義実家に住み住宅ローンがないのに貯蓄が増えません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫、小学生の子ども2人、義両親と2世帯住宅で暮らす36歳の女性会社員。義実家で暮らすため住宅ローンがないにもかかわらず貯蓄が増えず、1年ほど前から将来に不安を感じるようになったといいます。そんなお悩みにファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

 
教育費と住宅ローンの返済が心配

教育費と住宅ローンの返済が心配


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■相談者
ビッキーさん(仮名)
女性/会社員/36歳
岡山県/持ち家(一戸建て)     
 
■家族構成
夫(42歳)、子ども2人(9歳・7歳)
※2世帯住宅で義父と義母と同居しているが家計は別
 
■相談内容
しっかり老後のことを考えなければと思い立ったのがここ1年で、個人年金保険も慌てて入った次第であります。今までは私がパートだったこともあり貯金もなかなかできず、やっと少しずつですができるようになりました。義実家に住んでいるため家のローンや家賃がないにも関わらず、あまり貯金できていないのが悩みです。今ある貯金も100万円は児童手当やお年玉などを貯めていただけで、これも学資保険に消えて行く予定です。子どもが小学生のうちが一番貯めやすいと聞いているのですが、この調子だと思うように貯められず老後の生活や子どもの学費が心配です。贅沢、無駄遣いはしていないつもりなのですが、まだ削れるところがあればご指摘いただきたいです。
 
■家計収支データ
相談者「ビッキー」さんの家計収支データ

相談者「ビッキー」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)家族について
夫の勤務体系は会社員だが、毎日帰宅することはできない。そのため、携帯代が高くなっている。私はほとんど家で使うので格安SIM。義父母は2人とも仕事はしておらず、年金暮らし。
 
(2)住宅について
家は築35年。今年も補修をする予定(20万円前後)。小さな修繕費はかかっているが、水回りや大きなリフォームはまだ10年くらいはせずに暮らせそう。固定資産税は年5万円。
 
(3)支出の内容について
光熱費が高めなのは義父母分も少し払っているため。食費は家の食費が2万5000円。夫は職業柄、平日はあまり家に帰れないため週ごとに食費を渡す。それと合計した金額。
 
(4)車両費について
車は2台所有。今年買った車のローンが100万円ある(私の父親に返済中)。4、5年後に軽自動車を買い換え予定。車は1人1台必要な地域に住んでいるため、車にかかるお金は削れない。
 
(5)子どもの進路について
高校は公立へ進学希望。それ以降は本人の意思に任せるつもり。学資保険が200万円あるので、それ以上にかかる場合は奨学金の利用を考えている。今から子どもたちには話をしている。児童手当は、全額学資保険(月2万9000円=2人分)に充当。
 
(6)加入保険について
・夫  
生命保険:死亡保障400~1000万円(死亡理由によって異なる)、入院1日1万5000円、三大疾病特約付き=月5200円
個人年金:60歳払込  65歳から受取開始 年36万円×10年=月1万3000円
・妻  
生命保険:死亡保障200~500万円  入院1日12000円、三大疾病特約付き)=月4200円
個人年金:60歳払込  65歳から受取開始 年76万円×10年)=月2万円
・子ども 
生命保険:死亡保障200~500万円、入院1日5000円=月2000円(1000円×2人分)
学資保険:17歳払込、満期18歳200万円=月2万9000円(2人分)
※始めたのが遅かったため保険料は高め
 
(7)ボーナスの使い道について
車検や車にかかる費用=4万円、夫へお小遣い=3万円、掛け捨て火災保険=2万4000円←解約検討中、家族旅行=5万円、固定資産税=5万円
 
(8)退職金について
夫の勤務先は退職金がない。その代わりに財形貯蓄を月2万円している。今後、余裕ができれば増額したい。妻の勤務先は退職金制度があるが、金額はあまり期待できない。
 
(9)今後の見込みについて
相談者コメント「上記の家計の出費以外に私の奨学金を毎月1万6000円返済しています(あと8年残っている)。貯金は財形、個人年金以外は1~3万円できたりできなかったりという具合です。夫は今の職場でやっと落ち着き頑張ってくれているので転職は期待できません。私は数年後に2~3万円くらい昇給の見込み。今の仕事を夫婦で頑張っていきたいと思っています」
 
■ファイナンシャル・プランナー深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 大学費用はできるだけ奨学金の利用は避けたい
アドバイス2 老後資金は子どもが大学へ入学してから準備しよう
アドバイス3 支出明細を細かく記録し“ちり積も”で貯めるお金を捻出
 

アドバイス1 大学費用はできるだけ奨学金の利用は避けたい

高校卒業後の進路は子どもの意思に任せるとのことですが、学資保険の満期金以上の費用は奨学金を考えているとのこと。果たして、それでいいのでしょうか。いろいろ事情はおありでしょうが、ファイナンシャル・プランナーとしてはできれば避ける方向で考えて欲しいと思います。というのは社会人としてスタートする時点から借金を抱えるというのは、その後の人生において大きな負担になるからです。ビッキーさん自身、今も奨学金の返済を続けているようですから、それはよくお分かりのはずです。
 
では本当に、学費を準備することは難しいのでしょうか。毎月の貯蓄が4万円ですから年間48万円。下のお子さんが大学へ入学するまでには11年ありますから48万円×11年で528万円。これに学資保険200万円×2人分の400万円と、現在の貯蓄140万円を合計すると1068万円。大学の学費の目安は文系390万円、理系500万円ですから、お子さん2人の学費が準備できない金額とはいえません。
 
もちろん、貯蓄全額を教育費に使うのは難しいかもしれません。しかし奨学金を利用する場合も、できるだけ金額を少なくする、貸与型ではなく給付型を探すなど、将来の負担を少なくなる方法をぜひ模索してください。
 

アドバイス2 老後資金は子どもが大学へ入学してから準備しよう

当面の貯蓄を教育費に充ててしまうと、老後資金が心配になるかと思います。次女が大学入学以降に貯められるお金を見ていきましょう。下のお子さんが大学へ入学するとき夫は53歳ですから、60歳までと考えると7年あります。貯蓄額は現在と同じ年48万円とすると336万円、65歳から受け取れる個人年金が夫婦合わせて1120万円、合計1456万円が老後資金となります。これで足りるかどうかという問題はありますが、最低でもこれだけは準備できるということです。プラスアルファでビッキーさんの退職金もいくばくかはあるはずです。
 
さらに健康に留意して60歳以降も働けば、それだけ老後資金を増やすことができます。奨学金の返済や教育費といった支出がなくなれば、それも貯蓄を増やすためにはプラスの要素になります。教育費が終わったからと安心せずにしっかり貯めていけば、老後資金を準備する時間は残されているのです。
 

アドバイス3 支出明細を細かく記録し“ちり積も”で貯めるお金を捻出

貯めるお金を増やす余地がないか、現在の支出をみていきましょう。
まず気になるのは車両費です。現時点でのローンの支払いは仕方ありませんが、今後は車をローンで購入するのはやめてください。次の買い替えは予定通り軽自動車にし、購入費用を抑えることも大切です。自動車保険も2台分とはいえ高すぎます。インターネットで複数社の見積りを取って変更を検討しましょう。ガソリン代も高めですから、車の利用方法そのものを少し見直した方がよさそうです。

通信費が高いのは夫の携帯代でしょうか? 格安スマホでもさまざまなプランがありますから、利用方法に合ったものがあるはずです。通信費は一度見直せば削減が継続するので家計への貢献が大きい費目ですから、ぜひ夫にも協力してもらってください。保険は貯蓄型のものがほとんどなので大きな節約にはなりませんが、子どもの保険は解約、ビッキーさんの保険は共済の医療保障または総合保障2型にし、余計なコストはかけないという意識を明確にしましょう。火災保険はボーナスから支払っている掛け捨てタイプを解約検討中とのことですが、解約するならば毎月支払っている満期返戻金ありの火災保険の方です。貯蓄が少ない家計の場合、保険でお金を貯めてもいざというとき役に立ちません。優先すべきことは、貯めるお金は預金などすぐに使える状態で保有しておくことです。
 
ここから先は、支出を細かくチェックして“ちりつも”で貯めるお金を増やしていくしかありません。まずは2~3カ月、食費や雑費の内容を1品目ずつ細かく記録してください。無駄な買い物をしていないか、節約できる部分はないかを確認するのです。そんな細かいことを……と思うかもしれませんが、1円単位の細かいお金の積み上げがまとまった貯蓄につながり、将来の安心への道を開いてくれるのです。
 

相談者「ビッキー」さんより寄せられた感想

深野先生からのアドバイスありがとございます。やはり自分でも見直すべきところかな……と思っていたところをすべてご指摘いただき、確信が持てました。これから1つずつ夫と相談し、見直していきたいと思います。家族で協力し、今より少しずつ倹約に努めて、自分たちの力で子どもたちを大学へ行かせてあげられるよう頑張りたいと思います。ありがとうございました。
 

 教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/鈴木弥生


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