●他のメーカー同士でも同じレンズがある?さて、こうなると、筆者は重箱の隅つつきを始めました。大手量販カメラ店の店頭に出向き、どこか他のメーカー間でもレンズの融通をしているところはないか、今まであまり関心を持たなかっただけに、結構細かく調べてみようという気になり、いじりまくりました。(店員さん、ごめんなさい)
古い機種はデモ機が並んでいませんので解りませんが、
EPSONのCP-920Zは
キヤノンのG1、
G2と同じレンズのようです。
カシオのQV-3000EX、
3500EX、
4000も同じキヤノンレンズを使っているようです。ふと見ると、SONYも似たような口径のレンズです。ところがSONYは昔からカールツァイスのレンズを使用していると、大々的に宣伝していますし、レンズにも同社のブランド、バリオゾナーの記述がありました。そこで、ちょっと調べてみたところ、カールツァイス自体が、今は日本の大手光学メーカーからのOEMがほとんどであるという情報を得ました。昔は筆者もいろいろなカメラをいじり、情報を入手していましたがだいぶブランクがあったため、この情報に行き着くまで結構探す羽目になりました。確かに、ドイツのカールツァイスがSONYのビデオ、デジカメ全てのレンズを供給出来るほど、製造能力がないだろう事は想像に難くありません。
エプソンCP-920とキヤノンG1、G2の比較
EPSON CP-920Z
レンズ 沈胴式3倍ズームレンズ F2.0-2.5 f7mm-21mm
(34mm-102mm相当:35mmフィルムカメラ換算)
レンズ構成7群8枚(非球面2枚)
Powershot G2(G1も同じ)
レンズ 7(W)~21(T)mm(35mm判カメラ換算: 34(W)~102(T)mm) F2.0(W)~2.5(T)
また、コニカのDigital Revio KD200ZはミノルタのDiMAGE E203とデザインこそ少し違いますが全く同一の機種のようです。レンズどころではありませんね。もし店頭などで手に取るチャンスがあれば見てみてください。どなたでもすぐ解りますよ。ちなみに他にも同じ機種の外観違いの組み合わせがありますので探してみてください。ヒントはゼロハリバートンです。すぐバレますね。
●キヤノンはOEMレンズの大手?
ということで、キヤノンのレンズを採用する家電系デジカメメーカーが多いのはレンズ製造能力(技術面、数量とも)からして不思議ではありませんが、競合光学メーカー、それも医療機器など光学技術が必要なオリンパスに供給しているようだということ、デジカメ用レンズはキヤノンがダントツのシェアを持っていること(非常に多くのデジカメが明らかにキヤノン製のレンズを採用しています)、SONYのカールツァイスレンズも実はめぐりめぐるとキヤノンの技術・工場で作られているようだ、ということなどが解りました。
当然ですが、それぞれの数値的に同規格のレンズが全く同一の製品というわけではなく、それぞれの供給先向けのカスタマイズが行われていると思います。それはレンズに記載された規格や色、メーカー名のみならず、レンズの光学特性、コーティング材、製造中の傷などの不良品に対する管理体制など、全てに及んでいると思います。カメラレンズというのは光学性能だけではなく、やれ空気感だ、奥行きが感じられるだ、肌色がこっちの方がいいだなど、オーディオのような「あいまい」な差異を、ある程度ユーザーが認知出来る部分だからです。