働くママと専業ママはどちらが大変? それぞれの悩みとストレス
お互いについ比較してしまう「働くママ」と「専業ママ」。自分が抱えている悩みやストレスから、相手を羨んだりやっかんだりしていませんか?
ワーママにとって、多くの悩みの根幹にあるのは「とにかく時間がない!」という気持ち。よくお聞きする具体的な悩みやストレスとしては、
- 子どもと過ごす時間が十分に取れない、子どもの成長を見守る時間が取れない
- 子どもの困り事にタイミングよく気づけているか不安
- 家事、料理に時間がかけられない。キャラ弁なんて無理
- 結局、仕事も家庭もどっちも中途半端にしかできない……
一方で、専ママの悩みの根幹には「気分転換できない!」というものがあるようです。よくお聞きするのは、
- 子どもはかわいいけど、1日中世話をするのはしんどい
- 考えるのは家庭や子どものことばかりで、視野が狭くなってしまいそうで不安
- 生活が緩んで緊張感がない……社会に置いていかれそうで怖い
- 主婦業・母親業は大変なのに、なかなか仕事のように評価してもらえない
ワーママと専ママは、それぞれが抱えている不安やストレスから、お互いに対して羨みやネガティブな思いを感じてしまうこともあるようです。
人それぞれですが、ワーママは専ママに対して「子どもの成長にじっくり寄り添えそう」「子どもが手間取っても、待ってあげる時間があっていいな」「手作りや手料理に時間をちゃんとかけてそう」「せかせかせずに子どもと歩調を合わせて、のびのび子育てができそう」「保護者会やPTAの仕事ができないことがあるので、専ママに対して肩身が狭い」といった気持ちを持っていることが多いようです。
これに対して専ママからは、ワーママに対して「自立した女性という感じがする」「社会と関われていて、自分を磨けそう」「子どもと少しでも離れる時間が持てるのは羨ましい」という声、なかには「いつも忙しそうで、子どもと過ごす時間があるのかしら?」「どうして働いている人のために、保護者会やPTAの仕事を負担しなきゃならないのだろう……」という声も聞かれます。
引け目や羨みはお互い無意味! 人と比較することのデメリット
ワーママと専ママは、お互いが「自分にないところ」を持っているもの。そして、人はつい「自分にないところ」に目が行き、それを持つ人に引け目を感じたり、羨みややっかむ気持ちが出てしまったりすることもあります。しかし、そういった気持ちは全て無意味です。人の生き方は十人十色。自分のアイデンティティに従い、それぞれの人生を堂々と歩んでいけばいいはずです。とはいえ、「比較が無意味と言われても……」とスッキリしない方は多いと思います。そこで、比較することが無意味な理由とエピソードを2つ見てみましょう。
■比較が無意味な理由1. 子どもは自分のママがいちばん好きだから
そもそも、子ども自身は「ボク(わたし)のママがいちばん好き!」と思っています。
時に子どもたちは、「○○ちゃんは、ママがいつも一緒にいてくれていいなー」「○○ちゃんママは、○○のお仕事をしているんだって! かっこいいねー」などと言うかもしれません。言われたママは、一瞬思い悩んでしまうものですが、結局どちらの子もやっぱり「自分のママがいちばん!」と思っています。
かつて、私の息子が幼児の頃に「○○ちゃんのママって何でもできるんだよ! すごいんだよ!」と、友だちのお母さんをやたらと褒めたことがあります。あまりに褒めるので、本気でそんなママがいいと思っているのかと、「じゃあ、本当は〇〇ちゃんのママの子だったらよかったのかな?」と息子に聞いてみたら、息子は「う~ん」と考え、「やっぱりこのママがいい!」と言ってギュッと抱きついてきてくれました。
このように、他にどんなにステキなママがいても、子ども自身は「自分のママがいちばん好き!」と思ってくれているのです。
■比較が無意味な理由2. 重要なのは、ママ自身の考え方と行動
もう一つ、働くママや専業ママを苦しめるのが、根拠のない育児論や迷信です。
「ワーママの子は、お母さんがそばにいない寂しさがあるから性格がゆがむ」「専ママの子は、お母さんがそばにいて何でもやってくれるから、甘ったれて自立できない」などと言われて、気落ちした方もいるかもしれません。しかし、こういった偏った意見は全くのナンセンス!
私は長年、大学生など若者のカウンセリングをしていますが、性格にちょっと癖のある子でも、その母親が「ワーママだから」「専ママだから」という根拠は全くありません。同様に年齢の割に甘えが多く自立に少し時間がかかりそうな子も、その母親が「ワーママだから」「専ママだから」という根拠は全くありません。
むしろ子どもの成長に影響するのは、親個人の考え方と行動です。ワーママであれ専ママであれ、もし他人や世の中を斜めに見る考え方をし、それを子どもに伝え続けていれば、子どもはもろにその影響を受けてしまいます。もし過干渉で何でも先回りして準備してしまえば、子どもの自主性は育ちにくくなってしまいます。
したがって、「働いているから」「働いていないから」といった単純な理由で、子どもの特性を決めつけることはできないのです。
人と比較せずに人生を輝かせる「3つの視点」
ワーママも専ママも、相手と自分を比較してくよくよと思い悩んだり、イライラしないこと。それぞれが、自分の人生をしっかりと進むために役立つ「3つの視点」があります。1. 考え方をポジティブにすること
物事の良い面を見ようとする視点は、子育てにおいて最も大切なことです。ポジティブな考え方ができれば、どんな苦境におかれても自分の力で、あるいは人と協力して切り抜けていけます。愚痴や悪口が多く、世の中を斜めに見て、将来の不安ばかりを口にするようでは、子どもにもポジティブな考え方を伝えることはできません。
したがって「ワーママだから専ママだから、これができない、子どもにこんな悪影響がある」とネガティブに考え、それを子どもに伝えるのではなく、ワーママも専ママも「みんな違ってみんないい」と考え、子どもにもそう伝えていきましょう。ママが自他の良いところを認めていけば、子どもも自然に自他を認めていけるようになります。
2. 大らかになること
「ワーママだから専ママだから」という狭い考え方でいると、子どもは「ボク(わたし)はお母さんがワーママ・専ママだったから、こうなったんだ」と考えるようになってしまいます。すると、苦手はずっと苦手のまま。しかも、親を怨むようになってしまうかもしれません。
そもそも、人に苦手なこと、うまくできないことがあるのは、当たり前のこと。「今はこれが苦手かもしれない。でも工夫をすれば、きっとできるようになるよ」「すぐに結果が出なくても、続けていけば上手になるよ」というように子どもの成長を信じて、温かく大らかに見守っていきましょう。すると、子どもも親の言葉を信じて、大らかに成長していくことができます。
3. 「お互いさま」と思うこと
損得勘定で物事を捉え、目先の利得ばかりを考えるのではなく、「人と人とは『お互いさま』で成り立っている」という視点に立つことも大切です。そもそも、ワーママも専ママもどちらも大きな目で見れば、お互いが他人や地域、世の中のためにがんばってくれているありがたい存在です。
「あの人は働いているから」「あの人は仕事をしてないから」という考え方に縛られず、目の前に困っている人がいたら、手が空いている人がシンプルに手を貸してあげましょう。そして、自分が困っているときにも、一人だけで何とかしようと考えないで周りにシンプルに助けを求めていきましょう。
すると、子どもにも「誰かに助けてもらったら、ありがたくその厚意を受け取っていいんだよ。いずれあなたも、別のことで誰かを助けて恩返しができる。こうして世の中は、お互いの『親切』で回っているんだよ」と教えることができます。
3つの視点を意識して、自分にも子どもにも健やかな毎日を
今回ご紹介した3つの視点に立てば、「ワーママ」も「専ママ」も、お互いのメリット・デメリットを比較したり、相手や自分が良い・悪いと評価することもなくなります。ワーママにも専ママにも、それぞれいいところがあります。ワーママの子も専ママの子も、自分のママだけでなく友だちのママからもたくさんのことを学び、成長していきます。そして、現代は人々のダイバーシティ(多様性)で成り立つ時代です。だからこそ、母親同士もお互いのダイバーシティを認めていきましょう。「ワーママと専ママは、みんな違ってみんないい。違いがあるからこそ、お互いに協力し合って生きている」という考え方に立つことができれば、自分も楽になり、子どもたちのためにもなるでしょう。
ぜひ、ワーママも専ママも上記の3つの視点を意識しながら生活し、お子さんにも積極的に伝えていっていただければと思います。