花粉のピークや花粉対策で大切なこととは?
春先に多くの人が悩まされる花粉症。もう少し具体的には、スギ花粉のピークは福岡では2月下旬から3月上旬、高松・広島・大阪・名古屋では3月上旬から中旬、金沢と仙台では3月中旬から下旬、東京では3月上旬から4月上旬となっています。 スギが終わるとヒノキの花粉が飛び始め、両方合わせると東京では4月下旬ごろまで花粉のピークは続きます(出典:日本気象協会)。この長く続く花粉シーズンを乗り切るための対策で大切なこととは何でしょうか?「家の中に花粉を持ち込まないこと」及び「紛れ込んできた花粉を家の外に排除すること」、この二つが花粉対策として大切なことです。この二つを個別に見ていきましょう。
<目次>
家の中に花粉を持ち込まないためのポイントとは? 花粉を家の外に排除するためのポイントとは?
家の中に花粉を持ち込まないためのポイントとは? 花粉を家の外に排除するためのポイントとは?
家の中に花粉を持ち込まないためのポイントとは?
家の中に花粉が入ってくる経路は以下のケースが考えられ、この経路を絶つことが効果的な対策になります。・外出先から帰ってきたときに衣類などについている
・洗濯物や布団を外に干した時についてくる
・窓を開けたときに入ってくる
・壁などついている換気口(給気口)から入ってくる
ポイント1.外出先から花粉を持ち込まない
・一番外に着用する洋服には、花粉が付着しやすいウールは避け、綿・絹・化繊などすべすべした生地のものを選ぶ。・自宅に入る前に、洋服、頭、顔、手などについた花粉をはたいて落とす。専用のブラシなどを使っても良いでしょう。
ポイント2.基本的に洗濯物や布団は外に干さない
基本的に洗濯物や布団は花粉が飛ぶ時期には外干しせず、日々の洗濯物は浴室乾燥機や室内干しで対応しましょう。サーキュレーターなどを使うと室内干しを効果的に乾かすことができます。【関連記事】
サーキュレーターで効果的に洗濯物を乾燥させる方法
※どうしても外干しするときは、花粉が多い日や時間帯を避ける
洗濯物や布団をどうしても外に干したい時は、下記の「花粉が多く飛ぶ日」や「時間帯」をさけて干します。
・晴れて、気温が高い日
・空気が乾燥して、風が強い日
・雨上がりの翌日や気温が高い日が2~3日続いた後
(以上は花粉が多く飛ぶ日)
・昼前後と夕方
(以上は花粉が多く飛ぶ時間帯)
外干しするときは花粉が比較的少ない午前中をメインに、朝早めに干して昼前に取り込むと良いでしょう。洗濯物や布団を取りこむ際にはしっかりはたいて花粉を落としましょう。
ポイント3.布団や洋服、カーテンの対策に花粉対策スプレーを吹きかけておく
花粉がつきやすい布団やシーツ、洋服、カーテンなどの布製品には、対策の一つとして、外出や外干し前に花粉がつきにくくなるスプレーを使用する方法もあります。花粉対策用のスプレーは市販されており、ドラッグストアや通信販売でも購入可能です。現在さまざまなメーカーから花粉対策スプレーが出ていますが、洗濯や外出のつどスプレーが必要なタイプ、洗濯30回しても大丈夫とうたうタイプ、花粉対策だけでなく消臭・防臭・抗菌など他の効果もあるとうたうものもあります。
ポイント4.窓を開けて換気するとき間は細く開け、レースカーテンは閉めておく
花粉の飛ぶ時期は季節もよく、窓を開けて換気をしたくなるものです。しかし、ちょっと待ってください。環境省が公表している花粉症環境保健マニュアルによると、花粉の最盛期に3LDKのマンションで行った実験では、窓を全開にして1時間換気した場合、およそ1000万個の花粉が屋内に流入したそうです。そこで窓を開ける巾を10センチ程度にし、レースカーテンをすることで屋内への花粉流入量をおよそ1/4に減らすことができたとのこと。これはぜひ実践したいですね。
窓を開けた後は窓付近の床の掃除をして花粉を除去し、カーテンは定期的に洗濯しましょう。
ポイント5.換気口(給気口・通気口)にフィルターを設置して花粉をシャットアウト
2003年以降に新築された住宅には基本的に24時間換気設備がついています。24時間換気設備は、2時間に一度室内の空気を全て入れ替え、室内に残留しているシックハウス症候群を引き起こす元となる化学物質やカビ、ホコリ、タバコ臭やペット臭、調理の際に出た湿気などを外部に排出する役割を担っています。ちなみにこの24時間換気設備は、台風や大雨などで換気口から雨が吹き込む恐れがあるときを除き、基本的に24時間ずっと稼働させることが前提となっています。24時間換気設備のついていないマンションや一戸建ての場合でも、たいていの物件では、家の中のどこかに外気を取りこむための換気口(給気口・通気口)がついています。
24時間換気用の換気口(給気口・通気口)はもちろん、その他のこれらの換気口(給気口・通気口)には花粉などを除去するフィルターを設けましょう。もともとついているものもありますが、もし何もついていなかったら、ホームセンターや通信販売で専用のフィルターを購入して取り付けましょう。取り付けたらその後もお手入れもお忘れなく。汚れたら定期的に洗う、もしくは交換するようにしてください。
ポイント6.網戸に花粉フィルターを取り付け
網戸に花粉やホコリ、虫などをブロックしてくれる網戸用花粉フィルターを貼り付ける方法があります。あるフィルターは花粉の侵入を80%カットし、室内への紫外線もカットし、室内を見えにくくする効果もあるとのことです。フィルターの頼らず網戸そのものを編み目の細かいものに交換する方法もありますが、交換した網戸がマンションのサッシに適合しない場合がありますので、事前に必ず確認をしてください。
ポイント7.花粉をキャッチするカーテンを採用する
先ほども触れましたが、窓を開けて換気をする際、レースカーテンは花粉の侵入を防ぐ大切な役割を果たします。最近では花粉をキャッチする特殊な繊維を使用した花粉対策カーテンも販売されています。カーテンの繊維そのものに工夫がしてあるため、丸洗いすることができ、丸洗いしても花粉をキャッチする効果がほとんど失われることがないというメリットがあります。
花粉をキャッチするカーテンの繊維の様子(出典:日本経済新聞)
ポイント8.光触媒を用いたカーテン、布団、観葉植物を設置する
光触媒とは、太陽や蛍光灯の光が当たることで、花粉やカビ、ハウスダスト、ニオイ、シックハウス症候群の元となる化学物質などを分解する作用を持つ物質のことです。この光触媒加工は、カーテンや布団、観葉植物(フェィクグリーン)、シャツなどで実用化されています。例えば光触媒加工をしてある布団を使用すれば、照明の光にあてることで汗や汚れなどを分解して取り除いてくれるため、外に干さなくてもキレイなお布団をキープすることができます。
花粉を家の外に排除するためのポイントとは?
それでは次に、家の中に入り込んでしまった花粉の排除方法をお伝えします。花粉は時間が経つと床の上に積もるため、床の掃除をこまめにするとよいでしょう。しかし、掃除の仕方によってはまた花粉を空気中に巻き上げてしまい、それを吸い込んで症状を悪化させるなど、逆効果になってしまうかもしれません。花粉を巻き上げない掃除を心掛けましょう。
ポイント1.床掃除は、まずは掃除機を使わずにモップで行う
床掃除をする際にほうきや掃除機を使うと花粉をまき散らしてしまう恐れがあるため、モップやお掃除シートなどで花粉を拭き取ることをおススメします。もしほうきや掃除機を使いたい場合は、舞い上がった花粉を除去してくれる性能のある空気清浄機やエアコンを同時に作動させましょう。
※モーニングアタックを防ぐための効果的なお掃除の方法
ウエザーニュースのアンケート調査によると、花粉症の人が一日のうちで「最も花粉症がつらい」と感じる時間帯は朝7時ごろという結果が出ました。次いで午前6時や午後の2時に辛いと感じる人が多いようです。
この、起き抜けに辛い花粉の症状が現れることを「モーニングアタック」というそうです。モーニングアタックが起こる原因の一つとして、就寝中に床に積もった花粉が、人が起きて動くことで舞い上げられてしまうことが考えられます。
対策としては、朝起きたときは花粉を舞い上げないようにそっと動き、朝一番でモップ掛けまたは雑巾がけで床の花粉を取り除くとよいでしょう。
ポイント2.ベランダ掃除は、溝に溜まった誇りを取り除く、床は水で洗い流す、網戸や窓は拭く
ベランダの床や網戸の外側にも花粉は不着しています。こちらも定期的に掃除して花粉を除去しておきましょう。下階への水漏れの恐れがあるため、ベランダで水を流してブラシでゴシゴシ…とできないマンションもあるので注意が必要です(管理規約を要確認)。その場合は、床の掃除は排水溝のゴミをチリトリ・ほうきを使って取り、絞ったぞうきんで室内側→排水溝側に向かってふきましょう。網戸や窓もぞうきんや使い捨てウエットシートなどを使って花粉を除去しましょう。
ポイント3.空気清浄機やエアコンを活用
すでに利用している人も多いと思いますが、空気中に浮遊する花粉の除去には空気清浄機が活躍してくれます。花粉症の家族がいるガイド宅では空気清浄機は24時間、常に稼働させています。また、エアコンでもそのような性能を持つ機種が多く出ています。空気清浄機とエアコンを併用してもよいでしょう。
これから購入するなら花粉やハウスダスト、PM2.5まで除去してくれる集塵能力の高い高性能HEPAフィルターを採用した機種などをおすすめします。
適切な薬と環境づくりで花粉の時期を乗り切る
スギだけでなくヒノキやブタクサ、カモガヤなど複数の花粉アレルギーを持つ人にとっては花粉アレルギーが心配な期間はかなり長くなります。お医者様に診てもらい適切な薬を使用しながら、花粉をなるべく家の中に呼び寄せず、除外する工夫をして、住まいの中の環境も守りましょう。【関連記事】