お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

39歳貯金60万円。支出の上限がわからず、つい使いすぎてしまいます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、つい使いすぎてしまうため、なかなか貯まらないという39歳、派遣社員の女性。しかもお子さん独立後は離婚を検討中。それを踏まえて、教育資金、老後資金はどう考えるべきか……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 個々の費目ではなく、支出全体で上限を設定

まずは、家計の見直しという部分から見ていきます。ご相談者のK子さんは「各支出項目の金額目安、上限がわからない」ということですが、あまりそれらを細かく設定するよりも、生活費全体で支出をとらえた方がいいと思います。
 
貯蓄ができないとすれば、それは収入より支出の方が多いか、収入分を使い切ってしまうということ。対して、収入が毎月の生活コストを上回れば、各支出項目がいくらでも、貯蓄という目的は達することができるわけです。

例えば、単純に金額だけで判断すれば、雑費に含まれる家事代行費用の月4万5000円は削減の第一候補となるでしょう。しかし、K子さんにとってこのコストがどうしても必要であれば、それを無理に削るのではなく、他の支出を削って全体を調整する。世帯にとっての優先順位が明確にあるなら、すべての支出を抑える必要はありません。とくに、貯蓄がなかなかできないという家計では、そういった柔軟性のある家計管理の方が向いているはずです。
 
そのためにも、家計支出は正確に把握することが重要となりますので、その作業をする必要があります。いただいた家計の収支データだけを見れば、世帯収入は51万円に対して支出が44万円ですから、毎月7万円貯蓄が可能ということ。しかし、実際の貯蓄、投資額は月2万8000円(iDeCoが月5000円、つみたてNISAを月3000円の積立とすると)ですから、4万2000円が使途不明金となります。
 
データによると、ご主人の収入が低い月はクレジットの支払いが資金不足となることもあるとか。つまりは、クレジットでの支出が上記データ以外にあるということ。加えて、ボーナスがないため、毎月の支出データには含まれない不定期支出も考えられます。それらを月割りで含めないと、正確な家計支出は割り出せません。
 

アドバイス2 収入の1割を目標に貯蓄スタート

それらを踏まえて、毎月の貯蓄額を設定していくわけですが、最初のステップとして収入の1割、月5万円を目標としてはどうでしょう。それでも実質、収入分ほぼ支出にまわっている状態から、毎月キッチリ5万円削減しなくてはいけないわけですから、決してハードルは低くありません。
 
何を削るかは先述したように、その家庭の優先順位となりますが、食費や趣味娯楽費、あるいはお子さんの習い事も削減対象になるかもしれません。そして、先に貯蓄分の5万円を差し引いて、必ず残りでやりくりする。「使いすぎ」を防ぐには「使わない」ことしか対策はないのです。家族全員、我慢が求められます。クレジットカードを利用することで、家計管理がしにくいなら、しばらくカードを使用しないという方策を取る必要があるかもしれません。言い換えれば、そのくらい思い切ったことをしないと、貯蓄体質にはならないということです。
 
毎月5万円貯蓄できたとして、年間60万円。2年間で100万円を超えます。まずはここまでは一気に貯蓄額を増やしたいところです。今もっとも怖いのは、何かまとまった支出が発生したとき、キャッシングやカードローンを利用してしまうこと。それで当座はしのげますが、借金をしたことに変わりはありません。しかも高い利息が発生します。そして、その返済にまた借り入れをする。悪循環に陥ります。そうならないためにも、一刻も早く現預金を増やすこと。ここ2、3年が家計にとってとても大事になってきます。
 
また、iDeCo、つみたてNISAの積立をされていますが、とくにiDeCoは老後資金づくりに特化した制度です。ご自身が老後を心配されている気持ちはよくわかります。しかし、現状、20年以上先の老後に備えるより、現預金を少しでも増やすことが先決です。積立は教育資金にメドが立つまで、しばらく停止しておくべきと考えます。
 

アドバイス3 老後に向けて正社員を目指したい

今後の資金づくりですが、教育資金については、年間60万円の貯蓄ペースが10年続いたとして600万円。お子さんに障害があり進路については流動的となりますが、大学にかかる費用は私立文系で平均400万円、理系で540万円ですから、教育資金は準備できると考えていいでしょう。大学に進学しなくても、独立までお子さんを資金的にサポートすることもできます。
 
次に老後資金ですが、K子さんはお子さんが独立後、離婚を考えているとのこと。それを前提に考えれば、離婚時にどのくらいK子さんに資金があり、離婚後どのくらい資金をつくれるのかが、ひとつのポイントとなります。
 
まず、夫婦が婚姻中に形成した財産、つまりは離婚までに貯めた現預金の清算については、仮にK子さん名義の預金であっても夫婦の共有財産とするのが、基本的な考え方です。もちろん、それとは別に慰謝料や扶養的財産(離婚後、生活が困窮しないよう扶養的に分与される財産)が発生することもあるわけですが、そこは離婚原因やそのときの状況により判断されるもの。そのときになって慌てないよう、K子さん自身が事前に自治体の法律相談や、弁護士などの専門家にアドバイスを受けておくといいでしょう。
 
離婚後ですが、生活費としてネックとなるのが住居費です。おそらく今のお住まいをK子さんが出て行く形になりますから、以降、家賃が発生します。それでも、現状の収入が維持できれば、生活費も含めてカバーできるでしょうが、老後を考慮すれば少しでも多く貯蓄したいところ。

そのためには、節約も大事ですが、できれば正社員を目指して、公的年金の受給額を増やしたい。退職金もしかりです。そして65歳まで、あるいは健康に問題がなければそれ以降も働くことが、もっとも効果的な老後対策です。そのためにも健康を維持していくことを日頃から意識してください。
 

相談者「K子」さんより寄せられた感想

アドバイスありがとうございました。漠然ともっと貯めなくてはと思ってはいても、具体的にいくら貯めればいいのか見当がつかず気持ちばかり焦っていました。今までクレジットカード払いにしていた光熱費等も、口座引落に変更したり少しずつ工夫しています。子どもの習い事も1つやめることにしました。年間60万円以上の貯金を目標にしてがんばっていきたいと思います。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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