労働組合とは?

労働組合とは?労働者が知っておきたい基本

2月から3月にかけて「春闘」という言葉がニュースで流れます。「ベースアップ」や「ボーナス」など一部の大企業だけの話だろう……と感じてしまいますが、実は労働組合は誰でも加入することができます。

また、入社すると労働組合への加入が義務となっている会社もあります。労働組合って何?何をしてくれるの?という疑問を解説します。

労働組合とは「労働者が会社に意見できる手段」

働くときに関係する法律として、一番に浮かぶのが「労働基準法」。
  • 給与が最低賃金以上の金額である
  • 1日8時間以上働いたら割増賃金が支払われる
  • 週に1日以上の休日が約束されている
など、労働者が働くうえで最低限の労働条件を定めています。

労働基準法には、給与について細かな決まりがありますが、賞与や昇給に関する項目はありません。会社は大きな利益が出ているのに、給与は変わらないままというとき、労働基準法では戦うことができません。かと言って、上司や社長に意見することも現実的ではないですね。

立場の弱い労働者が意見を言うための「労働三権」

そこで、立場の弱い労働者が集まって会社に意見を言うことができるよう、憲法により以下の権利(労働三権)が認められています。

  • 団体権:労働組合を作る・加入する権利
  • 団体交渉権:団結して使用者と交渉する権利
  • 団体行動権:ストライキなどの争議行為をする権利

労働組合法では、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」を労働組合としています。

会社に労働組合があるかどうかは、どこで分かるの?

求人票に必ず記載する項目ではないため、労働組合がある会社で働きたい!と思っても、外部からは労働組合の有無が分からない場合が多いです。

ハローワークの求人票には「労働組合」欄がありますが、労働組合の組織率が低い中小企業の求人が多いこともあって「なし」の記載が目立ちます。

労働組合は従業員数1,000人以上の会社で組織率が高くなることもあり、就職活動で利用される「会社四季報」で組合の有無を確認することができます。

労働組合のある会社であれば、労働者の意見が会社に伝わりやすい!労働条件や待遇の改善が図られやすい!とも言えます。転職を考えるときには判断材料の一つとしてもいいかもしれません。

労働組合は誰でも作ることができる

労働組合

労働組合は誰でもつくることができる

正社員や契約社員、パート・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、会社から給与が支払われていて、その収入によって生活する人はすべて「労働者」です。

そして、「労働者」が2人以上いれば労働組合を作ることができ、つくったことをどこかの役所に届け出る必要もありません。自社だけの労働者による企業内組合であれば、労働組合法で定められた組合のルール(規約)代表者を決めれば「出来上がり」です。

労働組合があれば、職場環境の改善や労働条件の向上について、個人ではなく労働組合という組織のかたちで会社に交渉できます。会社に対する影響力を大きくするためには、加入者を増やして組織率をアップしていくことが近道です。

自社内で過半数の労働者が加入していれば、労働組合という一つの窓口に労働者の意見が集約されることになり、労働基準監督署へ36協定(時間外・休日労働に関する協定届)や就業規則届を提出する際の「労働者代表」になることができます。これは、会社にとってもメリットといえます。

労働組合に入るメリットとデメリット

立場の弱い労働者が会社に意見するために組織を作って交渉することは、法律で保障された権利です。

「転勤辞令が出たが、実は介護が必要な親がいる」なんてとき、まずは上司に相談、それでもダメなら会社の人事部に事情を話すという流れが一般的ですが、理解のある会社ばかりではありません。

「転勤できないなら辞めてもらうしかない」と言われたら、会社を説得することができるでしょうか?

労働基準監督署などの公的機関に相談する方法
弁護士に依頼して法的手段をとる方法もありますが、会社の法律違反(この場合、育児・介護休業法違反)を訴えることになり、会社に居づらくなるのであれば本末転倒です。

労働組合であれば、労働者側の立場で会社に交渉してくれます。そして、会社は労働組合から申し入れられた交渉を拒否することができません。セクハラやパワハラなど、報復を恐れて労働者個人が声を上げづらい事柄も、労働組合が入ることで、会社が調査に乗り出し解決に向かうことができます。

このようなメリットがある反面、デメリットとしては以下が考えられます。
  • 組合費を徴収される
  • 組合の行事に参加しなければならない
  • 組合の役員になると、会社に対立する者とイメージされてしまう

労働組合を脱退したら解雇になる場合がある

本来、労働者は自由に労働組合へ加入・脱退をすることができますが、その例外として「ユニオン・ショップ制」があります。社員は、必ず労働組合に加入しなければならないというもので、その会社の過半数の労働者が加入する労働組合と会社が「ユニオン・ショップ協定」を結んでいます。

つまり、労働組合を脱退するのであれば、会社はその労働者を解雇しなければならない仕組みです。最近では、「組合の脱退=解雇」とならない協定もありますので、事前に協定の内容を確認しておきましょう。

ストライキに参加したら、給与は支払われない

労働組合の活動は、労働者が「自主的」に行うものであり、会社が介入したり利益を与えることは禁止されています。よって、「団体行動権」によって認められたストライキであっても、仕事をしていない時間については、ノーワークノーペイの原則により給与は支払われません。もちろん、有給休暇を使用することも不可とされています。

では、ストライキにより就業できなくなった他の社員の場合はどうでしょうか?

労働組合が会社に団体交渉を申込み、その交渉が決裂したときにストライキが行われます。どこまで組合の意見を受け入れるかは会社の判断であり、交渉が決裂したからといって会社の責任で就業ができなくなった!とまでは言えません。そのため、ストライキの間の給与は支払わないものと考えられます。

自社に労働組合がないときは「合同労組」という手がある

労働組合は、加入する労働者によって種類があります。
  • 自社の社員のみを組織する「企業別労組
が一般的ですが、
  • 同じ産業・職業別に横断的に組織する「産業別・組織別労組
  • 複数の企業の労働者で組織される「合同労組
などもあります。

自社に労働組合がないときや、自社の労働組合が正社員しか加入できないときは、合同労組があります。複数の会社や異業種の会社で雇用される労働者が個人単位、かつ、派遣社員やパート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず加入することができます。

加入するきっかけとしては、急に解雇された、過労でうつ病になった、セクハラを会社が対応してくれなかったなどで、会社との間で何らかのトラブルが発生したときの駆け込み寺のような位置づけと言えます。

企業内組合と合同労組の大きな違いは、交渉をする組合側の担当者が会社にまったく関係のない者ということです。そのため、会社で働く労働者全員ではなく、合同労組に加入した労働者個人のために交渉することになります(結果的に、会社で働く労働者全員の処遇向上に寄与することはあります)。

合同労組の選び方

合同労組には、地域や業種・雇用区分などに応じて様々なものがあり、どのようなトラブルを解決したいのか相談したい内容によって選ぶことができます。

入会金が必要だったり、組合費の金額(一般的に給与の2%程度)も異なりますので、加入にあたって比較検討するとともに、個別の案件に対応してもらうための費用についても、事前に確認しておきましょう。

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