お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

40歳近くで結婚、貯金150万円。4500万円の住宅ローンを背負っています……(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、昨年結婚し、マンションを全額借り入れで購入した40歳の派遣社員の女性。今後の家計管理や繰上返済のタイミング等で悩んでいるとのこと。家計コンサルタントの八ツ井慶子さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 「良くない支出」を削っていく作業が大事に

ご相談は「家計の見直しと繰上返済と貯蓄のバランス」について。加えて、住宅について将来的に不安とのこと。
 
ご結婚されて、まだ貯蓄がさほど多くなく、多額の住宅ローンを抱えていらっしゃり、そして、出産となれば、養育費、教育費の準備も必要ですね。確かに不安要素はありますが、個々について考える前に、基本に立ち返って、ご家族のライフプラン表をまずは作られてはどうでしょうか。
 
将来が曖昧だったり、漠然としていると、誰しも不安を感じるものです。そこでどう生きたいか、それを整理して、必要な資金、必要な貯蓄を考えることで、少しでもあいまいな部分を小さくさせていきましょう。たとえ実際はそのとおりにならなくとも、希望する将来をより目に見える形にすることで、過度な不安は解消されるでしょう。
 
不安要素を取り除く意味で、もうひとつ触れますと、モカさんの稼ぐ力は大したもの。在宅で、この収入が確保できるのは、とても素晴らしいです。ご自身はどう感じているかはわかりませんが、私は自信を持っていいと思います。今後の収入源のひとつとして考えてもいのではないでしょうか。
 
モカさんの家計管理については、独身時代の貯蓄があまりなかったことが気になります。ただいずれにしても今から見直しをするとなれば、何が無駄かを知る作業が有効でしょう。
 
レシート1枚1枚について、それは自分にとって良い支出だったのか、そうではなかったのか。そして、良くないと思える支出があれば、なぜ支出してしまったのか。ストレスなのか、人に勧められたからなのか、あるいは衝動買いか。買った理由を振り返ることで、ご自身(ご家族)にとって良くない支出=無駄使いを減らしていきましょう。地味な作業ですが、家計の見直しにはとても有効。人によって支出の価値観は異なります。こうすることで、本当の意味でその家族の「生きたお金の使い方」にたどり着けるのです。
 

アドバイス2 積極的な繰上返済が前提なら、借り換えも選択肢

難しいのは、不妊治療の費用をどう考えるかでしょうか。これについては、モカさんご夫婦の「納得感」が大事だと思います。「今年中をメドに」とのことですが、後悔のないように取り組まれてほしいなと思います。実現しなかったとしても養子という選択肢もあるかもしれません。あくまで一案ですが、人生にはいろいろな道があると思います。
 
そして、もうひとつのご質問が、住宅コストですね。完済がご主人75歳のとき。
 
対策として、モカさんは積極的な繰上返済を考えられていますが、いいと思います。1つのシミュレーションですが、毎年100万円ほど繰上返済を12回続けると、返済期間は約10年縮まります。他にも考え方として、今の貯蓄ペースが年間340万円ほどですから、1~2年後にはご自身で貯めたいと考えている150万円を超えるため、200万~400万円の繰上返済が計算上は可能となります。いずれにしても、貯蓄形成のスピードを見ながら、こまめに繰上返済を行ってみるといいと思います。
 
加えて言うなら、住宅ローンを変動金利に切り替えるような借り換えを検討するのも一案。ゼロ金利政策導入から20年超、マイナス金利にいたっては5年目に入ろうとしています。金利変動のリスクに対して許容できるようであれば、借り換えですぐに適用金利を下げられますし、いまの金利水準に上昇するまで余力もあります。例に返済期間を変えずに金利0.5%で計算すると、毎月の返済額は約2万円下がります。
 
繰上返済を積極的に行えぱ、金利変動の影響も小さくしてくれます。当然、借り換え費用が発生しますが、借入額が多いのと、残りの返済期間が非常に長いので、検討する余地はあるでしょう。
 

アドバイス3 今後の日本の住宅事情はガラッと変わる

最後に、やはり住宅についての不安として、将来のマンション建て替えへの対応についてですが、これについては不確定要素が多いため、いまから具体的な対策を立てるのも困難でしょう。とくに日本の住宅事情は、今後ガラッと変わると考えられます。
 
現在、日本の空き家増加は加速化しています。一方で人口は減少。2030年からの10年間で、約900万人減るという試算もあります。これは神奈川県の人口とほぼ同じ。空き家の問題はより深刻化すると思われます。となれば今より安価で住宅を購入・賃貸できる可能性が高まります。しかし、供給過多となれば、同時に売却しにくくなることも意味するわけです。そもそも売却できるのか、売却するとき残債も相殺できるか(あるいは完済しているか)、維持コストを負担しても保有し続けるのか、といったような点が検討のポイントになるのではないかと思います。
 
当面は住宅ローン返済を優先して考えて(お子さんが生まれたら、教育費とのバランスも考慮して)、夫婦リタイア後は住まいも含めてどこに住みたいか、どんな暮らしを送りたいかを検討しながら、住宅事情の情報も関心を持ちつつ柔軟に考えることを心がけるといいのかなと思います。
 

相談者「モカ」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございます。まずはレシートを1枚1枚見直すことから始めたいと思います。本当に必要だったものなのか、何か理由をつけて使ってしまったのか。後者のものも結構あるように思います。また、借り換えについては思ってもいなかったので、さっそく見積もりを取ってみようと思います。ローンを借りるまでは35年もの長期間のローンを変動金利だなんて怖くて考えられませんでしたが、実際に借りてから積極的に繰上返済することを考えたら変動金利に乗り換えた方がお得だと気付きました。これ以上はできないと思っていたことを改めて見直して少しずつ改善していきたいと思います。


教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん


  
 

 

家計コンサルタント。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心の家計コンサルタントとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める


取材・文/清水京武 

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