあります。また値動きがある商品は利益がでるとは限りません。損する場合もあるのです。こういった商品で退職金の運用を考える場合は、よくリスクを理解して購入する必要があるでしょう。一気に多額のお金を投資することは初心者にはおすすめできませんので、まずは数万円から投資商品を買ってみる、など運用の経験を積むことが大事です。
 

ケース2:未経験のままハイリスクハイリターンな投資商品に多額を投資した

投資をしたことがない人がFXなどの値動きが激しい投資商品に一括投資してしまうパターンもあります。こういったリスクが大きい商品は、大きなリターン(利益)を得る可能性もありますが、損失を出してしまう可能性も高くなります。投資は分散投資が大事で、時間を分散する、投資する国や対象商品を分散するなどしてリスクをおさえていきたいものです。

また投資経験が浅い人は、損をしてしまうと取り戻そうと焦って資金を追加投入してしまいがちですが、ここで退職金や貯蓄をなくしてしまうと老後の生活に深刻な影響を与えてしまうでしょう。FXなどにチャレンジしてみたい人は、たとえば10万円だけ、30万円だけ、など金額を決めてその範囲で投資を行うことをおすすめします。決して一括で購入してはならないということです。
 

ケース3:不動産の定期的な家賃収入は保証されますとすすめられ退職金全額を投資した

このケースも、知識がないまま投資して失敗してしまった例の一つです。不動産を購入する場合は、まず物件選びが重要。物件を購入するためにローンを組む場合は、特に注意してほしいものです。節税対策にもなるからと、よく理解していないまま購入したというケースもあります。物件の収益性をきちんと理解するのは至難のわざなのです。表面利回りで収益性があると判断してはいけません。不動産に関わる税金も複雑です。知識不足のまま不動産投資をした結果、生活に支障をきたし、購入した物件を手放さざるをえなくなってしまいます。売却できたとしても、購入金額より低い金額でしか売却できず、借金だけが残り、結果「老後破綻」という最悪な事態にもなりかねません。利益につながる物件を見極めるのは素人ではかなり難しいと知っておいてください。

こういったケースは、老後に少しでも家賃収入を得たい、という意図があると思います。つまり定期的な利息を得るインカム投資をしたい人だと思いますので、不動産投資ではなく、まずは試しに配当や優待が得られる株や投資信託を少額から買ってみるなどをしてみてはいかがでしょうか。

いかがでしたか。こういったケースには注意して、長年働いて受け取ることができた「虎の子」を老後の生活に有効活用していきましょう。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

参考資料・日本経済団体連合会・東京経営者協会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果』
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/026.pdf


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