はんこの文化、実は誤解が多い豆知識
はんこと印鑑は意味が違います。「ここに印鑑を押してください」は正しいのでしょうか? 実印、銀行印、認印とは? 普段何気なく使っている「捺印」と「押印」の違いや、印鑑の種類、はんこをきれいに押すコツ、はんこの歴史などを紹介します!はんこには勘違いや知らないことがたくさんあります
はんこと印鑑の違い
はんこと印鑑の違いって?
●「はんこ」とは、手にとって押すはんこそのものを指しています。正式には「印章」というので、「○○印章店」のようにお店では印章ということばを使うところが多いです。ちなみに、はんこは文書や本を版木・板木で印刷して発行する「版行・板行(はんこう)」が変化したことばで、はんこを漢字で「判子」と書くのは当て字です。
●「印鑑」とは、所有者のものであるかどうかの真偽を鑑定するために登録・届け出されたはんこの印影(はんこを紙に押したときの朱肉のあと)を指します。つまり、印鑑というのは、実印や銀行印などの印影のことです。印影の照合に使う台帳を「鑑(かがみ)」と呼んでいたことから、印鑑ということばができました。
一般的には、はんこ=印鑑という認識で使われることが多いのですが、厳密には違うわけです。
はんこの種類
口座を開くときに登録したはんこが「銀行印」
【実印】
実印とは、市区町村の役所に「印鑑登録」し、公的に認められたはんこをいいます。
【銀行印】
銀行印とは、銀行・信用金庫・信用組合などの金融機関に印影の届け出をしているはんこのことです。
【認印】
認印とは、登録や届け出をしていない個人のはんこのこと。荷物の受け取りや書類の確認などで使うことが多いはんこです。
捺印と押印の違い
荷物の受領印は、押印にあたります
●捺印とは、「署名捺印」ということばの略で、「署名(本人が自筆で氏名を手書きすること)をしてはんこを押すこと」を意味します。
●押印とは、「記名押印」ということばの略なので、本来は「記名のある箇所にはんこを押すこと」を表します。しかし、記名とは署名以外の方法(代筆、ゴム印、印刷など)で氏名を記すことなので、転じて、氏名が記されていない場所にはんこを押す場合にも用いられるようになりました。
はんこをきれいに押すコツ
ここぞという時には、きれいにはんこを押したいですね
- 事前に、はんこが欠けていたり、朱肉やほこりが詰まっていないか確認しましょう。
- 朱肉を付け過ぎると印影がにじんだり、乾きにくくて汚れたりしてしまうので、力を入れず均一に付くようにします。
- 平らな場所に捺印(押印)マットを敷いて押します。マットがない場合には、紙やティッシュペーパーを数枚重ねて敷くと良いでしょう。
- 紙に対して垂直になるよう上から押します。力が弱すぎるとかすんでしまい、強すぎると紙が傷つくので、適度に力を入れます。
- はんこの中心で軽く「の」の字を描くように押し、ゆっくりと上に離すときれいな印影になります。
はんこの歴史
印章は古代メソポタミアが発祥だと考えられています。日本では、後漢の光武帝から授かったという「漢委奴国王」の金印が日本最古のものとして有名で、国宝にも指定されています。しばらくはごく一部のみの文化で、奈良時代には公印のみが使われていましたが、平安時代に権力者に私印が許されるようになりました。とはいえ、しばらくは印章よりも掌(てのひら)に朱肉をつけて押す「手形印」、自署を美しくサイン化した「花押(かおう)」、人差し指を画した「画指(かくし)」などが使われていました。やがて、江戸時代に印章を押す慣習が広がり、明治時代に印鑑登録制度ができると、署名の他に実印を押すことが制度化され、実印や認印が普及するようになりました。
明治6年(1873年)10月1日に、公式な書類には実印を押すよう定められたことにちなみ、10月1日は「印章の日」になっています。
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