思い出のモノ、好きなモノだけを集めたシンプルな暮らし

一人暮らしの部屋

60代シングル女性の部屋を取材しました

「一人暮らし」というと、20~30代の若い世代をイメージする人が多いかもしれません。しかし近年は、上の世代の一人暮らしがどんどんと増えています。ただ、中高年の一人暮らしのインテリアやリアルなライフスタイルを紹介した情報はあまり多くありません。

そこで今回は、60代の一人暮らし女性の部屋を取材してきました。単に「部屋作りを楽しむ」というだけでなく、「老前整理も兼ねてシンプルに」「思い出で部屋を作る」など、60代ならではのインテリアとライフスタイルを紹介します。

間取り

ショコラさん(62歳)
パートタイマー
一人暮らし歴18年

-Room Data-
東京都在住
持ち家
間取り:ワンルーム
間取図

思い出のモノで部屋を作る60代の一人暮らしインテリア・間取図

ショコラさんが一人暮らしを始めたきっかけは離婚。15年ほど前に家族と住んでいた家を一人で出て、近所にアパートを借りて住み始めました。ただ、「まだ息子2人が高校生だったので、自分の仕事が終わると、元の家へ行って、ご飯を作って洗濯をして、翌日のお弁当を作って、それを冷蔵庫に入れて、自分の部屋に戻ってくるという暮らしを2、3年しました。だから、最初は一人暮らしといいつつも、自分の部屋には寝に帰るだけでした」とのこと。

ただ、その後ショコラさんの友達が「そろそろ自分の生活をちゃんと考えた方がいいよ」と、今住んでいるマンションのチラシを持ってきてくれたのだそう。その当時は「収入も少ないし、頭金もないし、生活するだけで精一杯だったので、マンションを買うなんて無理」と思っていたそうですが、「見るだけ」とモデルルームに行ったら「そのまま勢いで決めてしまいました」と、ショコラさん。

今回取材にお伺いしたそのマンションは、息子さんたちが住む家からも近く、一人暮らしにもちょうどいい広さ。「即決しておきながら言うことではないですが、ドアのノブとかキラキラした建具……実は全然好みじゃないんですよね。本当はもっとレトロな感じが好みなので。でも、家族のそばに住めることとか、そういった条件が優先順位として高かったので、これでいいやって」と話していましたが、部屋そのもののつくりとは別のところで、しっかりと自分らしく快適に暮らせるような工夫をたくさんなさっていました。

大事な記憶が思い出せるモノたちに囲まれた暮らし

一人暮らしのインテリア

モノは決して多くないシンプルなインテリア。小さくながらも飾られた小物にたくさんの思い出が詰まっています

「インテリアのテーマはありますか?」とお伺いすると、「思い出のモノで部屋を作っています」と答えが返ってきました。モノが少ないシンプルなインテリアながらも、部屋のあちこちにはアクセントとなるような絵や雑貨が飾られています。一見しただけでは、特に思い出とつながるようなものには見えなかったのですが……。
一人暮らしのインテリア

(左上)長男が描いたキャメルの絵(右上)リーバイスの絵(左下)次男が美術の時間に作ったハイロウズのCDジャケットをイメージしたCDケース(右下)「息子と行った上野のカフェで買ったものだし、パリで買った自分のお土産だし……」と、思い出のぎゅっと詰まったものばかり並ぶ

「全部に思い出があるんですよ。例えば、これは次男が好きだったリーバイスのパッチの絵を段ボールの裏に描いたものなんです(上写真・右上)。妹が昔ジーンズショップを開いていたことがあるんですけど、『お店に飾りたいからちょうだい』って言われたこともあるんですよ。『絶対ダメ』って言いましたけど。あと、玄関のところに飾ってる額は、長男が書いたもの。私の父が遊びに来たときに置いていったキャメルっていうたばこの箱の絵を見て『これ、かっこいいな』って描いたんですよね(上写真・左上)」。ショコラさんから部屋にあるモノの思い出を伺っているうちに、ただ聞いているだけのこちらまで、そのときの息子さんたちの様子が目に浮かんでくる気がしてきます。
一人暮らしのインテリア

日常に使うモノと、思い出のモノ。同じ空間にありながらも、違和感なく馴染んでいます。

「モノは少なくシンプルな部屋を目指しています。ただ、本当にミニマムな部屋にしてしまったら、眺めるものすらなくてつまらない。でも、思い出のモノを飾っておけば、こうやってぼーっと見ているだけで、中学生のころのあの子たちを思い出せます。たしかに、日常生活にはなくてもいいものだけれど、私にとって大事なものですね」と、ショコラさん。

飾られているのは、どれも味わいがあって素敵なモノばかり。でも、単に「かわいい」「おしゃれ」という言葉だけで片づけられない、たくさんの思い出もギュギュッと詰まっています。それこそがショコラさんにとって和める場所を作っているのでした。

老前整理を考える、60代だからこそのシンプルライフ

一人暮らしの部屋

「小さくて軽い」で選んだベッド。コンパクトなたたずまいがインテリアになじんでいます

2年程前から始めたのが断捨離。「老前整理的にね。もちろん、まだそんなにすぐ死ぬつもりはないんですけど、人間いつ何があるかわからないでしょう。私が死んだあと、この部屋を片づけてもらうことになる息子たちに面倒な思いをさせるのは申し訳なくて、必要最低限のものにしようと思ったんです」とのこと。こういった「自分がいなくなったら……」という前提での部屋作りは、若い一人暮らしにはない考え方です。
一人暮らしの部屋

すっきりとしたキッチン。「きちんとした料理をすることは少ないです」というショコラさんですが、息子さんたちが来るときは好物を作るんだとか

「家具を買うときも『小さくて軽い』というのがキーワード。自分で動かせないものは買わないようにしています。今使っているベッドは無印良品のものでマットレスに脚がついているタイプのもの。ヘッドボードがついていたりするとすごく重いんですが、これなら粗大ゴミに出すにしても玄関までなら、動かせます。それから、洋服など小さいな買い物でも何か1つ買ったら、1つ捨てて、モノを増やさないようにしていますね」と、ショコラさん。自分で管理できる範囲のものしか持たない。それは年を重ねて体力が落ちてきたときでも、快適な一人暮らしをする上で大事なことかもしれません。
一人暮らしのインテリア

キレイに片づいたキッチン。料理については「これまでさんざん作ってきたから、もういいかな」とのこと。でも、息子さんのためには腕を振るうこともあるとか。

「もうこの年齢だからか、80歳になったときのことを考えるんです。そのときにも元気で、この部屋に住み続けられていたら、そのときでも自分でちゃんとできるように部屋も整えていきたいですね」。

大人になったお子さんたちとの程よい距離感の一人暮らし

一人暮らしのインテリア

取材のときにいただいた珈琲とチョコレート。チョコレートは誕生日プレゼントとして息子さんからもらったものなんだとか!

ショコラさんとお話の中には、2人の息子さんのことがよく出てきます。離婚した当時は高校生だった2人もすでに30歳を過ぎ、それぞれ別に暮らしていますが、みんな徒歩圏内に住んでいるそうで、「上の子は休みの日になると、よくここにご飯を食べに来るし、下の子とは一緒に出かけることも多いんですよ」とのこと。

「いいですね。そんな年齢になってもお母さんに付き合ってくれるなんて」と言うと、「結婚していないからかな。彼女ができたり、結婚したりしたら、そっぽ向かれるのかも。でも、それはそれでいいと思っているんです。息子の邪魔をするような親にはなりたくない。自分は自分で精神的にも自立しているつもりです」。

「一人暮らしは楽しいですか」と伺うと、「楽しいです。よく『一人暮らしは寂しい』って言う人がいるけれど、私は感じたことがありません。たぶん私は結婚生活向いてなかったのかなって、ちょっと思ったりします。子どもはすごく大事。だから、理想を言えば、3人で暮らしたかったんです。でも、いろいろな事情で私1人で出て行って。それでも息子たちの近くに住むことができて、今もときどき遊びに来てくれて、そんなつながりがあるから寂しくないんですよね」と話してくださいました。

断捨離&節約をなどを綴る「60代一人暮らし 大切にしたいこと」

一人暮らしのインテリア

廊下の収納にかけた北欧風の布は、この取材に合わせて作ってくださったそう。いい雰囲気です

ショコラさんは「60代一人暮らし 大切にしたいこと」というブログを運営しています。仕事やお金、ご飯に部屋作り、そしてときに息子さんのことなど、毎日の暮らしがていねいな言葉で綴られています。

ブログを始めたのは1年程前のことで、それまでSNSも含め、インターネット上で何かを発信したことは一度もなかったとのこと。「きっかけはお気に入りの冷蔵庫が壊れたこと。買い替えるときにどこを探して、どんなものを買ったのかって記録を残したかったんです。でも、同年代の友達にはブログなんてやってる人いなかったし、雑談の中にも出てこなくて、『ブログってどうやって始めるんだろう』ってところからスタートでしたね」。

ブログを始めたことで「何を買ったとか、何を処分したとか、そのときにどう思ったとか、記録が残せるのはいいですね」と、ショコラさん。ただ、「友達と食事に行ったときにブログ用に写真を撮ったりするんですが、私の周りにはそういうことをする人は誰もいないから、うざいって思われてないかなと心配になることはあります」というのはその年代ならではの悩みかもしれませんね。

そんなショコラさんの日常を続けてご覧になりたい方は、ぜひブログに遊びに行ってみてくださいね。

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