一人でしっかり生きる道を作って行きたい

社会保険がない会社に勤務

社会保険がない会社に勤務

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、転職先が社保完備でないことを悩む40代の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)




■相談者
ちゃむさん(仮名)
女性/会社員/40歳
埼玉県/借家

■家族構成
独身、一人暮らし

■相談内容
激務により体調を崩したため、去年、10年間勤めた会社を退職しました。新しい職場、仕事は以前より楽で良いのですが、社会保険がなく(雇用保険・労災保険はあるが、厚生年金と健康保険に加入できず)、今後も働き続けて良いものか、だんだん不安になってきました。独り身で老後も不安ですし、社会保険完備の会社に転職すべきか悩んでいます。また、老後に備え、月々の貯金を一部確定拠出年金に回してもいいのかな?と思ったのですが、勉強不足なのでまだ手は出していません。あまり体が丈夫ではないため、安い医療保険には加入できなかったため任意の保険にも未加入です。この歳でそれはまずいでしょうか……。今後結婚の予定もないので、今から一人でしっかり生きる道を作って行きたいです。

■家計収支データ
「ちゃむ」さんの家計収支データ

「ちゃむ」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
貯蓄28万円、衣服、靴など通勤で使用するもの10万円、残りは国保・年金・住民税の支払・家賃更新料(年3万4000円+保証会社へ1万円)にまわす。

(2)住宅購入について
以前はマンション購入も考えたが、30代で何度か入院し、購入自体リスクが高すぎると思いあきらめた。

(3)実家について
現時点で戻ることは考えていないが、将来介護が発生する、もしくはどちらかが亡くなった場合、戻る可能性はあり。ともあれ、実家が持家一戸建てなので、最終的には実家に帰ることになりそう。

(4)趣味娯楽費の内容
ペットの餌代などが7000円ほど。残りは本や雑貨を買う。化粧品代は月1000~2000円。洋服は夏と冬のバーゲン以外ではほぼ買わず、姉からのおさがりをもらっている。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 60歳で貯蓄3000万円も不可能ではない
アドバイス2 実家に住むことを想定しての賃貸が正解
アドバイス3 保険に無理に入らず貯蓄でカバーする
 

アドバイス1 60歳で貯蓄3000万円も不可能ではない

まずは勤務先についてですが、結論から言えば、社会保険を完備している企業に転職すべきでしょう。年齢から考えても、遅くとも4~5年以内にはしておきたいところです。

現在の職場でのデメリットは、やはり厚生年金に未加入という点。勤務先そのものにも問題はありますが、それよりも、ちゃむさん自身がそのことで老後に不安を残してしまうことが、解決すべき大きな問題です。おそらく正社員としての勤務かと思います。それなのに、その間の老齢厚生年金が受給できないわけですから、実際は給与が半減しているようなものです。

次に家計管理ですが、一言でいえば、素晴らしいと思います。決して高くない給与で、しかも賃貸住宅。それなのに毎月6万円を貯蓄に回し、700万円もの貯蓄ができたのですから、本当に感心します。

だからでしょうが、支出はこちらが心配するほど、抑えています。逆にもう少し遊びがあってもいいと思うほどです。体力をつける、あるいはストレスを解消するなど、自分にプラスになることにもう少し支出してもいいかもしれません。

ともあれ、現在、月6万円の貯蓄は年間72万円。仮にボーナスから半分の40万円貯蓄できたとすると、計112万円。60歳まで20年間で2240万円が貯まることになります。今の貯蓄を加えれば約3000万円。老後資金として、ひとつ目標にしていい金額だと言えます。
 

アドバイス2 実家に住むことを想定しての賃貸が正解

ちゃむさんの場合、いささか心配なのが、健康面です。転職も含め、無理は禁物です。長く働き、収入のない期間を作らないこと。これが地味なようで、もっとも効果的な老後対策です。できれば、公的年金が支給される65歳まで働けば、さらに老後のリスクは解消されます。その意味でも、絶えず体調を気遣うようにしてください。

また、老後についてさらに言えば、家がポイントになります。過去にマンションを購入しようとしたが、ローンを組むリスクを考え、断念したとのこと。正解です。住宅ローンを組めば、必ず一定額の返済をしなくてはいけません。その分、さまざまな場面で家計における選択肢が限られてしまう。それが、ちゃむさんのケースでは、もっとも怖いことです。

しかも、複雑な事情があるようですが、ご両親に何かあれば実家に戻る可能性がある。持ち家なのですから、リフォーム費用が発生するかもしれません(先の3000万円があれば、ローンを組まずにできるはず)が、老後を迎えて住むことも想定されます。その意味でも、賃貸の方がコストに無駄が出ず、合理的だったということです。
 

アドバイス3 保険に無理に入らず貯蓄でカバーする

保険については「あまり体が丈夫ではないため、安い医療保険には加入できなかったため任意の保険にも未加入です」と、言われています。もし、一般の医療保険に入れないことを、何か恥ずかしいように思うのなら、まったくそんな心配は要りません。

引受基準緩和型の保険ならおそらく加入できるでしょう。しかし、おっしゃるように割高です。保険料コストの方が医療費を上回るかもしれません。

保険に入ったと思い、その分を貯蓄に回す。それで十分です。医療費は貯蓄でカバーするという考えです。ご存知だと思いますが、健康保険に加入していれば高額療養費制度が利用できます。必要以上に心配する必要はありません。

最後に確定拠出年金(DC)ですが、興味があればぜひ始めてみることをおススメします。勤務先にその制度がなければ、個人型DCとなります。拠出金(=掛け金)の上限は2万3000円。資金の引き出しは60歳以降という制限がありますが、老後資金という目的が明確になっていいと思います。

また、拠出金の全額が所得税、住民税を計算する際の所得から控除される点も大きなメリットです。ただし、運用商品を選べばリスクをともないます(元本保証の商品もある)ので、元本割れすることも想定されます。さらに言えば、金融機関によって、DCで扱う投資商品の種類も、また運用によって発生するコストの額も異なります。どの金融機関で行うかも重要なポイントとなりますので、事前によく調べてみてください。
 

相談者「ちゃむ」さんから寄せられたご感想

家計はもっとダメ出しがあるかと思っていましたが、むしろ逆に絞りすぎだったんですね……。医療保険に加入できない漠然とした不安も、貯金で解決という考えで大丈夫とのことで安心しました。今後も無理に入らないようにします。転職活動は大変だし、どうしようか悩んでなかなか踏ん切りがつきませんでしたが、先生のアドバイスのおかげで踏ん切りがつきました! 転職活動をもう一度やってみようと思います。今回は本当にありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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