貯蓄/貯蓄を増やす習慣

お金を貯めるには「銀行口座」の使い分けが新常識

普通預金口座は、公共料金やクレジットカードの引き落とし、家賃などの振り込み、そして日々の生活費の引き出しなど、いわば、家計収支の決済口座。その役割に変わりはありませんが、これまでの常識が変わっていることに気づいていますか? 賢く家計管理、貯蓄をするには、銀行口座の使い分けが大切です。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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キャッシュレス時代到来。銀行口座の使い分けが絶対必要!

キャッシュレス化が進み、現金を持ち歩かない、という人が増えてきました。確かに、都市部で生活していると、クレジットカード、電子マネー、交通系カード、QRコード決済、さらにはスマホ1台を持っていれば、支払いに困ることはなく、現金を使う場面は限られます。

スマホに多くの決済アプリをインストールしている人も多いでしょう。2019年10月の消費増税後には、キャッシュレスによる消費者還元事業が実施され、キャッシュレス化に拍車がかかりました。さらに、コロナ禍によって現金を避け、非接触型決済のキャッシュレス利用も進みました。

家計支出においては、水道光熱費や通信費、家賃なども口座引き落としやクレジットカード払いにしていれば、いちいち銀行やコンビニで現金払いすることもありません。

このようにお金は銀行口座を経由して、現金を一度も手にすることなく、必要な支払いに使われていきます。それだけに、これからの時代は、お金を管理する大元の銀行口座をどう使いこなすかが重要になってきます。

 
キャッシュレス時代到来。口座の使い分けが絶対必要!

キャッシュレス時代到来。口座の使い分けが絶対必要!



今や通帳もWEB通帳にとって変わり、「通帳記入」をする人も少なくなってきました。お金の流れがスムーズであれば、給与が振り込まれても、いちいち残高を確認することもなく、ましてや、何にいくら使って引き落とされているのか明細を確認することもありません。

もちろん、こうした銀行口座の使い方は間違いではありません。決済専用と割り切れば、クレジットカードや電子マネー、交通系カード、QRコード決済など、すべてのキャッシュレス決済を1つの口座に集約させることが、もっともシンプルな管理方法になり、赤字にさえなっていなければ、なんら困ることはないでしょう。

しかし、問題はあります。

たとえば、収入から貯蓄分を先取りせず、残ったら貯蓄をするというケース。マメに残ったお金を定期預金にする、別の貯蓄口座に預け直す、ということであればいいのですが、得てして、「残ったら貯蓄」という考えの人は、普通預金に預けっぱなしにしているものです。実際、普通預金口座に何十万、何百万と残っている人の家計をよく拝見します。決済専用であれば、普通預金口座に必要以上に残しておく理由はありません。普通預金に預けっぱなしでは貯蓄は一向に増えません。

今や、定期預金に預け直ししても、「金利差はほとんどないから、そのままでもいい」と、考えるかもしれません。しかし、キャッシュレスで支払いをしていくと、1カ月の支出の管理がズサンになりがちです。電子マネーの残高がなくなれば、オートチャージしてくれます。ますますクレジットカードでの支払いがかさみ、月の支出の変動が大きくなる可能性もあります。なによりも問題なのは、普通預金にほったらかしだと、貯蓄をしている感覚がなくなってしまうことです。

こうした問題を解決するには、「収入から先取りで貯蓄すること」と、「貯蓄用の別口座」をつくることの2つしかありません。
 

「先取り貯蓄+銀行口座を2つ」がお金を貯める鉄則

貯蓄の基本は、収入からあらかじめ貯蓄分を先取りして、残ったお金で生活をすることです。社内預金、財形貯蓄(勤務先が制度を導入している場合)、銀行の自動積立定期預金などを使って先取り貯蓄してしまえば、確実にお金は貯まります。普通預金口座に残ったお金が、1カ月で自由に使えるお金になります。この範囲内であれば、キャッシュレスであろうと、現金払いであろうと、細かいことを気にせずとも、使えばいいのです。

ただし、普通預金と定期預金がセットになった総合口座の場合、普通預金がマイナスになると、定期預金を担保に自動貸越することになります。これは、借金です。その利子は、わずかな預金利息よりはるかに高いのです(お金を貯めたいなら、普通預金のワナに注意)。自動貸越にならないように、残高に注意するか、やはり支出の管理をしっかり行う必要があります。

勤務先に先取り貯蓄できる制度がない、銀行の自動積立定期預金はメリットがないので、預けたくない、という人は、給与振込のあとに、1カ月で必要な生活資金以外を、いったん別の口座に移し替えることです。面倒と思うかもしれませんが、月1回のことです。給料日の翌日の仕事の1つとしてルーティン化してしまいましょう。

「残ったら貯蓄」ができない人が、給料日の翌日に移し替えができるか、というと、優先順位が違うので、必ずできるようになります。残ったら貯蓄は、やらなくても困りません。明日でもいい、月末にやろう、と思っているうちに、ただただ普通預金に積み残っていくだけです。しかし、月1回の仕事としてルーティンにしてしまえば、「給料が入ったら、貯蓄をする」という意識が芽生えます。これがとても大事なことです。

先取り貯蓄ができている場合でも、必要以上に普通預金口座にお金を残しておく必要はありません。1カ月で使う予定がないお金は、別の口座に移し替えることが大切です。もちろん、全力で先取り貯蓄をしている人は、それで十分ですが、別の口座をもう1つ持っておくことの大切さを、次に説明しましょう。
 

どんな貯蓄の仕方をしたいかで、2つめの口座を決める

どれだけ貯蓄に励んでいるつもりでも、効果的な口座分けができていないと、不要不急のことであっても、簡単に貯蓄を取り崩してしまいます。普通預金口座が1つで、預け直しをしていなければ、貯蓄の感覚がないので、お金を引き出すことに無頓着になります。

口座を2つ持つ意味は、「出ていくお金の管理」と、「貯めるお金の管理」の2つが必要だということです。

「出ていくお金の管理」は決済口座として、現在使っている普通預金口座でいいでしょう。金利うんぬんは関係ありません。「貯めるお金を管理する口座」は、貯蓄の入り口となるので、どんな貯蓄、資産形成をしたいかで決めるといいでしょう。

1「あまり投資には興味がなく、確実にお金を貯めたい」なら、普通預金でも金利が高い銀行。

2「より金利が高い定期預金があれば、預け直ししたい」なら、振込手数料が無料になる銀行。

3「せっかくなら、投資も少しやってみたい」なら、証券口座との連携サービスがある銀行。

大きく分けて、以上の3つのうち、自分が当てはまる銀行をセレクトすればいいでしょう。すでに先取り貯蓄をしている人でも、次のステップに進むためには、やはりもう1つ、貯蓄用の口座を持っているほうが、スムーズにお金を動かすことができるでしょう。

親世代のころはメガバンクに口座を開き、給与振込、定期預金、住宅ローンまで、1つの銀行で完結することができました。しかし、今は、メインバンクに口座を持っているメリットは、ほとんどなくなってしまいました。親がそうだったから、身近な先輩がそうだったからというだけで、10年、20年前の常識にとらわれていると、金融の変化に乗り遅れてしまいます。

金利は史上最低の状態が続いていますが、特徴ある銀行が増えているのも事実です。その特徴を理解して、上手に使い分けていくことが、お金を貯める早道となります。どの銀行口座で「お金を使い」、「貯めて、増やす」のかを考えていくようにしましょう。

まずは、給与振込口座1つから、貯蓄用口座を別に設けることから始めましょう。

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