MUJI BOOKSの文庫本『人と物』シリーズ
インテリア、ファッション、食品と、生活の一部になっている無印良品の製品たち。実は本も販売されていることをご存知ですか?
デザイン関連などのグラフィカルなオリジナル本を中心に全国のMUJI BOOKSや大型店舗で販売されています。MUJIの書籍のなかでも「人と物」シリーズは特におすすめ。さまざまな分野の「暮らしを見つめた文筆家たち」を取り上げています。
装丁はカバーがない帯だけのシンプルさで、いかにもMUJIらしいつくり。内容や編集はもちろん、デザインも無駄のない仕上がりです。
多彩な達人たちが綴った暮らし方の指南書
現在は全12冊で展開中
「人と物」シリーズは、まずラインナップが豪華です。現在は12人、12冊で展開されていて、私の手元にあるのは、柳宗悦、桑澤洋子、杉浦日向子の3冊。どれも素晴らしい内容です。
たとえば、柳宗悦は「民衆の手で民衆のために作られる実用品」が民芸であると説き、あまり見向きされなかった雑器にも美を見出します。また、柳宗悦の考え方が、著名な工業デザイナーである息子の柳宗理へと引き継がれたことがよくわかる内容になっています。
他の2冊でも、桑澤洋子が国内外の著名建築家たちと深い交流があったこと、杉浦日向子がロックバンド、「ザ・キンクス」の大ファンだったことなど、この本で初めて知ったことが数多くありました。
写真・図版もたくさん! 眺めるだけでもたのしい
柳宗悦が愛用したウィンザー・チェア
桑澤洋子がデザインした服の一部
著者たちは文筆家や随筆家として評価の高い人ばかりですが、写真や図版が多く掲載されていることも特徴。巻頭8ページにおよぶカラー写真の口絵には、書籍初公開のものもあって必見です。
杉浦日向子の本では短編漫画、1編がそのまま掲載されていてお得感がありますよ。本の中の写真や絵は「逆引き図像解説」として細かい説明があり、この項だけでも楽しめます。
このように、ものづくりの先人たちの言葉や考えを、現代の日本のものづくり企業の代表ともいえる無印良品が書籍化したことに意味があると考えます。楽しいコンテンツ満載で、コンプリートしたくなる「人と物」シリーズ。イチオシです!
DATA
無印良品|MUJI BOOKS「人と物」シリーズ
ページ数:160ページ
判型:A6判(文庫本)