もらっていた年金によって遺族が受け取れるものが異なる
年金をもらっている人が亡くなった場合、遺族が受け取れるものとして、遺族厚生年金、死亡一時金、寡婦年金、未支給の年金などいろいろあります。亡くなった方の厚生年金期間の長短や性別、年齢、現役時代の働き方等によっても、遺族の種類によっても受け取れるものは異なります。厚生年金期間が20年以上ある、年金をもらっている人が亡くなった場合、遺族は遺族年金を請求できる
ケース別に確認してみましょう。厚生年金期間が20年以上ある、年金をもらっている人が亡くなった場合、遺族は遺族年金を請求できます。請求できる遺族は、死亡者に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母で、夫、父母、祖父母は死亡当時55歳以上であること、子、孫は18歳年度末(障害1、2級の子は20歳未満)までであることが必要です。
厚生年金期間が20年以上の人が亡くなった場合は
現実的には、遺族年金は配偶者が請求するのが一番多いので、配偶者が請求する場合を例に挙げます。夫死亡時妻65歳未満、子ども18歳年度末前
→遺族厚生年金+遺族基礎年金(末子が18歳年度末まで、障害のある子は20歳未満)
夫死亡時妻40歳以上65歳未満、子どもは高校卒業後または子どもなし
→遺族厚生年金+中高齢寡婦加算(令和3年度価格58万5700円・妻の老齢厚生年金がある時は遺族厚生年金とどちらか選択)
その後妻が65歳になると
→妻の老齢厚生年金+遺族厚生年金(差額分)+経過的寡婦加算(妻の生年月日により異なる)+妻の老齢基礎年金
妻が65歳になると年金の内訳が変わります。中高齢寡婦加算がなくなり、経過的寡婦加算と本人の老齢基礎年金が加わります。妻本人の年金保険料の支払いが少ないと、65歳になってから受け取る年金の合計が少なくなることもあるのです。
厚生年金期間が短い、国民年金期間が長い人が亡くなった時
厚生年金期間がたとえ1カ月でも、国民年金期間と合計して25年ある人が亡くなった場合、遺族は遺族厚生年金を請求できます。妻や自営業の方が亡くなった場合に多いケースです。妻死亡、夫、子どもが18歳年度末前
→遺族厚生年金(夫55歳以上の場合)+遺族基礎年金(夫の年齢制限なし、末子が18歳年度末まで、障害のある子は20歳未満)
妻死亡、夫55歳以上65歳未満、子どもは高校卒業後または子どもなし
→遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金がある時は遺族厚生年金とどちらか選択)
その後夫が65歳になると
→夫の老齢厚生年金+遺族厚生年金(差額分)+夫の老齢基礎年金
夫の遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算はありません
10年の短縮年金をもらっていた人が亡くなった場合
平成29年8月より、10年の受給資格期間があれば老齢年金がもらえるようになりました。ただし、10年の短縮老齢年金をもらっていた人が死亡しても、遺族は遺族厚生年金を請求できません。遺族厚生年金の支給要件に、「受給資格期間(厚生年金・共済年金期間+国民年金期間+カラ期間)25年以上の人の死亡」という要件があり、こちらは10年に短縮されなかったためです。年金は死亡月分まで支給される
老齢年金、遺族年金、障害年金、どの年金をもらっていた人も年金は死亡月分まで支給されます。例えば、7月1日に死亡しても、亡くなった人は7月分まで年金を受け取ることができるのです。ただし、死亡後の7月分の年金が支払われるのは本来8月15日です。しかし8月15日には死亡者の銀行口座も閉鎖され、7月分の年金は国に戻ってきてしまうでしょう。「もらい残しの年金(未支給の年金)」を生計同一だった遺族が請求し、受け取ることができます。遺族の範囲は、死亡者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹、姪甥等3親等内の親族です。現実的には、配偶者と子どもが多いでしょう。
未支給の年金は支払い月翌月から5年たつと時効で請求できません。また、遺族年金は死亡日翌日から5年以上たってから請求すると請求日以前から5年を超える年金分は切り捨てられてしまいます。年金をもらっている人が亡くなったら早めに未支給年金・遺族年金の手続きをしましょう。
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