育児ストレスから慢性的にイライラ……子育て中のママが抱える悩み
小さなストレスが積み重なって、イライラが止められない! 育児中のイライラを減らし、子どもの前で笑顔でいるコツはないのでしょうか?
自分に関することであれば、感情や思考を切り替え、臨機応変に行動できることでしょう。大人同士のことであれば、互いの立場を想像して言葉で説明しながら、わかり合うことができるものだと思います。しかし、子どものことに関しては、そのようにいかないのがつらいところです。
親子とはいえ子どもが何を考え、感じているのか、よくわからないことも多いでしょう。良かれと思ってやってあげたことが、子どもの気持ちを逆なでしてしまうこともあるかもしれません。子どものための苦労をまったくわかってもらず、切ない思いをすることもあるのではないでしょうか。このようなストレスを毎日のように感じている方は、きっと少なくないように思います。
育児中のストレスを増やしやすい行動 3つの傾向
長年のカウンセリング経験のなかで、育児中のストレスにとても悩まれている方には、次の3つの傾向が見られることが多いと感じています。1. 「こうあるべき」というこだわりが強すぎる
育児では「こうあるべき」というこだわりが強いほど、「思うようにいかない」と感じることが多くなり、ストレスを強く感じる機会も多くなると思われます。たとえば、次のようなこだわりを強く持っていないでしょうか。
- 子どもに「すばらしい教育」を受けさせるべき(ハイレベルな教育、ブランド校受験、など)
- 子どもの生活は「きちんとしている」べき(ジャンクフードはNG、片付けはいつもきちんと、など)
- 周囲と比べて「恥ずかしくない家庭」であるべき(生活、身なり・持ち物のレベルへのこだわり)
- 笑顔の似合う「ステキな親」であるべき(どんなときでも笑顔を絶やさない、など)
2. 考え方がネガティブに寄りすぎている
日常にはたくさんのハプニングが生じますが、その一つひとつをネガティブに捉えていると、物事を否定的に受け止めるくせが身についてしまいます。するとたとえば、「子どもが言うことを聞かないのは、私(あの人)の育て方が悪いから?」「連絡がないのは、私(あの人)が嫌わているから?」というように、根拠もないのにあらゆる物事をネガティブ方向に考えるようになり、ストレスは増える一方になってしまいます。
3. 行動や人脈のチャンネルが少なくなっている
気がつけば交流する人が、家族と近所のママ友だけになっている。行動範囲が、家と公園、スーパーをめぐるだけになっている。触れる情報が、子育てや地域に関するものばかりになっている。子どもが幼いうちはこのような状況にある方が多いかもしれませんが、こうした状況が長く続くと心を活性化させる刺激が乏しくなり、前向きな発想が浮かびにくくなってしまいます。
「ママのイライラ」は子どもにどんな影響を与えるの?
次の項目で紹介するように、育児ストレスを抱え込みすぎると、子どもにも影響が生じやすくなってしまうため、注意する必要があります。1. こだわりを子どもに向けると、ほめるチャンスが減ってしまう
「こうあるべき」というこだわりを強く持ちすぎると、寛容になりにくくなってしまいます。すると、子どもの「できないこと」にばかり目が行き、心配したり注意したりすることも増えてしまうでしょう。子どもは「できたこと」をほめてもらい、一緒に喜んでもらいたいのですが、ほめられるチャンスが少なくなると、自信を持ちにくくなってしまいます。
2. 親がネガティブに考えると、子どもも悲観的に考えやすくなる
子どもは、大人の言葉や態度を参考にしながら成長していきます。親が物事をネガティブに考えていると、子どもも悲観的に考えやすくなってしまいます。すると「多少は冒険をしてでもやりたいことをやってみよう」という勇気を持つことが難しくなり、新しいことにチャレンジしようという気持ちを持ちにくくなってしまいます。
3. 楽しみの少ない日常でたまったストレスを、子どもにぶつけてしまう
子育て以外の活動を楽しめないでいると、ストレスはたまる一方です。するとふとしたときに、たまったストレスを子どもにぶつけ、子どもを強く叱りつけてしまうことがあります。子どもはそのたびにつらくなり、親の機嫌を気にしやすくなってしまいます。
子どもの前でイライラしないための3つの方法
では育児中のストレスを減らし、子どもの前でイライラしないためにはどのようなことを心がけていくとよいのでしょうか? 3つのヒントをお伝えしたいと思います。
1. こだわりはほどほどに。子育ては寛容がいちばん
「こうあるべき」を大切にしてきた人ほど、そのこだわりを子どもに対して向けすぎないようにしていく必要があります。「こうするべきなのになぜできないの?」といった考えが浮かんだら、「この子にはこの子のペースがある」「できないとしても、大きな問題があるだろうか?」というようにいったん自分に問いかけてみてください。続けていくと、気持ちが大らかになっていきます。
2.ネガティブ思考に気づいたら、その都度修正する
たとえば「子どもが○○できないのは、私の育て方が悪いせいかな?」とふと思ったときには「完璧な親なんてどこにもいない」、というように自分に語り掛けていきましょう。「なぜ私ばかりこんな目に遭うの?」とふと思ったときには「この試練で、私はひとつ成長できている」、というように自分に語り掛けていきましょう。このようにしてネガティブに偏りがちな思考をポジティブに修正する習慣を続けていくと、肯定的で前向きな思考に変わっていくでしょう。
3.育児以外の行動のチャンネルを増やしていく
「子育て中心で行動範囲が狭くなっているかも?」と感じたら、行動のチャンネルを増やしていきましょう。たとえば、地域の講座や趣味のコミュニティなどに参加してみてはどうでしょう? 様々な年齢層や背景を持つ人と話し、知らなかった情報にふれることで、自分の世界がどんどん広がっていくでしょう。できる範囲で行動のチャンネルを増やしていくと、新しい刺激や情報が得られ、新しい友人に出会うことができます。すると、自分の世界がどんどん広がっていくでしょう。