スプレの簡単に共有できるメリットがアダになる?
Googleスプレッドシートのメリットは、簡単に表を共有できることです。1つの表を複数のメンバーで共有すれば、分担して表を作ることもできますし、1つの表を見ながらリアルタイムに議論したり、修正したりすることも可能です。ただし、あまりに共有が簡単なので、逆に困ったことも起きます。それは、他の人の作業が別の人に作業に影響を与えてしまうことです。その典型が「フィルタ機能」を使うときです。
「フィルタ機能」は、表をいろいろな条件で絞り込んだり並べ替えたりする機能です。詳細はこちらの記事に詳しいので、「フィルタ機能って何?」という方は、ぜひ参考にしてください。今回は、「フィルタ機能」の基本的な使い方は分かっているものとして話を進めさせてください。
たとえば、営業職の井上さんと鈴木さんが次のような表(商品の仕入れ表)を共有しているとします。 井上さんは、自分(井上)が担当しているデータだけを確認するため、フィルタ機能を使って「担当者」が「井上」のデータだけに絞り込みます。つまり、表示は次のようになります。 このシートは井上さんと鈴木さんが共有していますので、鈴木さんのGoogleスプレッドシートでも、同様に絞り込まれて表示されます。
これでは、鈴木さんは困りますよね。自分(鈴木さん)のデータを確認しようとしたら、井上さん(ライバル?)のデータが表示されるわけですから。
このままだと、井上さんが作業中、鈴木さんは自分のデータを確認できなくなります。下手をすると、どちらのデータで絞り込むかをめぐってケンカになりかねません。
この問題を解決するために用意されている機能が「フィルタ表示」です。「フィルタ」と「フィルタ表示」、「表示」が付いているかいないかの違いですが、そこには大きい違いがあるのです。
この問題はGoogleも把握しているようで……
実際に「フィルタ表示」機能の説明に入る前に、次のメッセージについて確認しておきます。次は共有したシートで[データ]の[フィルタを作成]を選択したとき、またはツールバーの[フィルタを作成]ボタンをクリックしたとき表示されるメッセージです。 [全員にフィルタを適用]を選択すると、通常のフィルタが適用されます。先ほどの例だと、井上さんのデータだけが表示される状態になります。一方、[自分にフィルタを適用]をクリックすると、これから説明する「フィルタ表示」が有効になります。
このようなメッセージが表示されることからも、Googleもこの問題を把握していることが分かります。それだけ、大勢の人が悩んでいる問題だということですね。
というわけで、他の人に迷惑をかけることなくデータを絞り込んだり並び替えたりしたいなら「フィルタ表示」という機能を使います。
「フィルタ表示」の使い方
ここからは、実際にフィルタ表示を設定する方法を説明します。さっそく、先ほどのサンプルを使って「井上さん」のデータだけを絞り込んでみましょう。▼1. 表中にカーソルを置いたら、[データ]-[フィルタ表示]-[新しいフィルタ表示を作成]を選択します。 ▼2. 行列番号が黒くなって表の見出しにフィルタのボタンが表示されます。これがフィルタ表示が有効になった状態です。行列番号が黒くなるのが特徴です。 ▼3. あとは、通常のフィルタと同じ操作でデータを並べ替えたり絞り込んだりできます。ここでは、「担当者」のフィルタボタンをクリックしてメニューを開きます。 ▼4. メニューが表示されたら「井上」だけチェックしてそれ以外の担当者のチェックを外して[OK]をクリックします。 ▼5. 「担当者」が「井上」のデータだけが絞り込まれました。 ▼6. [名前]ではフィルタ表示に名前を付けられます。ここでは「井上作業用」と付けました。 ここで、同じ表を共有している鈴木さんのGoogleスプレッドシートを見てみると、次のように絞り込まれていません。つまり、井上さんの作業が鈴木さんに影響を与えていないわけです。これなら、お互いに自分のデータだけを絞り込んで作業できるので、ケンカになりませんね。
鈴木さん側:表を共有している鈴木さん側の表示。フィルタが絞り込まれていません。つまり、井上さんの絞り込みが、鈴木さんには影響を及ぼしていません。逆に鈴木さんも、フィルタ表示を使って、井上さんには影響を与えることなくデータの並べ替えや絞り込みができます
フィルタ表示の解除と削除
ここまで「フィルタ表示」の基本操作は紹介しました。最後に、フィルタ表示の解除と削除について説明します。まず解除ですが、これはフィルタ表示を解除して、もとに戻すことです。ただし、フィルタ表示は残っているので、あとで再び同じフィルタ表示に戻せます。解除するには、次のように操作してください。
▼1. [データ]-[フィルタ表示]-[なし]を選択します。 ▼2. フィルタ表示が解除されて元に戻ります。 解除したあとで、再びフィルタ表示にするには、[データ]-[フィルタ表示]を選択します。サブメニューには、「フィルタ1」「フィルタ2」や「井上作業用」などが表示されるはずです。
「フィルタ1」や「フィルタ2」はフィルタ表を作ったときに自動的に付けられた名前で、「井上作業用」が自分で付けた名前です。これらを選択すれば、再びフィルタ表示が有効になります。
フィルタ表示の削除は、メニューからも削除してしまうことを意味します。削除するには次のように操作してください。
▼1. [データ]の[フィルタ表示]を選択し、サブメニューからフィルタ表示を選択して有効にします。ここでは「井上作業用」を選択します。 ▼2. 再び先ほど作成した「井上作業用」のフィルタ表示になります。 ▼3. [データ]-[フィルタ表示]-[フィルタ表示オプション]-[削除]を選択します。 ▼4. 現在適用されているフィルタ表示が削除されて、表が元の状態に戻ります。 「フィルタ表示」の説明は以上です。実は、筆者は一人で仕事をしているフリーランスなので、今回紹介したように、表を共有した相手から「勝手にフィルターを設定するな!」と怒られた経験はありません。なので、実をいうと今回のテーマは、個人的にはそれほど切実というわけではありませんでした。
しかし、私を担当されているオールアバウトのKさんにとっては「よくあること」だったらしく、それもあって記事を執筆することになりました。ですので、会社でGoogleスプレッドシートを使っている方にとっては、身近で切実な問題なのだと思います。ぜひ参考にして、他の人に迷惑をかけないように(怒られないように)してくださいませ。
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