今回の貯蓄達人・ゆうたくさんは、当連載初の20代です
自らの努力と工夫で数千万円の貯蓄を手にした方に、その極意を語っていただく「貯蓄の達人」。今回は、20代にして貯蓄1100万円を達成した「ゆうたく」さんに登場していただきます。★マネープランクリニック編集部では貯蓄達人からのメッセージを募集中です★
■基本データ
ゆうたくさん(仮名)
男性・27歳・関西・会社員
独身・賃貸住宅
青春時代の悩み、堂々の第1位は「お金」
皆さんの若いとき、しかも青春と呼べる時代の悩みは何だったでしょうか……?Tポイントカードで知られるカルチュア・コンビニエンス・クラブが2018年に発表した「若者のライフスタイルに関するアンケート調査」によると、18~20歳の男女603名の「悩み」でもっとも多かったのが、何と「お金」。全体の50.2%は複数回答とはいえ、2人に1人が悩んでいるわけで、しかも就職や恋愛、勉強、あるいは容姿、友達といった項目を抑えての1位ということに、驚く人は少なからずいるはずです。
その要因や分析は専門家にお任せするとして、そういった悩みは早い話、「安定した高収入」か「まとまった貯蓄」でほぼ解決します。しかし、若いうちはどちらも無縁なんですね、世の中は。
今回の達人ゆうたくさんは、当連載初の20代です。27歳で金融資産1100万円を達成。つまり、無縁とされる若いうちの高額貯蓄を実現したのです。しかも、収入は決して高額の部類ではありません。
そう、お金が不安という若者が、30歳になる前にその悩みと決別できる、そんなうれしいヒントが満載の、今回の「貯蓄の達人」なのです。
月2万円の食費は生産性が大事
学生時代にバイトで100万円貯めちゃったので、厳密には社会人になって貯めたのは1000万円。5年間で毎年200万円貯めないと届きません。現在、貯蓄は月15万円、ボーナスからは40万円は貯めていますから、年間220万円ペース。確かに、それなら貯まります。しかし、ゆうたくさんの給与は手取りで月25万円。貯蓄が15万円ということは、生活費が月10万円……。しかも、賃貸住宅に住んでいます。いただいたデータを集計すると、さらに少ない月9万円で生活していました。うち、家賃は4万5000円。仙人級の生活費と言わざるを得ません。
なぜ、こんなことが実践できるのか。「月2万円」という食費からその理由を覗いてみましょう。
買物は週1回。野菜、肉、魚、それに冷凍食品、お菓子類と幅広く購入。ただし、平均すると1回3000~4000円。単価の高いものは買いません。基本は自炊。お弁当も作ります。さぞかし料理好きかと思うと……。
ガマンしないでお金を貯めるのが、ゆうたくさん流。月間の家計はエクセルで管理している
「あまり好きではありません。考えているのはいかに手間と時間をかけないか。そして、いかに生産性を上げるかということを楽しんでいます」
したがって、大量購入の食材は冷凍保存。汁物は4食分の量をまとめて作る。お弁当は当然、朝食で多めに作った残り。あとは冷凍食品で変化を持たせる。しかも、大事なのは、食費を削り過ぎないということ。そのため、凝った料理を食べたくなったら、ランチを勤務先周辺での外食(月2~4回)に切り替えたりもするといいます。
つまり、食費は高くならないように工夫しているが、そこに節約や我慢の意識はないということ。料理は好きではないが、作業として楽しんでいる。だから継続的に低コストの自炊が継続できるというわけです。
100万円以上は無理して貯蓄しなくていい……!?
もうひとつ、特筆すべきは「趣味娯楽費+小遣い+雑費」で1万円という破格ぶり。20代で収入が高くなくても、ここは少なくとも3万円、気にしなければ5万円はいくところです。ゆうたくさんの趣味は、マンガとYouTubeの動画鑑賞。しかし、マンガは古書店で購入するか、合法的な無料アプリを利用するため、当然コストは低め。YouTubeは言わずもがな。また、「乗り鉄」でもあるそうですが、遠出や旅行は好きではなく、単に日帰りで車窓の景色を眺めることを楽しむのだそうです。
遠出や旅行は好きではなく、単に日帰りで車窓の景色を眺めることを楽しむ、乗り鉄したときの電車の写真
別に意識的に支出を抑えているわけではなく、たまたま好きなことが、そうだというだけ。そして、関心や興味のないことには、いかにお金をかけないかということを意識する。それをゲーム感覚で楽しんでいるといいます。
節約はゲーム感覚で楽しむ。これは「大回り乗車」の計画をしているときの写真
「苦しむくらいなら、あえて節約はしないと思います。まったく貯蓄がないのは問題なので、無理をしてでも100万円程度の貯蓄は作りますが、少なくとも独身の今は、我慢してまでそれ以上貯める必要性は感じないからです」
一般的に「貯蓄」への道筋を逆にたどれば「支出削減」、そしてその奥に「我慢」や「忍耐」があるわけですが、ゆうたくさんは違います。我慢しなくても、興味のないものにお金をかけなければ支出は自然に減るという、きわめて合理的な発想です。しかもそれをゲーム感覚で楽しむ。それを本人は「無駄を省けば、インセンティブとしてお金がもらえる」と表現します。そして、今はそのことが貯めるモチベーションにもなっているといいます。
投資とは「楽しむ」ために支出すること
ゆうたくさんには、もうひとつゲーム感覚で楽しんでいるものがあります。投資です。キッカケは、勤務先に訪れる営業熱心な保険の外交員。「この人の言いなりにならないためには、自分もお金の知識を身につけるしかない」と考えたからだそうです。「最初は、稼ぐ気持ちも多少ありましたが、とくにFXはなかなか利益が出せないことが実体験としてわかりました。同時に、投資は長期が基本ということも理解できました。まだ利益は出ていませんが、チャートや経済ニュースを見ながら、あれこれ勉強をしたり、投資をするのが今は楽しいと感じています」
チャートや経済ニュースを見ながら、あれこれ勉強をしたり、投資をするのが楽しい。FXのチャートを見ているときの写真
投資は、節税のために行っているiDeCoもあるが、それ以外は「楽しむために支出している」という感覚なのだとか。将来的には年3~5%で運用できれば理想とのこと。そして、準富裕層といわれる金融資産5000万円を目指してみようかと考えている。しかし、そのスタンスはあくまで「楽しみながら」。この気楽さが、20代で達人となった最大の要因かもしれません。
ゆうたくさんおススメ貯蓄法
「家計簿をつけること。私は多少手間がかかりますが、Excelで作っています。そして、月ごとに支出をグラフ化して何に使ったかを振り返るようにしています。家計簿アプリも試しましたが、例えばスーパーで食材と洗剤をクレジットで買うと、自動的に食費に分別されることがあるため、家計管理には使用していません。ただし、金融機関の口座管理、残高確認は家計簿アプリが重宝します」なかなか貯蓄できない人へ達人からアドバイス
「貯蓄できない場合、お金やその使い方に無頓着になっていることもあるのではと思います。こだわりのない部分には無駄に支出しないよう、意識することが大事ではないでしょうか。無理のない範囲で、楽しむことを意識するとよいと思います」★マネープランクリニック編集部では貯蓄達人からのメッセージを募集中です★
取材・文/清水京武 図版/引間良基
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