ドイツは世界遺産の宝庫! その数44件!
2018年現在、ドイツにある世界遺産は44件。数の多さではイタリア、中国、スペインに次ぐ世界ランキング第4位(フランスと同位)という世界遺産の宝庫です。このうちメッセル採掘場の化石発掘現場、カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群、ワッデン海の3件は世界自然遺産。あとの41件は世界文化遺産として登録されています。ドイツの世界遺産は、1番最初に登録されたアーヘン大聖堂や有名なケルン大聖堂、宗教改革を行ったルターゆかりの地などキリスト教関連の施設が多数。中世の街並みが残るバンベルクやレーゲンスブルク、ハンザ都市として栄えたリューベックやヴィスマールなど街そのものが世界遺産に登録されているものもあります。ちなみに意外に思う人が多いかもしれませんが、日本人観光客に大人気のノイシュヴァンシュタイン城やハイデルベルク城は今のところ世界遺産ではありません。
この国の世界遺産は東西南北に点在しているため、どの地方に行っても何かしらの遺産に出会える可能性が大。ドイツは交通網が発達しているので「世界遺産巡礼の旅」を計画してみるのもいいですね。 ここではドイツの世界遺産全44件一覧リストと、おすすめの8件を紹介します。
ドイツの世界遺産全44件一覧リスト
※登録された順に登録年、世界遺産名を記載。★下線部分をクリックすると詳細記事が表示されます。登録年 | 世界遺産名 |
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1978年 | ★アーヘン大聖堂 |
1981年 | シュパイヤー大聖堂 |
1981年 | ★ヴュルツブルクのレジデンツと宮廷庭園 |
1983年 | ヴィースの巡礼教会 |
1984年 | ブリュールのアウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルスト |
1985年 | ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル教会 |
1986年 | トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂及び聖母マリア教会 |
1987年 | ★ハンザ同盟都市リューベック |
1987年 | ローマ帝国の国境線 |
1990年 | ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群 |
1991年 | ロルシュの大修道院とアルテンミュンスター |
1992年 | ランメルスベルク鉱山、歴史都市ゴスラーとオーバーハルツ水利管理システム |
1993年 | ★バンベルク市街 |
1993年 | マウルブロン修道院の建造物群 |
1994年 | クヴェートリンブルクの聖堂参事会教会、城と旧市街 |
1994年 | フェルクリンゲン製鉄所 |
1995年 | メッセル採掘場の化石発掘現場 |
1996年 | ★ケルン大聖堂 |
1996年 | ワイマール、デッサウ及びベルナウのバウハウスとその関連遺産群 |
1996年 | アイスレーベンとヴィッテンベルクにあるルター記念建造物群 |
1998年 | 古典主義の都ワイマール |
1999年 | ★ベルリンのムゼウムスインゼル(博物館島) |
1999年 | ヴァルトブルク城 |
2000年 | デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国 |
2000年 | 僧院の島ライヒェナウ |
2001年 | エッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群 |
2002年 | シュトラールズント及び★ヴィスマールの歴史地区 |
2002年 | ライン渓谷中流上部 |
2004年 | ★ブレーメンのマルクト広場の市庁舎とローラント像 |
2004年 | ムスカウ公園 |
2006年 | ★レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ |
2007年 | カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群 |
2008年 | ベルリンのモダニズム集合住宅群 |
2009年 | ワッデン海 |
2011年 | アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群 |
2011年 | アルフェルトのファグス工場 |
2012年 | バイロイト辺境伯歌劇場 |
2013年 | ★ヴィルヘルムスヘーエ公園 |
2014年 | コルヴァイのカロリング期ヴェストヴェルクとキウィタス |
2015年 | ★ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館地区 |
2016年 | ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献- |
2017年 | シュヴァーベン・ジュラにおける洞窟群と氷河時代の芸術 |
2018年 | ナウムブルク大聖堂 |
2018年 | ヘーゼビューとダーネヴィルケの境界遺跡群 |
おすすめ世界遺産1.ワイマール、デッサウ及びベルナウのバウハウスとその関連遺産群
1919年に建築家ヴァルター・グロピウスによってワイマール(ヴァイマール)に設立された芸術造形学校バウハウス。デッサウ、ベルリンと移転し1933年に閉鎖するも、近代美術・建築において大きな革命を起こし現在も世界のデザイン界に大きな影響を与え続けています。1996年、ワイマールとデッサウのバウハウス関連遺産群が世界遺産に登録。2017年にはベルリン近郊ベルナウの全ドイツ労働組合連合学校とデッサウの片廊下式集合住宅5棟が追加登録されました。2019年はバウハウス創立100周年となる記念年! 様々なイベントが開催されるほかワイマールのバウハウス博物館がリニューアルオープンする予定なのでこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか。
ワイマールのバウハウス校舎は、バウハウスの理念を受け継ぐ総合芸術大学「バウハウス大学」として1996年に再編され、現在は建築、土木工学、アート&デザイン、メディアの4分野で学生たちが学んでいます。校舎内は誰でも自由に見学可能というオープンさはさすがバウハウス! ユーゲントスティールの階段や復元されたオスカー・シュレンマーの壁画、創設者グロピウスの部屋など随所にバウハウス精神が感じられます。
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■Bauhaus-Universität Weimar(バウハウス大学 ・ワイマール)
住所:Geschwister-Scholl-Straße 6a 99423 Weimar
営業時間:火~土曜 10:00~16:00
アクセス:ライプツィヒからワイマール駅まで特急ICで約1時間15分。ワイマール駅からからバス1番でバウハウス大学まで8分。
デッサウのバウハウス校舎は、常設展示室やメンザ(学食)が一般公開されているほかゲストハウスに泊まることもできます。併設のショップはアートやデザイン好きにはたまらない品揃えで欲しいものがいっぱい。校舎の近くに建つ教授たちの家「マイスターハウス(親方の家)」も世界遺産に登録されています。
■Bauhaus Dessau(バウハウス・デッサウ)
住所:Gropius-Allee38 06846 Dessau
TEL:0340-6508-250
営業時間:10:00~17:00 ガイドツアー月~金 11:00/14:00 土日 11:00/12:00/14:00/16:00
入場料:常設展示室は大人7.5ユーロ、ガイドツアー は大人5ユーロ
アクセス:デッサウ中央駅までベルリンからRE快速で約1時間40分、ライプツィヒから約45分。デッサウ中央駅からバウハウス校舎まで徒歩10分。
おすすめ世界遺産2.古典主義の都ワイマール
じつはワイマールは1度に2つの世界遺産に出会える街。バウハウスの他に「ワイマール古典主義の都」として1998年に世界遺産に登録されているんです。ゲーテの家と山荘、シラーの家、美しいロココホールがあるアンナ・アマーリア図書館など11件もの世界遺産対象物件があるこの街はゲーテ街道のハイライト。名物のテューリンガーソーセージを食べながら広大なイルム公園を散策するのもおすすめです。■ワイマール公式サイト
おすすめ世界遺産3.ヴァルトブルク城
アイゼナハの山の上にそびえるヴァルトブルク城はドイツ文化・精神の源といわれ、ドイツ史に深く関わってきた重要な場所です。1067年に伯爵ルートヴィヒ・デア・シュプリンガーによって建てられましたが、現在残る大部分は1170年に後期ロマネスク様式で建てられたもの。13世紀初めにはミンネゼンガー(宮廷恋愛歌人)による歌合戦が繰り広げられ、その様子はワーグナーのオペラ『タンホイザー』のテーマにもなりました。ルートヴィヒ4世の妃となったハンガリー王女エリザベートの生涯を描いた壁画や、モザイクが輝くエリザベートの間、宗教改革の中心人物マルティン・ルターが10か月間で聖書のドイツ語翻訳という偉業を成し遂げた小部屋などは必見です。このお城はレストランやホテルも併設された「泊まれる世界遺産」。昼間の絶景もいいですが、ライトアップされた夜の雰囲気もまた素敵ですよ。
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■Wartburg
住所:Auf der Wartburg 1 99817 Eisenach
TEL:03691-2500
営業時間:ガイドツアーによる見学 4~10月 8:30~17:00 11~3月9:00~15:30
入場料:大人10ユーロ
アクセス:アイゼナハまではフランクフルトやライプツィヒから特急ICEで約1時間40分。アイゼナハ中央駅からバス10番でヴァルトブルク城まで直通。
おすすめ世界遺産4.ヴィルヘルムスヘーエ公園
メルヘン街道の中心となるカッセル(Kassel)はグリム兄弟が活躍した街で、5年に一度開催される世界的な現代美術展ドクメンタでも有名。2013年にはヴィルヘルムスヘーエ公園が世界遺産に登録され多くの観光客を集めています。240ヘクタールというヨーロッパ最大規模の山の公園の最大の見どころは、夏期に開催される「水の芸術」。山頂のヘラクレス像から流れ出た水がカスカーデンとよばれる階段を流れ落ち、最後の大噴水池で自らの水圧で52メートルの高さまで噴き上げるという、約1時間半にわたる水のショーです。スタート地点から水と一緒に移動するとさらに水の迫力を感じられますが、時間と体力に余裕がない人はクライマックスの大噴水だけでもぜひ体験してみてください。絵画に興味がある人はヴィルヘルムスヘーエ宮殿内の美術館もお見逃しなく。レンブラントやルーベンスなど巨匠の傑作が所蔵されています。
詳しい記事はこちら>>>世界遺産とドクメンタの街カッセルとメルヘン街道の街
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■Bergpark Wilhelmshöhe
営業時間:公園は通年開園
「水の芸術」は毎年5月1日~10月3日の日曜日・水曜日・祝祭日の14:30から。ライトアップされた「水の芸術」は第1土曜日の夜
アクセス:Wilhelmshöhe駅からトラム1番で終点のWilhelmshöheで下車し、ヴィルヘルムスヘーエ宮殿まで徒歩15分
おすすめ世界遺産5.ヴュルツブルクのレジデンツと宮廷庭園
ロマンチック街道の北のスタート地点となるヴュルツブルク(Würzburg)は名産のフランケンワインと世界遺産のレジデンツ(司教館)で知られる美しい古都。18世紀に領主大司教の居城として天才建築家バルタザール・ノイマンの設計で建てられた宮殿は、このためだけに訪れる価値があるくらい見ごたえがあります。天井いっぱいに描かれた世界最大級のフレスコ画が圧巻の「階段の間」、繊細な漆喰が見事な「白の間」、ゴージャスな「皇帝の間」のほか、南翼側にある、ベルサイユ宮殿よりもすごいといわれる「鏡の間」やバロック様式の教会も見逃せません。詳しい記事はこちら>>>世界遺産レジデンツとワインの町ヴュルツブルク
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■Residenz
住所:Residenzplatz 97070 Würzburg
TEL:0931-355170
営業時間:4~10月9:00~18:00、11~3月10:00~16:30
入場料:大人7.5ユーロ
アクセス:ヴュルツブルク中央駅から徒歩約20分。バスやトラムもあり
おすすめ世界遺産6.バンベルク市街
南ドイツにあるバンベルク(Bamberg)は中世そのものの旧市街が世界遺産に登録されており、「ドイツで一番美しい街」とも「フランケン地方のローマ」ともいわれる人気の観光地。第二次世界大戦の戦禍を免れたために約1000年前の街並みがそのまま残る貴重な街です。カラフルな建物が並ぶ小ベニス地区や橋の上に建つ美しい市庁舎、アンティークショップが並ぶ路地などどこを歩いてもロマンチックな風景に出会うことができます。名物ラオホビア(薫製ビール)もぜひお試しあれ!詳しい記事はこちら>>>世界遺産バンベルクの観光~名物・薫製ビールとは
おすすめ世界遺産7.レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ
ドナウ川の最北端に位置するレーゲンスブルク(Regensburg)は本物の中世の姿が保たれている街で、「ドイツ中世の奇跡」ともいわれています。古代ローマ式からロマネスク式、ゴシック様式まで2千年もの建築の移り変わりを生で見ることができる街は、世界広しといえどもレーゲンスブルクだけ! 2006年に世界遺産に登録され、世界中からたくさんの旅行者がやってくる人気観光都市となっています。ソーセージ屋さんや石橋など「世界最古」がいっぱいつまったこの街でタイムトリップに出かけましょう。詳しい記事はこちら>>>本物の中世が残る世界遺産の街レーゲンスブルク
おすすめ世界遺産8.ハンザ同盟都市リューベック
ドイツ北部のバルト海沿岸の町では、かつてのハンザ同盟の面影がいたるところで見られます。なかでも当時の繁栄ぶりを色濃く残している町が、ハンザ同盟の盟主として実権を握っていたリューベック(Lübeck)。「ハンザの女王」と呼ばれるほど美しい旧市街は1987年に世界遺産に登録されています。シンボルのホルステン門、レンガ造りの市庁舎、バッハが通いつめたマリエン教会、当地が輩出した3人のノーベル賞受賞者(トーマス・マン、ギュンター・グラス、ウィリー・ブラント)ゆかりの地見どころが盛りだくさん。名物のマジパンやロートシュポンと呼ばれる赤ワインもぜひお試しください。詳しい記事はこちら>>>世界遺産の美しい町、リューベックの観光
取材協力:ドイツ観光局/ドイツ歴史古都連盟/メルヘン街道観光局