妊娠初期の腹痛や出血、これって妊娠初期症状?流産?
妊娠初期の腹痛やチクチク感、腰痛、便秘や下痢、血が混じったおりもの……これって妊娠初期症状?流産は大丈夫?
Index
・妊娠中の子宮
・妊娠初期の腹痛や出血など諸症状の原因
・妊娠初期の腹痛や出血、受診するべき症状は?
・妊娠初期の流産について
妊娠中の子宮
子宮は、受精卵が着床し発育する場所です。膀胱と直腸の間にあって、大きさはLサイズの鶏卵大、重さ約70g、内部が逆三角形の腔状の筋肉でできています。普段は子宮の存在を意識することはないでしょうが、妊娠すると、子宮は大きく重くなり、周囲の血管も怒張して、妊娠経過が正常でも、月経痛程度の腹痛を感じることがあります。もともと月経痛のある人は、妊娠初期の腹痛・腰痛を感じやすい傾向があります。
妊娠初期の腹痛や出血など諸症状の原因
■子宮壁の伸展子宮壁は受精卵が着床した付近から柔らかく薄くなりますが、妊娠初期は硬く厚いところもあります。 ゴム風船を膨らます時、ゴムの厚さにムラがある間は膨らみにくく、ムラなく伸び始めると、急に風船は膨らみやすくなります。
子宮も妊娠4ヶ月までは、子宮壁に厚い部位があり、痛みやチクチク感の原因になります。妊娠5ヶ月には、ほぼ全体の筋肉が伸びて症状は軽減します。昔から、妊娠5ヶ月からを安定期とするのは、胎盤の完成と子宮壁の伸展が理由です。子宮筋腫があると子宮壁は伸びにくく、痛みを感じやすくなります。
■血流の増加
妊娠すると子宮は充血して肥大し、子宮周囲の血流も増加します。骨盤全体が重くなり、日常生活には支障がなくても、反射的な動作はしにくくなり、身体的な違和感を感じます。
長時間の座り仕事、立ち仕事、ドライブなどで、同じ姿勢が続くと骨盤内や下肢の血流がうっ滞し、腹痛・腰痛・下肢痛の原因になります。姿勢を変えて適切に動くことも必要です。
■月経前症候群の類似症状
月経前症候群とは、月経前に腹痛、腰痛、頭痛、乳房痛、不眠、不安、イライラ、うつ、食欲亢進、便秘、下痢などの症状が起こり、月経の出血が始まると改善するものですが、妊娠すると、月経前の高温期のホルモン状態が持続して、月経前症候群に似た症状が続くこともあります。通常、妊娠経過とともに症状は改善します。
便秘による下腹痛では、便秘薬や浣腸が必要なこともあります。下痢で腹痛になることもあり、この場合、下痢止めではなく整腸剤を服用します。
■子宮内膜症
子宮内膜症では、子宮と子宮周囲が癒着しており、子宮が大きくなると周囲組織を引っ張って、腹痛の原因になります。通常は妊娠5ヶ月になると症状は落ち着きます。
チョコレート嚢腫や腺筋症を伴う場合には、腹痛・腰痛がかなり強くなることもあります。健診で、どの程度の症状なら受診をするのか確認しておきましょう。
■絨毛膜下出血
不正出血がなくても、超音波検査で、胎児の袋と子宮の壁の間に出血像がみられることはよくあります。「子宮の中に出血の跡がある」などと指摘されますが、これは正常の妊娠経過の範囲でよくあることです。不正出血や腹痛を伴う場合には、安静を指示されるかもしれません。
妊娠初期の腹痛や出血、受診するべき症状は?
■腹痛正常な妊娠経過でも、ふだんの月経痛のような痛みを感じることはあります。しかし「月経痛でこんなに痛い思いをしたことがない」「月経痛なら、薬を飲んでいる程の痛み」「夜、痛みで寝られない」などの場合には、医療機関に連絡して受診の相談をします。
「月経痛より軽い」「痛かったが、いつのまにか寝ていた」なら、次の健診で相談してみましょう。
■出血
「おりものシートでは足りない、月経用のナプキンが必要な出血が続く」ような場合には医療機関に連絡します。妊娠経過や腹痛を伴うかどうかで、すぐに受診か、外来受診か、指示があります。
とはいえ、わずかな出血が下着に付いただけでも心配になるものです。仕事を持っている方は、診察を受けて、休業診断書を書いてもらうこともできます。
■不妊症治療で妊娠した方
特に、着床障害、習慣性流産で治療中の人は、腹痛や不正出血があれば、その不妊治療施設に連絡して、指示をもらいます。24時間体制ではない施設では、流産が進行した場合を考慮して、24時間体制の連携施設などに、あらかじめ紹介される場合もあります。
妊娠初期の流産について
妊娠初期の流産は、胎児に原因があることが多く、腹痛や不正出血などの自覚症状があっても、「もっと早く、病院を受診して薬で治療していれば、流産せずに助かったのに……」
「仕事を休んで、家で安静にしていたら、流産しなかったのに……」
と言うことはほとんどありません。
一方、特に自覚症状がなく、順調と思って定期健診に行ったのに、超音波検査で胎児心拍が停止しており、子宮内に留まった流産、稽留流産と診断されることもあります。
つまり、流産の可能性をあらかじめ正確に診断することはできず、残念ながら有効な対策もありません。しかし、ちょっとした症状でも心配な場合には、電話相談をためらう必要はありません。これからお世話になる施設の対応で、自分に合うかどうかの判断に役立ちます。
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