アドバイス1 一緒に住んでいるお母さんと家計を一つにまとめて管理しよう
まず、あいさんにお伝えしたいことは、決して無理をしないで、少し落ち着きましょうということです。そしてお母さんとご自身の健康を第一に考えて、それに対して何をするべきか考えましょう。家計の管理方法ですが、お母さんの年金が8万円ほどあり、そこから光熱費や食費の一部、固定資産税などを負担してもらっているとのこと。それを引け目に感じている様子が文面からうかがえますが、同居して一緒に暮らしているなら、だれがどの費用を負担するか分けるよりも、お母さんとあいさんの収入を合算して、そこからどのように家計を回していくか考えないとうまくいきません。
家計データにはあいさんご自身の収入だけしか書かれていませんが、お母さんの年金を足して考えると、収入は2人合わせて月23万5000円になりますね。毎月の支出が17、18万円ぐらいまでに収まっていれば大丈夫です。支出がこの金額なら毎月5万円が貯蓄に回せますので、年間60万円の貯金ができます。
お母さんと一緒に過ごしている間は、今の収支をキープできれば、貯蓄もできるしとりあえずは心配はいらないでしょう。医療費も削る必要はありません。
アドバイス2 元気のもとになる友達付き合いのお金は削らないで
ですから必要以上に心配ばかりして、いろんなものを犠牲にしすぎないようにしてください。友人との付き合いもやめるべきか迷っているようですが、これは、絶対にやめるべきではありません。月に1、2度飲みに出かける費用は必要経費と考えて、遠慮なく使って大丈夫です。これだけは削らないようにしましょう。また、今の状況で転職もしないほうがいいですね。副業も基本的にやらないほうがいいと思います。どうしてもやるというなら本業に影響が出ない範囲で副業を考えてください。お母さんの病状や医療費がかさんでいることなど心配が多いでしょうが、あいさんの場合無理は絶対に避けるべきです。今の職場はあいさんの状況を理解してもらっているようなので、このままなるべく長く続けられるよう現在の仕事を最優先に考えたほうがいいでしょう。
アドバイス3 厳しいときに福祉を頼るのは当たり前。あとで恩返しができればOKと考える
自宅を売却してある程度の売却代金ができるなら、賃貸に住むという選択も考えていいですが、貯金をこれから続けていければ、家の修理もできるようになります。ですからとにかく今の生活をキープできるように考えていきましょう。「人様や行政に迷惑をかけながら」と書いてありましたが、我々は最低限の生活が憲法によって守られています。だから必要以上に悲観的にならず、今はお世話になる時期と割り切ることです。それで将来自分が何かできるようになったときに社会に恩返しすればいいのです。厳しい状況のときに福祉にお世話になるのは当たり前のことであって、いつか自分の状況が好転したら返せばいいという考えでいてください。あとは、お母さんとあいさんが健康で過ごせることを考えましょう。また、心の支えとなる友人との縁はぜひ大切にしてください。
医療費に関しては高額療養費も使えてそれほど多額にはならないはずですので、家計の状況からみても生活できない範囲ではありません。毎月5万円の貯金が減らないように気を付けましょう。急いで一気に何もかもやろうとせず、段階的にできれば大丈夫です。
そして、お母さんの体調がよさそうな時期に2人でどこか近場でいいのでお出かけしてみてはどうでしょう? 気候のいい秋に紅葉狩りにでもお母さんを連れて行ってあげるのもいいですよ。
相談者「あい」さんから寄せられた感想
深野康彦先生からのアドバイス、ありがたく拝読致しました。私のようなものが生きていていいのか、何のために生きているのかとずっと思っているので、先生のお言葉に涙が出ました。お金に関して私たちは互いに遠慮しあっているところがあり家計をまとめるという考えがありませんでした。支払いのしかたなど工夫していきたいです。これからもできる限りで頑張って働き、母や友人たちとの時間を大切にして、ささやかでも何かの形で恩返しができる人間になりたいです。この度は本当にありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/堀内玲子
★お金の悩みを解決!!マネープランクリニックの過去記事はコチラへ
【関連記事をチェック】
41歳シングル貯金500万円。3000万円の住宅ローンを組んでしまいました
46歳貯金150万円。ようやく貯蓄できますが、セカンドライフが心配
49歳貯金200万。新居で母親との同居を始めるが介護が心配
41歳、貯金6万。病気を克服して3年。夢を叶えたい
40歳独身、貯金700万。社保がない会社は転職すべき?