アドバイス1 早急に家計の見直し、意識改革が必要
世帯月収は多くても、ボーナスがない家庭は特別支出への備えができないため、思うように貯蓄が増えないケースも少なくありません。まさに、えむさんの家計もその状態。毎月7万円貯めているからと思うかもしれませんが、子どもが小学校低学年くらいまでは貯めどき。しかも共働きですから世帯収入の2割程度、できればえむさんの収入は全額貯蓄するくらいを目指してほしいものです。また家計管理の原則として、住宅以外のためにローンを利用してはいけません。車はキャッシュで買うものと考えるようにしましょう。現在の車は現状のままで仕方がないとしても、次回は必ず現金で購入してください。いまの車に13年乗って、それまでに貯められたお金の範囲で購入する車を決めるくらいの意識改革が必要です。
支出内容を見ていて気になったのが、夫の死亡保障額です。保険の内容を見ると、死亡保障は合計しても1000万円しかありません。貯蓄が少なく、お子さんも小さいですから、これでは万が一のことがあったとき不安ではありませんか。加入している生命保険は解約して掛け捨てにすれば、3000万円の死亡保障で保険料は月5000円前後で収まるはずです。差額の1万円は貯蓄に回してください。
アドバイス2 夫の経費は専用の口座とクレジットカードを作り切り分けて管理
家計管理がうまくできない原因のひとつが、夫の経費の立て替えにあります。立て替えたお金と家計費が混在するとお金の流れがわかりにくくなり、家計管理があいまいになりがちです。そこで経費用の銀行口座とクレジットカードを作り、家計費と立て替え金は切り分けて管理しましょう。現在の貯蓄から平均的な1カ月の立て替え金分を専用口座に移し、その金額内で立て替え金の精算ができていれば、立て替え金を家計とは切り離せると思います。また、夫の交際費は家族の小遣いに含まれていないとのことですが、これから教育費など支出が増える時期になります。交際費も含めて小遣いの中でやりくりするよう、夫にも協力してもらってはどうでしょう。2人または3人分の教育費や老後資金を確保するためには、あきらめなくてはいけないこともあるという現実を夫婦で共有する必要があります。
アドバイス3 教育費は大学までを見通して、いまかけられる金額を考える
子どもは中学受験を考えているとのことですが、大学費用の準備ができていない状況で中学受験をするのはマネープラン的にはとても危険です。というのも私立中学は助成制度がないため、私立高校と比べてかなり負担が大きいです。しかも中学受験をする場合、一般的に小学校4年生から塾へ通うことになります。4年生のときは現在の習いごとの費用を充てれば間に合いそうですが、5年生は年間80万円、6年生になると120~150万円程度かかります。これを家計費から支出しようとすると、貯めるお金が少なくなって大学費用を準備するのが難しくなるのです。高校生になると就学支援金の制度によって、私立であっても多少費用は抑えられますが、所得制限があるので、もしかしたらえむさんのご家庭は対象外になる可能性もあります。またそのころには第2子が中学受験期を迎え、教育費がかかるようになります。ですから、第1子が中学の受験準備を始めるまでに全員分の大学入学時の費用程度は用意できていないと、その先は余裕がなく、結局、大学は奨学金を利用することになる可能性があります。実は最近、私立中学に進学した結果、大学時代はほぼ奨学金でまかなうようなご家庭が増えているのです。
3人目の出産をご希望とのことですが、できれば早めにすることをおすすめします。というのは、60歳の定年までに第3子も大学を卒業していてほしいから。また保育料も同時在園だと、第2子の保育料は半額(※)になるので、第2子とは年齢差が少ない方がメリットはあります。
※国の基準、自治体によって割引の考え方は異なる
まずは、足元の家計をきちんと整理して収支を明確にすることが第一歩。次は「いつ」「いくら必要か」を整理して、中学受験や高額な車の買い替えが実現可能かどうかを考えてみてください。
相談者「えむ」さんから寄せられた感想
アドバイスありがとうございました。やはり足元の家計をしっかり見直すことが大切だと改めて実感いたしました。夫婦でよく話し合い、削るべきものは削り私の収入を全額貯蓄できるよう見直しを行い、早急に大学費用の準備を行いたいと思います。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
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教えてくれたのは……
畠中雅子さん
取材・文/鈴木弥生
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