この記事では、終わったばかりの平成30年度司法書士試験について、難易度を中心にみていき、それを基に基準点を予想します。
*まだ試験が終わってから数日しか経っていませんので、私の現時点での分析と受験生の方から寄せられた情報を基にした暫定的なものである点はご了承ください。
午前択一
- 憲法
第3問(条例制定権)は、オ以外は徳島市公安条例事件(最大判昭50.9.10)からの出題です。しかし、この問題で聞かれていることまで正確に記憶している人はいないと思います。この問題を正解できたかどうかは、冷静に文章を読めたかによります。イ・ウ・エの空欄は、直後の記述から国語の問題として解けます。ただ、本試験の緊張状態でどれだけ冷静に文章を読めたか、私にはわからないところです。冷静に読めた方が多ければ正答率は高くなると思いますが、そうでない場合は正答率は低くなると思います。
憲法は、1問の失点なら問題ありません。
- 民法
平成30年度の午前択一は、民法の基本的な問題でどれだけ失点を少なくできたかが1つのポイントになります。多くても2問の失点で済ませたいです。
- 刑法
刑法は、1問の失点なら問題ありません。
- 会社法(商法)
・第27問(株式会社の設立)
・第28問(譲渡による株式の取得)
・第30問(株式会社と取締役との間の取引)
・第33問(社債管理者)
・第34問(吸収合併)
・第35問(場屋の主人の責任)
会社法(商法)は、3~4問失点しても問題ありません。
午後択一
- 民事訴訟法・民事保全法・民事執行法
民事訴訟法・民事保全法・民事執行法は、2問の失点なら問題ありません。
- 司法書士法・供託法
司法書士法・供託法は、1問も失点してほしくありません。
- 不動産登記法
・第14問(オンライン申請)
・第16問(却下)
・第17問(登記識別情報と登記完了証)
・第23問(質権の登記)
不動産登記法は、3問の失点なら問題ありません。
- 商業登記法
・第29問(株式会社の設立の登記)
・第30問(現物出資による募集株式の発行の登記)
・第33問(吸収合併の登記)
商業登記法は、3問の失点なら問題ありません。
記述
- 不動産登記(記述)
平成30年度は、細かいミスがいかに少ないかの勝負になると思われます。
- 商業登記(記述)
ex1. 監査役会設置会社の定めの設定の登記を登記することができない事項にしてしまった。
ex2. 株式の譲渡制限に関する規定の廃止の登記を登記することができる事項にしてしまった。
また、支配人の代理権の消滅の登記を間違えている方も多いです。
よって、これらを間違えてしまったことは、合否に直結しません。
予想基準点
まず、過去10年の択一の基準点の推移は、以下のとおりです。【択一の基準点(平成20年度~平成29年度)】
*数字は問題数です。午前択一も午後択一も、満点は35問です。
この基準点の推移、および、上記で説明した今年度の難易度を基にした、私の基準点の予想は以下のとおりです。
【平成30年度の予想基準点】
午前択一:26問
午後択一:24問
記述 :予想できません
記述の採点基準は、発表されていません(解答でさえも発表されません)。そこで、私は、択一の基準点を突破した受験生の方と合格者の方にご協力いただき、記述の開示請求答案(*)をご提出いただいて、採点基準を探っています。何年も、100通以上の答案をご提出いただいています。
*行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、提出した記述の答案用紙(採点前のもの)の開示請求をすることができます。
7年間開示請求答案の分析を続けてきた私の推測ですが、記述は、得点調整がされる年度(ex. 平成26年度)とされない年度(ex. 平成28年度)があります。今年度がどちらになるかわかりませんので、記述の基準点を予想することは不可能だと考えています。
なお、上記の予想はあくまで私の主観的なものです。実際の基準点とはズレが生じることをご了承ください。
受験された方、改めましてお疲れさまでした。
なお、平成30年度司法書士試験の今後のスケジュールについては、平成30年度司法書士試験…願書・日程・試験日等の基本をご覧ください。