預金・貯金/預金・貯金の基礎知識

お金を貯めたいなら、普通預金のワナに注意

お金を貯めるには、マネー商品選びが重要です。会社に制度があれば財形貯蓄や確定拠出年金、なければ銀行の自動積立預金が最優先。さらに定期預金の口座を持つことが重要。つまり、「給与振込口座=普通預金」とは別の口座を用意することが大事です。普通預金口座しかない、その問題点を探ります。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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<目次>

普通預金口座だけでは、お金は貯まらない

だれでも1つは普通預金口座を持っていますよね。通常は給与振込口座が、そのまま生活口座となります。お金が貯まらない人は、この普通預金の口座しか持っていないケースが多く、使わないお金を別の口座に預け替えすることをしません。
銀行の普通預金に預けてそのままになっているお金、どうしたらいい?

銀行の普通預金に預けてそのままになっているお金、どうしたらいい?

「使わないお金は普通預金口座に残っているのだから、それでいい」と思っていると、お金が貯まらないどころか、目減りする可能性が高くなり、ある一定の金額以上にお金は貯まらないのです。どういうことか説明しましょう。

ひとつには、普通預金口座だけだと、「お金を貯める」意識が身に付かないからです。お金を貯めるには、自分への意識付けが大事です。よほど自分に自信があり、ムダ遣いはしないから普通預金だけで問題ない、と考える人もいるでしょう。積立貯蓄はしているから、それ以外に貯蓄する余裕はない、という人もいるでしょう。でも、普通預金に預けっぱなし、給与天引きの貯蓄に頼りっぱなしだと、お金はなかなか増えていきません。それは、お金を貯める意識が高まらないからです。

100万円、200万円とまとまった金額を普通預金に入れっぱなしの人は、これで何かあっても大丈夫と安心してしまい、日常的なムダ遣いに気付かなかったり、無計画な出費をしてしまうことも少なくありません。多額のお金が普通預金に残っていることのワナがそこに潜んでいるのです。

給与天引きの貯蓄も同じです。貯蓄の基本は積み立て。しっかり貯蓄できているはずですが、自動的に天引きされるので、貯蓄をしている意識が薄くなりがち。天引きされて忘れるぐらいがちょうどいいのですが、ほかに引き出せる貯蓄がないと、積立貯蓄から取り崩してしまうパターンもよくあります。手間をかけないで貯めたお金は、気軽に引き出してしまうものなのです。

普通預金や積立貯蓄以外の貯蓄用の口座を作る、貯蓄用の口座に自分でネット、スマホ、ATMから預け替えるなど、行動を伴った貯蓄をすることが重要です。
 

普通預金にいくら残しておけばいい?

最近のデータ(金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』2023年、二人以上世帯、金融資産保有世帯)では、20歳代の金融資産保有額平均は403万円。このうち預貯金は170万円で、内訳として54万円が定期預金で、残り116万円が普通預金となっています。全資産の約29%が普通預金というわけです。

これが30歳代になると、金融資産保有額平均は856万円。預貯金は408万円。うち定期預金は127万円で、残り281万円が普通預金。定期預金の金額は20歳代よりも増えますが、やはり普通預金に多額のお金を眠らせており、その割合は全資産の約33%です。

普通預金はいつでも自由に使えるので、生活資金のほか、いざというときに引き出せることを優先して、多く残していると考えられますが、実際は、3カ月分程度の生活費が口座にあれば安心のはず。人によっては半年分程度を残しておきたいと考える人もいるでしょう。しかし、大半は意識的に金額を決めて普通預金に残しているとは思えません。ほったらかし、というのが実情でしょう。

ネット銀行や地銀ネット支店などの定期預金は、一般の銀行よりも金利が高く、少額でも預け入れられるところがあります。普段使いの口座と分けるという意味では活用してみてもいいでしょう。一部のネット銀行では条件次第で普通預金金利がアップするところもありますので、そうした銀行を利用するのもいいでしょう。

一定の金額以上になったら、普段使いの普通預金に残さず、こまめに預け替えをすることがお金を貯める秘訣です。
 

総合口座の自動貸越にも注意

それほど金利に違いがないなら、給与振込口座のある銀行で定期預金にすればいい、と考える人も多いと思います。それがセオリーといえば、セオリー。預金管理が一元化できるので、ラクでもあります。しかし、ここで注意が必要なのは、普通預金と定期預金がセットになった「総合口座」にした場合です。

総合口座にすると、万一、普通預金の残高がなくなっても、定期預金があれば自動貸越サービスが受けられ、定期的な支払いなどが滞ることがありません。定期預金を担保に銀行が自動的に融資をしてくれるのです。

ただし、あくまでも融資ですから、当然、金利が発生します。担保となる定期預金の約定利率に年0.5%を上乗せした利率が一般的で、貸し越しした期間分で計算されます。つまり自動貸越を利用すると、定期預金の金利は飛んでしまい、さらに年率0.5%を加えた利息を支払わなくてはなりません。これを防ぐには、自動貸越サービスを受けないと申請するか、当然のことながら普通預金口座をショートさせないように管理することです。

特に、最近はデビットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス化が進んでいます。チャージ方法が銀行口座に紐づいているのであれば、口座残高以上は使えないので、お金の管理に向いているというメリットはありますが、自動貸越でマイナスになっては元も子もありません。

生活に欠かせない普通預金。お金を貯めるなら、必要以上にお金を残しておかない、でも資金がショートしないよう普通預金の管理をしっかり行う。これが最初のステップといえるでしょう。

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