更年期のイライラ・精神的不調……変化に自己嫌悪を抱えることも
更年期には心の不調に悩む女性は少なくありません
「更年期のイライラ……夫や子どもの心ない言葉に傷つく前に」でもご紹介しましたが、カウンセリングの場でも、更年期には以下のような思いを打ち明ける方が増えます。
「以前は夫に疲れやすさや体形の変化を指摘されても、適当に受け流せていたのに、すごくカチンときてしまって……。強く反発してしまいます」
「朝、家族を送り出すと同時にドッと疲れが出て、ソファでテレビを観ながら1時間くらい寝てしまいます。そんなだらしない自分が嫌になるんです」
このように、更年期には体調の変化に伴って感情の乱れや気力の低下を感じ、戸惑う女性が少なくありません。
更年期への上手な向き合い方……ありのままを受け止め、等身大で
更年期には眠りが浅くなり、睡眠のリズムも乱れやすくなります。今までは、一晩ぐっすり眠れば疲労が解消されていたのに、夜中に何度も目が覚めてしまう。睡眠時間はしっかりとっているのに、翌朝に疲れが残るようになる。こういったことが、しばしば起こるようになります。また、女性ホルモンの減少や基礎代謝の低下の影響から、脂肪が蓄積しやすくなり、以前より体重が増えてしまったり、肌の弾力性やうるおいが失われ、肌の乾燥、しわやしみが目立つようになったり、加齢により白髪も増えていくことで、見た目にも自信を持ちにくくなります。老眼が進み、筋肉が硬くなって肩や腰回りに痛みを感じるなど、日に日に老化を実感することも増えていきます。
このように、更年期には老化が急速に進み、身体機能の衰えや見た目の変化を実感するため、心の準備が間に合わず、若さを失わないために必死の努力を重ねる人も増えます。そのため、無理に激しい運動を始めて体を痛めたり、美容に高額な出費をして、経済的な負担を抱えてしまう方も少なくないものです。
しかし、そもそも年をとれば若い頃のようには体を動かせなくなりますし、見た目の変化や身体機能の低下を感じるのも、自然なことです。今、ここにある自分の状態を認め、毎日頑張って働いている体に意識を向けていくこと。そして、「つらい」「しんどい」「痛い」といった体の声に耳を傾け、まずは自分を労わっていきましょう。すると、今の自分の力で無理をせずに健康を保つ方法、自分に合った体の鍛え方や身体機能の高め方を見つけやすくなります。
「意識を外に向ける」ことで視野を広げる
また、更年期には自分の心身に意識が向かうため、気持ちが内向的になりがちです。しかし、気持ちが内にこもってしまうと、自分を変えてくれる新しい刺激に出会いにくいものです。そこで大切なのが、「意識を外に向けていく」ということ。たとえば、新しい趣味をきっかけに活動範囲や交友関係を拡げていくのはどうでしょう。自分をよりよく変えてくれるアクティビティや新しい仲間と出会えるかもしれません。
私自身、更年期に入ってからジムでダンスを始めたり、同年代の人が集まる登山サークルに参加したりするようになりました。年齢や体力にあった新しい仲間と共に楽しく体を動かし、目標を語り合いながら情報交換をしていくことで、心がとてもいきいきし、視野も広がっているように思います。ただし、1日アクティブに動いたら2日は体を休めるなど、無理をしない範囲で行うようにも心がけています。
更年期だからこそ新しいものにチャレンジを!
少しでも興味のあること、やってみようかなと思うことには、できる範囲でチャレンジしてみるといいでしょう。さらに年齢を重ねると、健康状態や家庭の事情によって、やりたいことができなくなる日が来るかもしれません。とはいえ、若いころのようには体が無理が効かなくなることもありますので、やりたいことは「欲張らない」が原則です。「更年期に入って失ったこと」を数えていても、新しいものは生まれません。「更年期の今だからこそできること」に目を向け、自由に動けるうちにやりたいこと、興味のあることにできる範囲でチャレンジしていきましょう。すると、イライラや憂うつから解き放たれ、楽しく毎日を過ごすことができると思います。