フェイクニュース、陰謀論……偽情報を信じ込んでしまう心理

パソコンで調べ物をする女性

誤った情報を信じていると、誤情報を支持する情報ばかりを見てしまい、「やはり本当なんだ」と間違った判断をしてしまうことがあります

人には、自分に都合の良い情報を選んで、それを信じたいという傾向があるものです。新型コロナウイルスの感染が世界中に広がる中で、憶測も含めた様々な情報が飛び交いましたが、このような混乱時に出てくるいわゆる「フェイクニュース」や「陰謀論」などにも、そういった心理が影響している面があるかもしれません。

科学的には全く根拠がない「コロナは○○で治せる」「コロナは〇〇が原因だ」といった情報は、多くの人には風変わりな考えに見えたとしても、それらを信じたい人が見聞きすれば、「やはりそうなのか!」と捉えてしまうものなのでしょう。そこには「この情報が本当だったら嬉しい」あるいは「この情報が本当だった方が都合が良い」という無意識の影響が見られます。

こういった心理は、有事のときだけのものではありません。例えば、雨が降ってほしくない日に、夕方雨が降るかもしれないという予報を聞いても、できれば信じたくないでしょう。私自身、残念な天気予報を聞いたにも関わらず、家を出る時に晴れていて他の人たちも傘を持っていなければ、その時見たばかりの情報で何となく大丈夫だろうという気分になって、傘を持たずに出勤してしまったこともあります。このような朝の間違った気分も確証バイアスで説明できそうです。
 

確証バイアスとは何か……自分の考えに合わせた先入観や認識の歪み

誰もがある程度持っているこうした心理的傾向は、心理学用語で「確証バイアス」と呼ばれるものです。この場合「バイアス(bias)」という語は、人の先入観や認識の歪みなどの心理的傾向を意味する語として、使われています。確証バイアスとは、何かしらの仮説や考えを検証する際、それに都合のよい情報ばかりを集め、逆にそれらを否定するような情報を無視してしまうような心理傾向を指します。

自分が信じていることの確証を得たり、人を説得したりしたいと考え、様々な情報の中からそれに都合のよい話やデータばかりを重視してしまう場合、この確証バイアスに陥っている可能性があります。血液型だけで「B型だから」「O型だから」という先入観を持ってしまうケースや、SNSで同じ意見の人ばかりと集まって、自分の考えがやはり正しいと思い込んでしまうようなケースも、確証バイアスに陥っている状態と言える面があります。
 

確証バイアスのリスク……判断を誤り日常生活に支障をきたすことも

確証バイアス自体は人の心理的傾向の一つで、心の病気の症状として、はじめから見るべきものではありません。しかし確証バイアスに陥ると、間違った判断や行動など、ひどい失敗をしてしまうことがあります。

たとえば以前流行したノストラダムスの予言書などにも、その一例と言える面があると思います。この有名な予言書は、大きな戦争や事件を的中させてきたと注目されましたが、その中身は、一般の人から見れば、抽象的な詩のようなものが書かれているだけです。しかし、専門家ではない一般の人でも、それが非常によく当たる預言書である、という気持ちで読むと、抽象的な言葉や言い回しがどれも実際の事件を表しているように、はっきり思えてくるかもしれません。抽象的な情報なのに「やはりどれも当たっている」と思ってしまったら、これにも確証バイアスの影響がかなりあるといえるでしょう。予言通りならこの先もっと恐ろしいことが起こると信じ、深刻に思い悩んだり、実際には不要なシェルターなどを作ってしまったりしては、現実の生活でも何か支障が出てくるはずです。

日常レベルでも、様々な情報を集めて判断しなくてはならないことは、たくさんあります。たとえば「新居を購入すべきか?」といった判断をするときでも、情報を集める中で、確証バイアスが発生する可能性があります。確証バイアスがかかってしまうと、配偶者であれ、それに反対する相手を遠ざけたいような気持ちになってしまうこともありえます。

意見が対立したり、本当だと思っている情報がお互いにかみ合わない場合は、相手の立場で同じ問題を考えてみるということも、そうした際には頭においてみてください。
 

不安な状況下では、情報収集の偏りにも注意を

今回の新型コロナウイルスのように、不安な状況で様々な情報が飛び交う中では、情報収集をするうちに、つい偏った情報を集めてしまうこともあるかもしれません。完全に確証バイアスに陥ってしまうと、自分で偏りに気付くのは難しいものです。自分と同じ意見の人の話ばかりに限定せず、周りの人の話している情報などと比べてみることも大切です。偏りに気づくきっかけになるかもしれません。もしも自分の確証バイアスに陥っていることに気付いた人は、それに気付けなかったらどうなっていたか……をちょっと想像してみるのも、おすすめします。
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