ストレス

アラフォー独身女性の「理想の友人」は?大人の友情の育て方

【公認心理師が解説】親しかった友人とは疎遠になり、若い頃のように新しい友達も作りにくいアラフォー世代。未婚の場合、既婚・子持ちの友人と距離ができて孤独を感じることもあるようです。アラフォー未婚女性にとっての理想の友人とは? 大人の女性だからこそできる、ストレスにならない友達のつくり方、友情の育み方を解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

未婚のアラフォー、親しい友人関係は続きにくい?

アラフォーの友人関係

いくつになっても気の置けない友人と過ごすのは楽しいもの。でも友達との関係や役割は、年齢に伴って変わっていきます


独身のアラフォー女性は、友人関係の悩みを抱えていることも少なくありません。親友と呼べるほど仲がよかった友人でも、相手が20~30代で結婚や出産をすると、次第に距離が開いてしまいがち。それまで仲が良かったとしても、結婚した友人を週末に誘うのは、パートナーとの貴重な時間を邪魔しているようで気が引けますし、夫婦のお宅に遊びに行くのも気が向かないものでしょう。

結婚後でもたまにディナーやカラオケなど女同士の時間を楽しんでいた相手であっても、相手に子どもが産まれると、さらに会いにくくなってしまうようです。時間的な制約に加え、子どもの体調不良などでの約束のドタキャンや予定変更も出てくるため、仕方がないとは思いつつ、次第に声をかけにくくなってしまうという声も聞かれます。

また、お互いに独身の女性同士でも、友達づきあいは学生時代のようにはいきません。年齢を重ねるにつれキャリアなどの個人差も開いてくるため、収入の差で行けるお店や遊べる場所、そもそも興味のある話題が変わってくるというという問題もあります。無理をしてお互いのレベルに合わせるのも、ストレスになってしまうものです。

その中でも、数少ないアラフォー独身女子の友達とよく会えているという人もいますが、その友達にもいつかパートナーができたら、一人ぼっちになってしまうのではないか……とうっすらと不安を感じているという声もしばしば聞きます。

そもそも年齢を重ねると、学生時代からの親友のようにディープに付き合う友達はできにくくなります。表面的な会話やその場限りの会話をする浅い付き合いの知り合いばかりになり、気軽に誘えて予定が合いやすいのは、自分の母親くらいということも珍しくありません。旅行やコンサートなどに母親と行くことが増えたという方もいますが、親孝行はできるものの、やはり友達代わりにはならず物足りない思いも出てきます。
 

年齢とともに変わる友人関係の役割……アイデンティティへの影響

未婚か既婚かに関わらず、年齢と共に友達との関係性は変わります。個人差はありますが、大まかに20代までと30代以降で二分すると、それぞれには次のような傾向があると言えるでしょう。
 
1. 10代後半~20代:友人関係を通じて自己のアイデンティティを理解する時期

友人・親友ともにお互いに独身で、時間があることが多い時期です。20代まではまだお互いのアイデンティティがしっかり固まっていないため、親友とたっぷり時間をかけて、お互いの内的世界をディープに語りあうことで、自分の個性ややりたいことを理解することにもつながります。友達との関係を通じてアイデンティティが定まり、自分が目指す生き方などが定まってくる時期とも言えるでしょう。
 
2. 30代~アラフォー:自己のアイデンティティーが定まり、友達は気晴らしを楽しむ相手に

おおよそ30代からアラフォーは、それぞれのアイデンティティに従い、自分らしい人生を構築することに多くの時間を割く時期です。結婚や出産を人生の中心に据えた人は、パートナーや子どもと一緒に「家庭」というユニットを形成することが優先課題となりますし、仕事を人生の中心に据えた人は、仕事における実績と自己価値を高めることが優先課題となります。

このようにアイデンティティが定まってくると、20代の頃のような「親友」とのディープな付き合いに、以前ほど価値を見いだせなくなりがちです。そもそも時間がないので、親友でも年に数回会い、おしゃべりをして気晴らしを楽しむくらいの相手になります。

一方、アイデンティティと自分の生き方が定まっていないと、同世代の中には今までのようにたっぷり時間を共有してディープに語り合える友人がいなくなりがちで、友達との時間をつまらなく感じてしまいます。
 
友人との関係は、年齢によっておおよそ1から2へと変化します。友人が2のフェイズに移行する中で自分自身が1のフェイズに留まっていると、孤独を感じやすくなります。
 

大人の女性の「ストレスにならない」友達の作り方

大人の友達探し、友達づくりで重要なのは、若い頃に楽しんでいたような友達との関係にこだわらないことです。友達づくりを目的にするのではなく、自分が心からやりたいことを探していくこと。その活動の中で出会う人の中に、話の合う人がいればそれが友達になる、と考えましょう。
 
また、10~20代のアイデンティティ形成期に体験していた友情と同じようなものを、アラフォーになって求めることには無理があります。アラフォーになると、お互いにアイデンティティが形成されていることが前提での友だち付き合いです。お互いの家庭や仕事の時間を邪魔しない程度に軽く話ができ、気晴らしをしたり、情報収集をしたり、慰め合ったりできる時間がとても貴重なものになります。
 
現在、独身の友人がいる場合でも、相手にパートナーができたり、仕事の状況が変わってきたりすると、今のような付き合い方は変化して行かざるを得ません。したがって、友人との関係を人生のメインに据えないこと、友情に依存しないことは大切です。
 

「中年の危機」に何でも話せる友人は重要……肯定的に前半生の振り返りを

ここまで、アイデンティティが確立した状態での友人関係について解説しましたが、40歳から40代半ばにさしかかると、「中年の危機」を体験する人が増えます。20~30代で築いたアイデンティティが揺らぎ、後半生に向けて自分の人生の目的を再設定する必要に迫られます。この時期は、再び、誰かとディープに語り合う時間を求めるようになる時期です。中年の危機での語り合いでは、自分のペルソナにこだわらずに、内面を掘り下げ、本当に自分が求める生き方、自分が生きている意味を探ろうとします。
 
このタイミングでは再び、何でも話し合える友人との関係が重要になってきます。ただしそれぞれが懸命に生きてきた前半生を、肯定的に振り返れる状態であることが重要です。そのためにも、今、自分が生きている日々、出会っている人々に感謝し、日々の人生に意義を感じながら生活していく必要があります。
 

大人の友情は「期待しすぎず・干渉せず」……感謝の気持ちを大切に

以上、今回はアラフォーの友人関係、付き合い方のポイントなどを解説しました。これらを理解した上で、やはり友達がほしい、話せる友人を作りたいと思う方もいるでしょう。

その場合、新しい友達は、同性・同年代に限定しないこと。年上、年下、異性など色々な人と関わり、話しあえる相手を見つけてみましょう。今の時代、自分の興味のあるテーマで検索をすれば、勉強会、交流会など、人が集まる様々な場所が見つかります。最初のうちは、その場限りの付き合いでもいいでしょう。気に入った場所が見つかったら、何度も通って顔なじみを増やしていくと、友達になるチャンスは増えます。
 
ただし友達になっても、友情に期待しすぎないこと、相手の人生に干渉しないことが重要です。そして、お互いに日々の忙しい生活を送っている中で、友達として共に過ごす時間を持てたことに感謝の気持ちを持つことです。お互いに「個」としての自分の人生を積極的に楽しみ、人生の彩り・刺激という切り口で友情を楽しむことができれば、友達と過ごすひとときにも楽しさを見いだせます。
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