小学一年生の読書感想文におすすめの本10選
小学一年生の読書感想文の本を選ぶときは、読みやすさ・書きやすさ・楽しさが大切。感想文のためだけでなく、その後の豊かな読書習慣につなげていきましょう
普段あまり読書をしない一年生の場合、特に好きなジャンルがなければ、自分で選ぶのは「読めそうな本」。つまり、薄く、文字が大きく、漢字が少なく、挿し絵が多い本を選びがちですが、それで全く問題ありません。もちろん、絵本でも大丈夫。一冊読み通せたという体験は、大きな自信になります。
ただ、感想文の書きやすさを考えて、読みやすいだけでなく、感想や意見が言いやすい、子ども自身と共通点のある本を選びたいですね。
以下、一年生におすすめの本をご紹介します。親子で読書感想文に取り組むとき、感想文が書けないときなどの声かけのヒントもご活用ください。
なお、読書感想文の本選びのコツについては、「読書感想文が書きやすい本って?小学生の親が知っておきたいポイント」をご覧ください。子どもが、読書感想文を書きにくいと感じたときや、ルールから外れた本を選んだときの対処法などもご説明しています。
<目次>
ハキちゃんの「はっぴょうします」
■あらすじと特色ハキちゃんのクラスで、みんなに教えてあげたいことを話す「あさのはっぴょう」が始まりました。みんなを驚かせたいハキちゃんは、珍しいものを求めて公園へ。そこで出会ったよねだくんに「カナヘノサウルス」を見せてもらいます。
虫めがねを使ってみれば、いろいろな虫が「モンシロマイムス」「カマキリトプス」に大変身。文字が大きく、絵が明るく、身近なテーマを扱っている上に、笑える場面がたくさんあるので、読みやすい本です。物語よりも、虫や自然の本が好きな子にもおすすめできます。
■書き方と声かけのヒント
- 「自分だったら、何を発表するかな」「どうやって探すかな」自分だけの発見や好きなこと、発表するときのことを想像してみよう。
- ハキちゃんやよねだくんみたいな子が、身近にいるかな? 自分に似ているところ、全然違うと思ったところ、好き(嫌い)なところがあるかな?
- 見方や呼び方を変えるとおもしろくなるものは何かあるかな? 見つけたらそれも紹介してみよう。
書籍名:ハキちゃんの「はっぴょうします」 (おはなしドロップ)
作:黛くみこ
絵:土田のぶこ
出版社:佼成出版社
おともださにナリマ小
■あらすじと特色ハルオは1年生になったばかり。みんなに遅れてたどり着いた学校は、いつもと少し、様子が違います。実は、そこは「キツネ小学校」。キツネの子どもたちが、ハルオたち「やまびこ小学校」の子どもたちに化けていたのでした。
文字は小さめ、少し長めのお話ですが、いつもの通学路から突然不思議な世界に行ってしまうという展開に、ドキドキしながら読める本です。1年生になったばかり、という共通点も共感ポイントの一つ。一人で読み通すのが難しい場合は、一緒に読んでもいいかもしれません。想像すること、動物の出てくるお話、ユーモアのある物語が好きな子におすすめです。
■書き方と声かけのヒント
- もし自分が間違えてキツネ小学校に行ってしまったらどうするか、気持ちやしてみたいことをできるだけ細かいところまで考えてみよう。
- 「キツネ小学校のほかにどんな小学校があるかな?」「もし突然知らない世界に入り込んでしまったら……」など、想像を膨らませてみよう。
書籍名:おともださにナリマ小
作:たかどのほうこ
絵:にしむらあつこ 絵
出版社:フレーベル館
ふたごのでんしゃ
■あらすじと特色路面電車の「べんけい」と「うしわか」。町中の人を乗せて大活躍だったのに、いつの間にか自動車が増えてきて……。とうとう廃止が決まってしまいます。
親世代が子どもの頃から読まれ続けている、ロングセラーです。人気者だったべんけいとうしわかが邪魔者扱いされるようになる様子や、電車をどうするかでもめる大人たちにハラハラ、子ども図書館に変身するという幸せなエンディングにホッ、と夢中で読めるお話。文字が大きく、カタカナや漢字もほとんどないので、一人読みの練習にも最適です。
■書き方と声かけのヒント
- べんけいとうしわかの悲しみに注目する子がいれば、不便なら廃止されても仕方がないと論理的に話す子もいる、さまざまな感想の出てくる本です。どんな意見であっても、大人の否定は禁物。「もし自分が市長さんだったら」につなげるといいでしょう。
- 小さな頃に大切にしていたおもちゃについて、考えてみてもいいですね。
書籍名:ふたごのでんしゃ(日本の創作幼年童話 15)
作:渡辺茂男
絵:堀内誠一
出版社:あかね書房
としょかんライオン
■あらすじと特色図書館にライオンがやってきた! 図書館の人は大慌てですが、館長のメリウェザーさんは、決まりを守れば、ライオンでも図書館を利用できると言いました。ライオンは、次第にみんなと仲良くなっていきます。でも、ケガをしたメリウェザーさんを助けるため、決まりを破って大きな声を出してしまい……。
表情豊かで心優しい、しかもふさふさの毛が気持ちよさそうなライオンのおかげで、すぐに物語の世界に引き込まれます。また、「ルールとは何か」「正しいとはどういうことなのか」など、あたたかな物語の中にも考えされられる部分があるので、感想文も書きやすいでしょう。
■書き方と声かけのヒント
- 「もしいつもの図書館(学校の図書室)にライオンが来たらどうする?」を想像してみましょう。
- 図書館に限らず、やむを得ず、またはついうっかりルール(約束)を守れなかったことがあるかな? ルールって何だろう? (大人は正解に誘導しないよう注意しましょう)
- ライオンへお手紙を書くのも、楽しいですよ。
書籍名:としょかんライオン(海外秀作絵本)
著:ミシェル・ヌードセン
絵:ケビン・ホークス
訳:福本友美子
出版社:岩崎書店
みどりいろのたね
■あらすじと特色今日は、クラスで種まき。まあちゃんはもらった緑色の種のほかに、こっそりなめていた緑色のあめ玉まで埋めてしまいます。怠け者のまあちゃんが水やりをさぼったせいで、地面の下は大騒ぎ。生えてきたのは……?
お話も絵もユーモラス、文字の量も少なめで、絵本感覚で読める本です。本を読むのが苦手な子の、「絵本じゃない本を自分で読めた」という達成感にもつながります。「教訓的な学びのない本はちょっと……」という大人の声も多少はあるのですが、まずは物語を楽しんでいただきたいと思います。 ■書き方と声かけのヒント
- まあちゃんのこと、どう思う? 朝顔を育てている子には、まあちゃんの気持ちがわかるかな? もしかしたら、不思議な植物が混ざっていたりして……、何の種を植えてみたいかな、などいろいろ想像してみましょう。
- 楽しさよりも違和感がある子は、それをていねいに書いてみましょう。「まあちゃんは態度を改めるべし」という感想でも、もちろんいいのです。
- 「まあちゃんや畑はこの後どうなったと思う?」と、お話の続きを考えてもおもしろいですね。続きが思い浮かぶということは、お話の内容や登場人物のキャラクターをしっかり理解できているということ。読解力と想像力を生かした読み応えのある感想文が書けるかもしれません。
書籍名:みどりいろのたね(福音館創作童話)
作:高楼方子
絵:太田大八
出版社:福音館書店
トラベッド
■あらすじと特色お父さんとお母さんが、1歳になったばかりの妹に夢中なのに、むしゃくしゃしているお姉ちゃん・ヒロのお話です。
寂しい(大人から見るといじらしい)ヒロも、すぐに眠たくなってしまうお母さんも、リアルなので、きっと共感できるはず。ユーモアもあるので、思わず涙がこぼれるようなストーリーはお説教くさく感じてしまうというお子さんには、特におすすめ。
■書き方と声かけのヒント
- 妹や弟が生まれて、寂しかったことやお父さん・お母さんに文句を言いたくなったことがあるかな? きょうだいげんかをしたことがあるかな? そんなときの気持ちを思い出してみよう。
- 家族や仲良しの友だちとけんかをしてしまったとき、トラが出てきたら、どうする?
書籍名:トラベッド(福音館創作童話)
作:角野栄子
絵:スズキコージ
出版社:福音館書店
風をつかまえたウィリアム
■あらすじと特色アフリカのマラウイで起きた大干ばつで、お金も食べものもなくなり、学校も辞めることになったウィリアム。でも、図書館に通い、廃材で風車を作り、電気を起こすことに成功しました。
ノンフィクションですが、説明がていねいでわかりやすく、美しい貼り絵も理解を助けてくれます。物語が苦手な子、偉人伝(伝記)が好きな子、身の回りの不思議に興味がある子、物を作るが好きな子におすすめです。
■書き方と声かけのヒント
- 「食べるものがない」「学校に行けない」「電気がない」という状態について感じたことを素直に書いてみよう。
- 「自分がウィリアムだったらどうする?」「自分がウィリアムの友だちだったらどうする?」 「もし学校に行けなかったら?」「もし今の生活に電気がなかったら?」なども考えてみよう。
書籍名:風をつかまえたウィリアム
文:ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー
絵:エリザベス・ズーノン
訳:さくまゆみこ
出版社:さ・え・ら書房
番ねずみのヤカちゃん
■あらすじと特色ヤカちゃんの「ヤカ」は「やかましや」のヤカ。子ネズミが、その大きな声で泥棒を追い返す、愉快な物語。
わかりやすく楽しいお話なので、とても喜ばれます。特に、何かと注意されてしまうことの多いお子さんは、ヤカちゃんが大好きになってしまいます。一人で読むのが難しいようだったら、読み聞かせをしてから一人読みに挑戦してみるといいですよ。
■書き方と声かけのヒント
- みんなに「しーっ」と注意される、その大きな声で大活躍するヤカちゃん。自分の困った癖に注目して、こういうときなら役に立つかなと考えるのもいいですよ。気持ちも前向きになります。
- ヤカちゃんがとても魅力的なので、ヤカちゃんへ「ここが好きだった」というファンレターを書くのもおすすめです。
書籍名:番ねずみのヤカちゃん(世界傑作童話シリーズ)
作:リチャード・ウィルバー
訳:松岡享子
絵:大社玲子
出版社:福音館書店
かわいいこねこをもらってください
■あらすじと特色子ねこを拾ったちいちゃんが、無事飼い主を見つけるまでを描いた物語。絵はとてもかわいらしいのですが、内容はかなり現実的です。子ねこの愛らしさだけではなく、ちいちゃんの家庭の事情、生きものを飼うにはお金がかかること、なかなか飼い主が見つからないつらさなどもしっかりと描写されています。じっくり読みたい本です。
ねこの好きな子、ペットを飼っている子・飼いたい子、本が好きなお子さんにおすすめ。
■書き方と声かけのヒント
- 印象に残ったシーンについて「自分だったら」という想像してみよう。
- もし自分だったら、子ねこをどうする? ねことの暮らし、自分があきらめたら失われてしまう命について、考えてみるのもいいでしょう。
書籍名:かわいいこねこをもらってください(ポプラちいさなおはなし)
作:なりゆきわかこ
絵:垂石眞子
出版社:ポプラ社
よわいかみつよいかたち
■あらすじと特色同じ紙でも、折り方や置き方によって強さが変わる、ということを教えてくれる科学絵本。ていねいな説明がとてもわかりやすく、読者の不思議だなと思う心を刺激し、知りたくなります。
いろいろな作品やおもちゃの作り方を書いた「工作の本」ではありませんが、紙を使ったいろいろな実験が出てくるので、物語が苦手なお子さん・科学や工作が好きなお子さんにおすすめです。
■書き方と声かけのヒント
- 読み終えると、絵本と同じ実験をしてみたくなると思うので、ぜひ、試してみてください! 読むだけでも充分おもしろいでのすが、実際に実験してみると、驚きや楽しさなどより多くの感情が沸いてくるはず。本と自分の体験とを結びつけて感想文を書くいい練習にもなります。
- 駅や町や工事現場に、同じような形のものはあるかな?
- 不思議に思うこと、作ってみたいもの、知りたいことがあるかな?
書籍名:よわいかみつよいかたち(かこ・さとし かがくの本)
著・絵:かこ・さとし
出版社:童心社
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