アドバイス1 教育資金、老後資金よりも住宅ローンの返済をスピードアップ
教育資金、老後資金について不安を感じていらっしゃるとのこと。それぞれ具体的に見ていきましょう。教育資金については学資保険の満期金が2人合わせて300万円。児童手当を全額貯金していらっしゃるとのことですから、これが2人分で約400万円。合わせて700万円は準備できています。学費が高めな理系や芸術系などでなければ概ね用意できていると考えていいのではないでしょうか。足りない場合は親が負担するのか子どもが奨学金を借りるのか、その時点で子どもたちと相談するという考え方もあります。お金の大切さを意識するよいきっかけにもなるはずです。
老後資金については、これからの貯め方、ミキティさんの働き方など不確定な要素が多く、現時点でこうすれば安心というアドバイスは難しいのが正直なところです。ただ不安を感じるのであれば、長く働ける体と心を維持することを心がける、お子さんたちが成長して余裕ができたらミキティさんは早めに会社員に戻るといったことが老後資金の安心につながります。
それよりも気になったのは、住宅ローンです。このまま繰上返済をしないと、支払いが終わるのはご主人が69歳のとき。60歳の定年後に再雇用制度があっても、一般的に収入は定年前の5~7割程度になるといわれます。その中で返済を続けるのは厳しいのではないでしょうか。タイミングを見て繰上返済を目指して欲しいと思いますが、それは「万一のときのお金200万円+5年以内に必要なお金」が貯まってから。まずは、貯蓄を増やすのが先決です。
アドバイス2 これからが貯めどき。家計を厳しく見直して貯蓄を増やす
医療保険は共済を利用するなど上手に管理していらっしゃいますが、貯蓄がほとんどありませんから少し頑張って節約していきましょう。まずは食費。家事・育児との両立はたいへんでしょうが、パートになったのですから中食、外食を減らして1万円減らす努力をしてみてください。それから通信費。内容がよくわかりませんが、高い印象です。仕事で通話が多いといった事情がないなら格安スマホにすれば、大きく削減できるはずです。学童の費用も、ミキティさんの収入からすると高すぎる感じがします。習い事の費用も含まれているのでしょうか。正社員でなくなったのですから、この部分も見直しを考えてみてください。
一番気になったのが雑費です。日用品などで6万円は高すぎますし、「など」には何が含まれるのでしょうか。もしかしたら、ミキティさん自身も内容を把握していないのでは? 1、2カ月でいいので支出を細かく記録して、内訳を確認してみてください。家計簿をつけるのは面倒と思うかもしれませんが、家計簿アプリを使ったり、レシートを必ずもらい、カレンダーにメモしたりするなど自分が続けやすい方法で構いません。支出内容がはっきりするだけで、節約の方法が見えてくるものです。
死亡保険への加入を勧められているとのことですが、住宅ローンの団体信用生命保険がありますから優先順位としては高くありません。どうしても不安ならば、共済の割安な保険で死亡保障を確保すれば十分ではないでしょうか。
来年度からは、長男の保育料もご両親への返済もなくなります。これに上記の節約を加えれば毎月7万円程度は貯められるはずです。さらにボーナスの半分を貯蓄できれば、年間100万円を貯めることも難しくないはずです。子どもが小中学生のときは貯めどきです。これからの10年くらいで、しっかり貯めてください。
アドバイス3 ライフプランを立てて近い目標を持つ
いつ、いくら必要かということがわかると、目標がはっきりして漠然とした不安を小さくできます。ですから、ぜひ家族のライフプランを立ててみてください。そのうえで「10年後に200万円繰上返済をするぞ!」「5年後には予算30万円で家族旅行へ行こう!」といった身近な目標を持つのです。目標があれば頑張れますし、いまは家事・育児と仕事の両立にお疲れのようですが、一段落して落ち着いたら先のことを考えられるようになるはずです。何よりも「老後は夫婦2人で旅行などを楽しみたい」とおっしゃるということは、ミキティさんご夫婦はとても仲がよいとお見受けします。ご夫婦の仲がよければたいへんな時期も乗り越えられますし、貯められる家計になります。夢と愛をモチベーションに、いまを乗り切ってください。
相談者「ミキティ」さんから寄せられた感想
細かくアドバイスありがとうございます。いままで、どんぶり勘定で生活していたので、しっかり食費や雑費の支出を把握して節約していきたいと思いました。住宅ローン、老後資金と不安な部分は多くありますが 、漠然と不安ばかりで悩まず、まずは近い将来のライフプランをたててきちんとお金の把握をしていこうと思いました。気持ちが楽になりました。教えてくれたのは……
飯村 久美さん
ファイナンシャルプランナー。FP事務所アイプランニング代表、All About家計簿家計管理ガイド
金融機関在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得。自らの経験から、お金の正しい知識を身に付けることが「やりたいこと」や「夢」の実現につながる一方で、「生活を守る手段」であると痛感し、FPとして独立。2006年、FP事務所アイプランニング開業。これまでの家計診断は1000世帯。「日本の家計を元気に」をモットーに活動中。NHK「日曜討論」日本テレビ「ヒルナンデス!」 などメディア出演多数。著書に「シングル女子の今日からはじめる貯蓄術」(成美堂出版)、「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」(アスコム)、「子どもを持ったら知っておきたいお金の話」(中経出版)など。
取材・文/鈴木弥生
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