この先さらに支出が増えても家族を不自由なく養っていける?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、昨年住宅ローンを組んだばかり、そして今年子どもが生まれたばかりの32歳の会社員男性。近いうちに2人目もほしいが、この先さらに支出が増えても家族を不自由なく養っていけるのか心配で……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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この先子どもが増えても、家計は大丈夫?

この先子どもが増えても、家計は大丈夫?



 
■相談者
 ふーたさん(仮名)
男性/会社員/32歳
埼玉県/持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
妻(33歳/専業主婦)、子ども0歳
 
 
■相談内容(原文まま)  
質問
・現在妻が専業主婦、子どもの成長と共に教育費や食費等も今現在よりお金がかかると想定しつつ、家の修繕や大型家電の買い替え、車の買い替えなども含めて、現在の貯蓄ペースで、家族を不自由なく養えるのか。もし妻が働きに出ないと家計が回らない場合は、扶養内で構わないので働いてもらいたいが、いずれ共働きにならないといけない時期が来るのか漠然と不安です。
 
・住宅ローンの繰り上げ返済の話をよく耳にするが、とても繰り上げ返済なんてできるとは思えない。もし繰り上げ返済できるタイミングがあればアドバイスをいただきたいです。
 
・ドル建ての終身保険が死亡保障の部分で生命保険と重複しているだとか、運用で増やす面では割高だと思っているものの、資金を普通預金においても増えないので、長い目で見て少しずつでも増えると思い、最悪大学資金の足しにでもすればいいか、といった具合で現在に至ります。終身保険の部分でほかに回した方がいいというようなアドバイスがあればよろしくお願いします。
 
■家計収支データ
相談者「ふーた」さんの家計収支データ

相談者「ふーた」さんの家計収支データ



 
 
■家計収支データ補足
(1)住宅について
・新築一戸建て
・借入額残高:3500万円
・借り入れた年:2018年
・借入年数:35年
・毎月の返済額:11万円
・ボーナスでの返済額:なし
・金利:全期間固定 1.3%
・固定資産税額(年間):約16万円

(2)加入保険について
本人/
①低解約返戻米ドル建て終身保険(10年払い  死亡保障9万米ドル)
=毎月の保険料300米ドル
死亡保障もあるため、基本的には運用で増やしていき、必要な時に解約したい

②低解約返戻ドル建て終身保険(10年払い  死亡保障4万米ドル)
=毎月の保険料125米ドル 
基本的には解約せず、死亡した時に家族に残したい

③米ドル建て養老保険(15年払い20年満期   満期受取額5万米ドル)
=毎月の保険料226.8米ドル

④変額個人年金保険(32歳~69歳支払い   3%で運用の場合70歳から10年間受取年額110万円)=毎月の保険料1万2000円

⑤個人年金保険(2018年~賞与時天引き)=保険料10万円/年 
60歳時に一時金or年金選択  一時金の場合約360万円
 
⑥医療保険(入院5000円、先進医療特約付、ガン診断後払込免除特約付)=毎月の保険料1950円

⑦ガン保険=毎月の保険料3000円

⑧団体生命保険(死亡4000万円)=毎月の保険料1850円

妻/
①医療保険(入院5000円、先進医療特約付き、ガン診断後払込免除特約付)=毎月の保険料2100円

②ガン保険=毎月の保険料2700円

(3)車両費について
2018年に350万円で新車購入。以降10年ごとに同程度の車を購入予定。

(4)給与と退職金について
年収は55歳まで毎年約15万円ずつ増加する想定。55歳以降は役職定年で、年収が3割程度カット。現時点での定年は60歳で、退職金は1500万円前後。65歳まで再雇用有。再雇用時、年収300万円程度。企業年金が61歳~年額140万円程度、終身給付。

(5)子どもについて
2年後くらいに2人目がほしい。将来子ども2人が大学卒業するまで(大学以外は公立希望)面倒を見る予定。

(6)ボーナスの主な使いみち
車検+年次のメンテナンス費用20万円/2年、車保険5万円/年、車税金4万円/年、ふるさと納税、毎年10万円程度の旅行費用(将来的には20万~30万円位想定)などに使用。残りを貯蓄しているつもりだが、イベント出費等いつの間にか使い込んでいて、天引きの貯蓄とは別で年間30万円程度しか貯蓄できていないと思われる。

(7)貯蓄について
年間60万円、毎月3万円(給与天引き)、ボーナス年間24万円(賞与天引き)
 
(8)児童手当1万5000円について
毎月の生活費に消えている
 
(9)投資について
株式投資とiDeCo 2万3000円/月
 
(10)実家からの援助の可能性について
基本的には援助なしでやっていきたい。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 今の生活なら大丈夫。「余裕の原資」を再認識しよう
アドバイス2 貯蓄が1000万円を超えたら繰り上げ返済のタイミング
アドバイス3 投資のウエイトが高すぎ。しばらくは投資をお休みして
 

アドバイス1 今の生活なら大丈夫。「余裕の原資」を再認識しよう

ふーたさんの家計収入から支出を引くと、毎月4万2000円残ります。これを毎月貯められれば12カ月で50万円。ボーナスの半分を貯蓄できれば50万円。合計で年間100万円貯められる計算です。ふーたさんは現在32歳ですから、役職定年で年収が減る55歳までの23年間で2300万円の貯蓄ができます。
 
次に、貯蓄目的で加入している3つのドル建て終身・養老保険について見てみましょう。将来の為替動向は読めませんが、仮に1ドル=100円で換算すると満期時の受取額は合計で約1100万円になります。これらに現在の貯蓄額380万円と、投資額500万円を足すと、ふーたさんが55歳の時点でおよそ4300万円の金融資産があることになります。
 
近いうちに2人目の子どもがほしいとのことですね。心配されている教育費については高校まで公立を希望とのことですから、1人あたり中学150万円、高校150万円、大学400万円として、2人で1400万円程度を見込んでおきましょう。さきほどの金融資産4300万円から教育費1400万円を引くと2900万円が残ります。
 
このほかに大きな支出として、およそ10年ごとに車の買い替えがありますね。これから先、350万円の車を3回買い換えるとして合計1050万円です。これを引いてもまだ1850万円が残ります。
 
55歳までの昇給を考えれば、それ以降に収入が3割減っても貯蓄は続けられるはずです。退職金1500万円を受け取って、60歳時点で3300万円が手元に残るでしょう。
 
この計算にはまだ、55歳まで続く毎年15万円の昇給分や妻のパート収入は入れていません。それらも合わせれば、65歳くらいまで貯蓄を取り崩す必要はなさそうです。毎月の貯蓄、ドル建て保険、昇給、妻のパート収入、退職金、企業年金……と、ふーたさんの家計には「余裕の原資」がたくさんあることを再認識できれば、家計への不安は和らぐでしょう。
 

アドバイス2 貯蓄が1000万円を超えたら繰り上げ返済のタイミング

住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングを知りたいとのことですが、まずは最初に述べた通り、年間100万円の貯蓄を優先して続けていきましょう。すると7年後には現在の貯蓄と合計して1000万円を超えるはずです。この時、あるいは下のお子さんが小学校に上がった頃が、繰り上げ返済のタイミングです。貯蓄の中から300万~500万円のまとまった金額を返済してしまいましょう。
 
まずは一度繰り上げ返済をしてみて、その後また貯蓄が増えたらもう一度くらいできるといいですね。現時点ではローン完済が65歳を過ぎてしまう計画ですが、住宅ローンの完済が早まれば、老後の家計にさらに余裕が出ます。
 

アドバイス3 投資のウエイトが高すぎ。しばらくは投資をお休みして

最後に投資について。はっきり申し上げますと、iDeCo以外の投資はしばらくお休みしたほうがいいです。今の貯蓄額380万円に対し、投資額500万円というのは、投資のウエイトが高すぎます。住宅ローンを組んだばかりですし、さらに2人目のお子さんを望んでいて、これから支出が増えてくることが予想される中では、リスクが高すぎるといえるでしょう。
 
一方でふーたさんの場合、月々約7万円支払っているドル建て保険が、お金を使わない抑止力となっている気もします。この先も保険料を払い続けることで、十数年間は生活費をコンパクトなまま保つことができますし、払い込みが終わっても、それまで払ってきた保険料分と同程度の貯蓄を続けていけるでしょう。
 
そのドル建て保険は最短で2029年に保険料の支払いが終わります。このあとはそれまで支払ってきた保険料の分を、円預金の積立やつみたてNISAで貯めていくといいです。また、ドル建て保険は受け取り時期が来たら、為替のタイミングを見つつ、教育費など近い将来に必要なことに使っていけば、ドル資産の割合が減り、全体の金融資産における外貨と円のバランスがとれてきます。
 
ふーたさんの将来にとって一番リスクが高いのは、現預金が少なくて、ドル建て保険や投資商品ばかりになってしまうことです。50歳でドル建て保険の払い込みが終わるので、それ以降は割合を増やさないようにしていきましょう。
 

 相談者「ふーた」さんから寄せられた感想

深野先生アドバイスありがとうございます。今の生活水準をキープしつつ、アドバイス通りに貯蓄も継続すれば(家族が増えたり子どもが成長した時の支出増を昇給の範囲でカバーする前提ですが)、それなりに生活ができるということが分かり一安心しております。アドバイスを参考にコツコツ貯蓄を継続して繰り上げ返済ができるよう頑張りたいと思います。突発的な支出や学費に対して、どれくらいキャッシュを残しておけばいいのか不安だったので、繰り上げ返済タイミングの目安が貯蓄1000万円の時というのが聞けただけでも勉強になりました。また、ご指摘がありました歪な資産形成については、昨年住宅購入諸費用や家具家電・新車購入などで貯蓄を切り崩したためで、今後はアドバイスいただいた通り、株式・外貨・円のバランスに注意して資産形成していきたいと思います。いただいた3点のアドバイスを妻と話し合いながら、お金に対して過度な不安を持たずに今後の生活を楽しみたいと思います。ありがとうございました。

 
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/長島美樹

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