乳幼児期に悩まされることの多い癇癪(かんしゃく)ですが、小学生になって悩んでいる親もいるようです。癇癪は成長過程の一つでもありますが、育つ環境が関係している場合、親の行動変容が子どもを変えていく可能性があります。また場合によっては「軽度発達障害」が原因のこともあります。小学生の癇癪へ対応はどうしたらよいでしょうか?
 

癇癪を起こすとは? 子どもの成長過程でもある

癇癪を起こすとは?小学生の癇癪

乳幼児の時期に悩まされることが多い癇癪は小学生でも見られます。そもそも癇癪を起こすとはどういうもの?

一般的に「癇癪を起こす」というのは、小さな子どもが自分の思い通りにならず、イライラして泣き叫んだり、物を投げたりする行動のことです。年齢は2歳から4歳くらいの子どもであることが多いです。

癇癪は親の立場からするとうるさいですし疲れますし、あまり良いイメージはないでしょう。ただ癇癪は成長過程の一部分でもあります。

癇癪を起こすということは、自分が何かをしたいと考えられるようになっていることです。そして、それを伝えようとしていることも同様です。しかし残念ながら、身体的な発達や言語能力の発達が十分でないことなどにより、自分の思いが伝えられないのです。それが行動として表れたものが癇癪なのです。

多くの場合、身体的能力や言語能力を獲得していくことで、そういった行動は減ってきます。年齢としては5歳くらいで落ち着いてくることが多いようです。しかし小学生でも癇癪はみられることがあります。
 

小学生で癇癪を起こす子とは

子どもの育ちにおいて「生まれつきの素質(遺伝的要素)」と「育つ環境」とどちらが大事なのかが議論になることがあります。

現在の一般的な考え方は、何の能力かによって「素質」と「環境」に与える影響に差があるとされています。例えば運動能力の場合は、その子どもが「育つ環境」、つまり後天的な要素の方が影響が大きいとされています。

癇癪の場合は、「生まれつきのもの」と「育つ中でのもの」の両方が関係しています。実際にはその両者が絡まりながら子どもは育っています。生まれつきこだわりが強い子どもは、日々を過ごす中で思い通りにならず上手に解消されないことが続くと、爆発してしまうことがあります。このようなことが繰り返される中で、その子どもの性格のようなものが形作られていきます。
 

癇癪は「軽度発達障害」などが原因のことも

こだわりの強さなどにより思いが爆発してしまうようなパターンは、場合によっては「軽度発達障害」が原因としても考えられます。癇癪を起こすことがそのまま「軽度発達障害」につながるわけではありませんが、他の行動なども見て、もし不安に感じるようであれば、専門機関への受診をおすすめします。

「発達検査」などを受けることで、その子どもの現在の状況がよく分かります。「発達検査」は大人が人間ドックを受けるようなものだと私は思っています。人間ドックを受けることで体の状態を知ることができます。脂肪が多いようであれば、食生活の改善や運動を増やすようにします。肝臓が疲れているようであれば、お酒を控えるようにします。

このように検査をし、結果が分かることで、次に打つ手が見えてきます。子どもの行動も同様で、その子どもの弱い部分、強い部分を把握した上で関わるようにすると、日常生活でのトラブルが減る場合が多いです。
 

育ちの中で身についたものは、時間をかければ変わることもある

後天的な要素で身に付いたものに関しては、後から変えていくことができる場合があります。私が小学校の担任であった際、怒りっぽい子どもと関わった時、少しずつ時間をかけて、その性格が穏やかな方へ変化できるようにやっていました。

まずその子どもと信頼関係を築いた上で、私との関係の中でその子が怒りそうな状況を作ります。怒り出しそうになる少し前に「怒っても無駄だよ。怒っても何の解決にもならないよ。却って状況が悪くなるだけだよ。」と言い、怒り出そうという感情をそこで止めてしまいました。もやもやとした顔をしながらも怒り出さなかった子どもには、少し時間が経ってから「怒らなくて素晴らしい、さすがだ」と褒めていました。こういったことを繰り返していくと、少しずつその子どもの「我慢度合い」が高まります。もちろん、うまくいくことばかりではありませんが、うまくいくことが多かったです。
 
癇癪 小学生 対応

小学生の癇癪への対応は?……親の関わり方で状況が変わる可能性も

子どもの性格のようなものは、周りの大人、特に親の関わり方によって形作られる場合が少なくありません。例えば、親が過干渉気味で、子どものやっていることにすぐに口や手を出すような場合、その影響を受けて育ちます。1つは、親の言うことを何でも聞くような依存性が高く、自分の意思を出すことをあまりしないような子どもに育つことがあります。もう1つは、逆に親に対してぶつかっていくような激しい感じの子どもに育つこともあります。

もし自分の子どもが感情的に暴れることが気になる場合、親が子どもとの関わり方を変えることは、子どもにとっても親にとっても良いことです。

親は、カッとなって叱る(怒鳴る、口を出す)ことを極力減らすなど、ちょっと我慢が必要な場合もあります。例えば「何やってんの!」と叱りたい時は「大丈夫?」という言葉に置き換えると良いでしょう。

子どもの体や心は、環境の影響を強く受けます。親の行動変容は、子どもの行動をも変えていく可能性を持っているため、その後の子どもに変化が出ることが多いでしょう。

参考資料:
運動神経は遺伝で決まる?努力で運動能力は上がるのか」All About
子どもは生まれか育ちか」CHILD RESEARCH NET
生まれつき?育て方?子どもの能力を伸ばすには」NHKすくすく子育て情報
環境か遺伝か」玉川大学大学院 教育学研究科コラム


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