お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

36歳育休中。夫が500万円近い車を買いたがっており、これからのことが心配です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、夫のクルマ購入で悩む36歳 の会社員女性の方。500万円近い価格だけに不安も。また、資産運用、保険の保障内容も悩んでいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 車購入は資金的に問題なし

先に結論から申し上げますと、心配は要りません。ご主人が希望する車を購入しても資金的には大丈夫です。また、購入によって、ご主人のモチベーションがアップし、元気に働いてくれることにもつながるのではないでしょうか。
 
では、試算してみましょう。データをいただいた時点では、さまみさんが育休中ということですが、そもそもコロナウイルスの影響で復帰が伸び、本来であればすでに復帰されているとのこと。そこでここでは便宜上、すでに復帰されたとしますと、毎月の収支は児童手当を除いて、約13万3000円の黒字。ボーナスからの貯蓄分は30万円ですから、年間の貯蓄額は約190万円。ご主人定年までの22年間で、4180万円となります。
 
これに今後受け取る、児童手当分の合計がおよそ310万円。定年前に支払いが終わる保険料の加算分(22年間支払っていると試算しているため)が420万円ほど。また、下のお子さんが小学校入学のタイミングでさまみさんがフルタイムに切り替えられると、給与が月額5万円アップしますので、その分が貯蓄に回るとすれば、900万円。最後に、今ある金融資産のうち、車の購入による支出を差し引くと、865万円が残ります。それらを合計すると、約2500万円。これに、新たにできる貯蓄分を加算すると、6680万円となります。
 
ここから想定される教育費を差し引きますが、進路によってかかる費用は大きく変わります。ご希望は高校まで公立とのことですから、大学を私立文系とすれば、かかる費用は平均でおよそ1000万円(学習塾、習い事などの学校外教育費を含む)。大学が私立理系なら150万円ほど加算となります。ただし、高校から私立の可能性もあり、教育費以外にも子育て費用として、成長に合わせて生活費がアップするのが一般的。したがって、ざっくりとですが、1人1500万円かかるとして2人で3000万円とします。
 
ただし、すでに月4万円の教育費を計上しての試算でしたから、その分を差し引くと、新たに差し引くコストは2000万円ほどになります。
 
他に定年までの大きな支出としては、車の買い替えが2回ないし3回あるでしょうか。今回購入されたクラスだと、維持費も現状よりアップしますので、仮に同程度の車を乗り継ぐとして、600万円を予算(買い替え費用プラス維持費のアップ分)としてみます。
 
この、計2600万円を6680万円から捻出しますから、残りは4080万円。これにご夫婦の退職金1000万円を加算した5080万円が老後資金となります。
 

アドバイス2 老後資金も不安のない額が準備可能

では、この老後資金で足りるかどうか。もちろん、ここでは明言はできません。不確定要素がまだ多くあるからです。しかし、この試算どおりの金額が用意できれば、一般的に見て十分と言えるでしょう。公的年金が不確定ですが、夫婦とも厚生年金に加入されていること、さらにそもそも家計管理がしっかりされていて、老後になっても年金や老後資金に合わせて計画的に生活できると考えられるからです。
 
例えば、年金収入だけの生活で平均月3万円不足なら、40年間で1440万円。60歳でリタイアされて、100歳まで生きてもまだ手元に3640万円残っている計算になります。月5万円不足でも2680万円が残ります。

老後の生活費以外の予備費(医療費、介護費、住宅リフォーム費用、車の買い替え)を考慮しても、そう心配は要らないでしょう。もし、資金的に不安なら、60歳以降も働くことで、さらにマネープランに余裕が生まれます。
 

アドバイス3 企業型確定拠出年金で節税メリットを ​​​

また、ご質問にある資産運用についてですが、無理に行う必要はありません。あえてリスクを取ってまで資産を増やさなくても、十分余裕のあるマネープランが組めるからです。
 
ただ、ご夫婦とも勤務先に企業型確定拠出年金があるとのことですから、もし運用をされるなら、これを利用されてはどうでしょう。掛金は給与扱いにならず非課税扱いですから、確実に節税メリットが得られます。また、資産運用で得られた利益にかかる税金(20.315%)も非課税。長期で積み立てるという形も、リスクを抑える効果があります。あるいは、個人向け国債を購入してもいいでしょう。
 
それと運用ではないですが、住宅ローンの繰上返済で支払い利息を軽減してはどうでしょう。返済時期ですが、手数料がかからなければ、貯蓄が一気に減らないような額を何回か行っていいですし、定年時に一括返済でもいいでしょう。ちなみに、金利が変わらないとすれば、定年時のローン残高は460万~480万円ほどでしょうか。ここで一括返済すれば、軽減できる支払利息は12万円程度ですが、現状、完済がご主人67歳のときですから、定年時に完済となるのは家計にとっても大きなプラスです。
 
最後に保険について。基本的に、死亡保障が不足しています。学資保険や、団体信用生命保険に加入はしているものの、ご夫婦とも1000万円ずつ新たに死亡保障を確保したいところ。保険期間10~15年の定期保険か、保険期間55歳、保障額月10万円の収入保障保険で割安に確保します。どちらもご夫婦で保険料は計5000円以内に収まるでしょう。

一方、ご主人のドル建て終身保険は払済保険にします。死亡保障としては不足していますし、保険料が高く、為替リスクを取ってまで貯蓄性を得る必要はありません。家計には余裕がありますから、貯蓄(もしくは資産運用)と保障は分けて考える方が合理的です。
 

相談者「さまみ」さんから寄せられた感想

内容を夫と確認したところ問題ないことがわかり大変喜んでいました。また私からしてもタダで今より広い車となるのでまんざらでもないです。私は無事育休から復帰できました。資産運用の件、無理にすることはないと教えていただき安心しました。住宅ローン減税終了時に60歳までで完済となるような繰り上げ返済を目指してためていこうと思います。また保険についても教えていただいたように見直していこうと思います。今回はありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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