専業主婦ママもラクじゃない。夫に頼れずワンオペ苦行になる人、続出

現代のママが陥りやすいワンオペ育児。好んでやっているわけじゃないのに、結果的にワンオペに陥る背景には、さまざまな子育て格差の存在が。出産と同時期に仕事を辞め、育児に専念していた3人のママから、生活のリアルを聞きました。それぞれのママが試行錯誤してきた軌跡とは。

 

「夫格差」あきらめ型。ひとりで背負いたくないけど、決定打はないマイコさん(38)の場合 

公園でおもいっきり遊んでくれるパパがうらやましかったマイコさん。

公園でおもいっきり遊んでくれるパパがうらやましかったマイコさん。

夫と一人娘(6)の3人家族であるマイコさんは、専業主婦でいわゆるワンオペ育児をしてきた。娘が3歳までは実家の近い都心部に暮らし、夫の転勤により中国地方へ引っ越すことに。初めて訪れる土地では、生活の常識が異なり、一時期心療内科を受診するほど疲弊したこともあったという。
 
「夫は週1回、休日があるかどうかの仕事人間で。休みがあっても、家族で一緒にすごすよりひとりでいたい人なので、ワンオペ育児でした。産後しばらくは実家で暮らしていましたが、親も仕事をしていたので、あまり頼らず、新しくママ友をつくるのも面倒だったので、子どもと一対一でいることが多かったです」

いわゆる孤育て状態。子どもと向かいあい続けることは苦痛ではなかったのだろうか。
 
「苦痛でした(笑)。一週間が育児だけで終わっていくのがむなしかったので、一時期、派遣で仕事をして子どもを保育園に入れていました。遠くの園しか空いていなかったので、送り迎えにかかる時間は1時間半。それでも、仕事を週3回にしていたので、週2回は、ゆっくり家事をしたり自分の時間にあてていましたね。夫の転勤が決まったこともあって、仕事は辞めてしまいましたが」
 
夫を頼らず、自力でワンオペの解決策を模索しているマイコさん。「育児が辛くて就業して保育園に預かってもらう」という話も現代ママの「あるある」だ。だが生活のリズムができたところで転勤に。縁もゆかりもない土地へ行くことに抵抗はなかったのだろうか。

「正直、私は単身赴任で夫だけ転勤先へ行ってもらってもよかったのですが、夫は家族で行くものだと疑っていなくて(笑)。娘が小学校前だったので、とりあえず家族で引っ越しました」

都心から地方への移住。そこでは子育てに関する金銭感覚の違いがあったという。

「娘が幼稚園に入って、ときどき一緒に遊びに行くことがあったのですが、みんなお昼ごはんは手作りが当たり前。私は気軽にお昼ごはんを買う方だったので、最初はびっくりで(笑)。遊びに行く場所も近所が多かったです。

都心に住んでいたときは、同時にママになった学生時代からの友人と、ときどき集まっては親子でお店に行ったり、テーマパークに遊びに行っていたのですが、そういうことは一切なし。最初はギャップを感じましたが、だんだんその風土にも慣れてきて、仲のいいママ友ができました。よかったです(笑)」

転勤先でも、旦那さんの生活はあまり変わらず、育児に協力的ではない。しかし、マイコさんは外部のサービスも使わなかった。

「私に何かあったときのために、ベビーシッターに登録して娘を預けようとしたのですが、なんとなくその方を信用できなくて、一度も利用しませんでした。夫は、基本的に家にいないので、それが普通になっているかも。年に何度かは子どもをみてくれるときはあります」
 
そういう夫だが、マイコさんは怒りが湧いたり、何か要望が生まれたりはしないようだ。

「夫は、ATMです(笑)。私も何かしてくれることを求めていないというか。でも私だけだと、公園で子どもとおもいっきり一緒に遊んであげることができないので、そういうお父さんを見かけると、いいなあと思いました」
 
マイコさんのお子さんは現在、小学1年生。身体的に手のかかる頃は過ぎ、今は娘さんのメンタル面を支えるだけなので、ラクになったという。マイコさんは夫に変わってもらうことを求めず、子育ての大変な時期を一人で駆け抜けてしまったようだ。
  
 

ベビーシッターで、実家格差を乗り切ったメグミさん(37)の場合 

ワンオペ育児は、産後うつになりやすい状況。

ワンオペ育児は、産後うつになりやすい状況。

誰もがすべて、恵まれた育児環境にいるわけではない。徐々に子育ての仲間を増やし、外部の手を借りて乗り切ってきたママたちもいる。
 
メグミさんは2児の母の専業主婦で、夫は自営業。夫の事務所は、自宅のとなりに併設されていたものの、平日、土日ともに夫は仕事で不在だった。メグミさんの実家は遠方のうえ自営業であったため、親の手は借りられず、育児はほぼワンオペでやってきた。
 
「ママ友の旦那さんは、平日は19時くらいに仕事から帰ってくるし、土日は休みで家にいてくれるしで、最初はうらやましいと思いました。子どもが小さいときはとにかく人手が足りないですよね。ウチの場合、夫は夜のお風呂の時間だけ帰ってきて、風呂に入れたらまた事務所に戻っていくという生活で。そのほかは何もやってくれなかったけど、いざとなったら近くにいる、という安心感はあったかな」

だが安心感だけあればよい、というわけではなかったようだ。

「今から思うと、1人目を出産後は、3カ月くらい産後うつになっていたと思います。それでも手を借りられなかったから、必死に毎日の育児をしていたと思う……あまり当時の記憶がないです(笑)」
 
その後、一人で育児を続けていたが、2人目を妊娠したメグミさんは、自分の限界を想定し、シッターを雇った。
 
「よくママ友と支援センターに出かけて子どもを遊ばせていたのですが、偶然そこを辞める予定のスタッフさんがいて。私が出産した後には手が空くというので、個人的に家に来てもらうことにしたんです。顔も知っていたし、絶対に私ひとりじゃ無理だと思っていたので、家に入ってもらうことに抵抗はなかったですね」
 
シッターとなる方は時給1000円で引き受けてくれた。週4~5回来てもらって、約1カ月。家事や上の子の面倒をみてもらって、とても助かったという。
 
「育児の格差がないわけじゃないけど、産後を乗り越えてしまったら、育児が辛いと思ったことはあまりないです」
 
現在、夫の事務所は遠方に移転し、名実ともにワンオペの日々が続く。だが、この秋から2人の子どもが幼稚園に通うこととなり、メグミさんはパートで営業の仕事を始め、スクールにも通い始めた。仕事をするのは6年ぶりというが、メグミさんはとてもキラキラしていた。
 
 

「逆格差」を感じるほど恵まれていてもイヤイヤ期のときは大変。マリコさん(39)の場合 

実家が近くて実母が元気な状態は、多くのママにとって育児しやすい環境。

実家が近くて実母が元気な状態は、多くのママにとって育児しやすい環境。

これまで出てきた格差に対して、子育て環境が他人と比べて恵まれていると感じるママもいる。
専業主婦のマリコさんは夫と娘(3)と3人で、都内で暮らしている。平日は夫の帰りが遅く、休日も出勤することがあるが、実家は車で15分の距離にあり、気軽に子どもを預けられる関係だ。
 
「土日がワンオペになるときもあったけど、夫は家にいるときは家事や育児を率先してやってくれるタイプ。実家も近くて親は元気だし、子どもも一人。ときどきベビーシッターも利用するので、私はまわりと比べてラクな方だと思います。ストレスがたまりすぎて爆発しそう、というのはあまりなかったですね」
 
逆にママ友は大変そうだと思うことの方が多いという。

「3歳の子がいて、さらに抱っこ紐で乳飲み子を抱っこしているママを見ると、1人で2人の子どもをかかえて大変だな、と思います。買い物するときも『子どもが駆け回っていなくなるから何年もスーパーに行っていない』という話を聞くと、こんなにも違うのかと思ったり」
 
だからといって現状がラクかといえば、そうでもない。がんばっても褒められることのない育児より、仕事をして達成感や自己肯定感を得る方がよいと思ったこともある。

「娘が1歳3カ月くらいとき、まったく言うことを聞かなくて大変でした。私は出産するまでガツガツ仕事をしていたので、もう一度仕事をしようと保育園を検討していたのですが、見学に行った園のずさんさが目についてしまって……。ここには預けられないと思ったら就業する気もなくなりました。でも、子どもと一対一で遊ぶのは、ルーチンだし、2時間が限界ですね」

マリコさんは不満もあるが、今はこの生活を受け入れ、いずれ子どもの手が離れたら小物を売るビジネスを始めたいと考えている。
 

ヒアリングを通して痛感したのは、ワーママでも、専業主婦でも、ワンオペ育児が辛いことに変わりないということ。夫、実家、ママ友、就業形態が異なる育児環境でも共通していえるのは、育児は母親に偏り、助けてくれる手はまだ足りない、ということだ。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。