賃貸不動産経営管理士の注目度が上がっている!
2012年にスタートした「賃貸不動産経営管理士試験(賃貸管理士試験)」は、ますます注目度が高くなり、人気の資格となっています。難化しているとも言われる賃貸管理士試験はどのくらい難しい試験なのでしょうか。難易度、合格率について解説します。<目次>
賃貸不動産経営管理士(賃貸不動産管理士)とはどんな資格?
賃貸不動産経営管理士とは、主に賃貸アパートやマンションなど賃貸住宅の管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家と位置付けられています。重要な居住環境である賃貸住宅を適正に維持・管理することは、みんなが安心して生活できる土台となっています。そして、継続的かつ安定的で良質な管理サービスに対する社会的な期待や要望は多く、賃貸不動産の管理業務にかかわる幅広い知識を有する賃貸不動産経営管理士の活躍が期待されています。賃貸不動産経営管理士の仕事内容・業務範囲は?
具体的には、賃貸不動産管理士は2011年12月に創設された賃貸住宅管理業者登録制度と深く関係しています。第一に、登録事業者が貸主との管理受託契約を締結するときは、賃貸不動産経営管理士または管理事務に関し6年以上の実務経験を有する(以下、賃貸不動産経営管理士等といいます)は重要事項を記載した書面を交付して説明し、重要事項説明書の記名・押印を行わなければなりません。第二に、貸主との管理受託契約が成立したときは、賃貸不動産経営管理士等は契約書を作成し、記名・押印を行わなければなりません。第三に、登録事業者の事務所ごとに1名以上の賃貸不動産経営管理士等を設置しなければなりません。これらの役割から見ても、同資格が賃貸不動産管理を営む上で必須要件となっていることがわかります。
賃貸不動産経営管理士試験を受けよう!受験資格・試験内容・試験日について
賃貸不動産経営管理士になるためには1年に1回実施される資格試験に合格する必要があります。この試験の受験資格に要件はありません。誰でも受験できます(合格後の登録には一定の要件があります)。実際に、不動産業従事者だけでなく、自主管理の家主や不動産業界へ就職を目指す学生、より知識を深めたい社会人など毎年多くの方が受験しています。試験は、毎年11月に全国11都市で行われます。合格後に登録することで、資格の証しとなる認定証やカードが発行されます。
出題形式:40問の四肢択一式(マークシート)
試験時間:1時間30分
試験日時:11月中旬頃 13:00~14:30
受験要件:誰でも受験できます。
(出題範囲)
- 賃貸管理の意義・役割をめぐる社会状況に関する事項
- 賃貸不動産経営管理士のあり方に関する事項
- 賃貸住宅管理業者登録制度に関する事項
- 管理業務の受託に関する事項
- 借主の募集に関する事項
- 賃貸借契約に関する事項
- 管理実務に関する事項
- 建物・設備の知識に関する事項
- 賃貸業への支援業務に関する事項(企画提案、不動産証券化、税金、保険等)
合格ライン:7割程度(競争試験)
合格率:50%前後
合格者の平均年齢:40歳前後
また、試験実施団体による賃貸不動産経営管理士講習も行われています。賃貸管理業務に必要な専門知識の習得と実務能力を高めるための講習(2日間のスクーリング)です。この講習も受講要件がありません。例年5月~9月の間に全国主要都市で実施されています。この講習の修了者は本試験の出題40問のうち4問が免除されます(2年間有効)。
賃貸不動産経営管理士試験の合格点は?合格率・受験者数・合格者数の推移
年々受験者数は増え続け、2018年度は過去最高の約1万8,500人となりました。それに対して、合格率は減り続け、現在は50%前後となっています。合格ラインは、競争試験なので、試験の難易度により変動しますが、約7割程度で推移しているものといえます。賃貸不動産経営管理士試験2018年度について
【筆者の雑感】
今年の出題は全体として昨年度よりも難しく感じました。全問、いわゆる公式テキストに直接記載があるものばかりなので、公式テキストでしっかり学んでいれば満点も取れる内容です。ただ、これまで出題されたことのない、ガスや電気設備等の問題もあり、過去問だけで学習した方で、かつ、実務経験のない方はそこで点数を落とす結果になったかと思います。
賃貸借契約等の法律知識を問う問題は、例年通りの難易度です。ガイドラインに関しては1問だけと、昨年のように3問も出すということはありませんでした。ガイドラインを必死に暗記した方も多かったと思いますが、少し拍子抜け的な感じがしました。また、昨年度にあった建蔽率や容積率の数値を暗記していないと解けない問題はなく、改正の影響からか、建築基準法からの出題自体がありませんでした。
【解答が困難な問題】
今年も昨年と同様に解答するのが難しい問題がいくつかありました。
・問12のエ
問題文の読み方次第で、どちらともとれるような内容なので、判断が難しい。
・問24
問24については、解答速報を出しているスクール等により解答が異なっています。2か3が正解と思われます。私の判断では2が正解だと思っておりますが、3の可能性もあり得ます。
・問38
問題文を読む限りでは、ア~ウのうち3つも正しい内容があり、正しいものの組み合わせ問題なので、解答が複数になっているという状況です。ただ、出題者の意図を(私が勝手に)推測すれば、3が正解だと思っております。
合格発表日時:2019年1月11日 12:00
【関連サイト】
賃貸不動産経営管理士試験に合格するには?
賃貸不動産経営管理士試験は、まだ国家資格化していないので、試験実施団体が公式テキストを販売しています。このテキストに記述されていることを理解して覚えれば100%合格できる試験です。とは言っても、A5版で約1000頁あるテキストなので短期間で合格するにはある程度メリハリをつけて学習する必要があります。公式テキストには章ごとに演習問題が数問掲載されており、その解説には参照頁も記載されているので、章を読み終わった後にこの演習問題で記憶の定着を図れます。ただし、より効率よく学習するためには、市販のテキストと問題集を活用して学習したり、専門のスクールで学んだりする方法もあります。
賃貸不動産経営管理士試験2018年度の試験内容
【問 1】 管理業者の社会的責務と役割に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。1 管理業者は、投資家や貸主の意向に追随するだけの存在ではなく、貸主と借主との間、又は投資家その他の利害関係人との間に入り、専門的知識とノウハウを駆使して中立公平に利害調整を行って、不動産の適切な活用を促進する存在であることが求められる。
2 不動産証券化においてアセットマネージャーが説明・情報開示責任を果たすために必要な情報は、管理業者の情報を基礎とするので、管理業者としては、特に投資家のために、透明性の高い説明と報告をする役割を担っている。
3 賃貸不動産を良質な状態で長く利用するためには、その所在する環境も重要な要素となることから、管理業者は、街並み景観の維持を含むまちづくりにも貢献していく社会的責務を負っている。
4 資産運営のプロとしての役割を果たすためには、貸主の自主管理や一部委託管理といった伝統的な管理体制だけではなく、貸主の不動産経営を総合的に代行する専門家としての体制を備えることが要請される。
【問 2】 賃貸不動産経営管理士がサブリース方式の契約業務を行う場合に関する次の記述のうち、賃貸住宅管理業者登録制度(平成23年9月30日国土交通省告示第998号及び第999号、平成28年8月12日国土交通省告示第927号及び第928号改正。以下、各問において「賃貸住宅管理業者登録制度」という) の規定に照らし、賃貸不動産経営管理士が行わなければならないものとして、適切なものはいくつあるか。
ア 原賃貸借契約に関する重要事項説明
イ 原賃貸借契約書及び重要事項説明書への記名押印
ウ 原賃貸借契約の締結後に契約内容を変更する必要が生じた場合における当該変更部分に関する重要事項説明及び書面交付
エ 転貸借契約に関する重要事項説明及び契約成立時の書面交付
1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.4つ
【問 3】 賃貸住宅管理業者登録制度の登録に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 賃貸住宅管理業者登録制度の登録は、宅地建物取引業の免許を受けていなくても可能である。
2 賃貸住宅管理業者登録制度の登録の申請をするためには、賃貸住宅管理業者登録規程(以下、各問において「登録規程」という)で定める期間以上の賃貸住宅の管理業務の実績が必要である。
3 賃貸住宅管理業者登録制度の登録の更新を受けようとする者は、登録の有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に登録申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
4 賃貸住宅管理業者は、登録規程で定める実務経験者等を、事務所ごとに、1名以上置く必要があるが、その実務経験者等は管理事務に関し専任である必要はない。
【問 4】 賃貸住宅管理業者登録制度において定められている賃貸住宅管理業者による貸主に対する管理受託契約に関する重要事項の説明(以下、本問において「重要事項の説明」という)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 重要事項の説明は、管理受託契約が成立するまでの間に行わなければならないが、貸主が遠隔地に居住する等特段の事情がある場合には、当該契約成立後にすることもできる。
イ 重要事項の説明は、必ずしも賃貸住宅管理業者の事務所で行う必要はない。
ウ 重要事項の説明を、賃貸住宅管理業者登録制度の登録を受けた登録業者以外の者に委託することも可能である。
エ 重要事項の説明は、必ずしも対面で行う必要はない。
1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.4つ
【問 5】 賃貸住宅管理業者登録制度における賃貸住宅管理業者の遵守事項に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 賃貸住宅管理業者は、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないが、賃貸住宅管理業者でなくなった後は、そのような禁止はされていない。
2 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結した貸主に対し、毎事業年度の終了後3か月以内に、当該管理事務に関する報告をしなければならない。
3 貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、貸主に対し、借賃及び将来の借賃の変動に係る条件に関する事項を、登録規程に規定する実務経験者等をして、説明させなければならない。
4 賃貸住宅管理業者は、その業務について、事務所ごとに帳簿を作成し、管理受託契約及び転貸に係る賃貸借契約を締結する度に、当該契約を締結した事実及び当該契約の概要を記載する必要がある。
【問 6】 次の記述のうち、登録規程に基づく賃貸住宅管理業者から国土交通大臣への報告の対象事項とされていないものはどれか。
1 従事従業者数
2 従事従業者数のうち登録規程に規定する実務経験者等の数
3 受託契約金額
4 受託棟数
【問 7】 賃貸住宅管理業者登録制度において定められている賃貸住宅管理業者による貸主に対する管理受託契約の成立時の書面の交付(以下、本問において「書面の交付」という)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 書面の交付は、賃貸住宅管理業務を無償で行う場合も必要である。
イ 書面の交付は、対面で手渡す方法のほか、郵送ですることもできる。
ウ 交付する書面は、必要事項が記載されている限り、様式は問われない。
エ 交付する書面は、貸主に対する管理受託契約に関する重要事項の説明の書面とは別に作成する必要がある。
1.ア、イ、ウ
2.ア、イ、エ
3.ア、ウ、エ
4.ア、イ、ウ、エ
【問 8】 賃貸不動産の管理受託契約に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
1 賃料等の受領に係る事務を目的とする管理受託契約においては、履行期に関する特約がない場合、受託業務の履行と報酬の支払とが同時履行の関係にある。
2 委託者が死亡した場合、管理受託契約に特約がなくとも、相続人が管理受託契約の委託者となり、管理受託契約は終了しない。
3 受託者たる管理業者は、委託者の承諾を得ずとも、必要があれば管理業務を再委託することができる。
4 管理受託契約は、請負と異なり、仕事の完成は目的となっていない。
【問 9】 管理業者がサブリース方式により賃貸管理を行う場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 サブリース方式による管理の場合、管理業者は原賃貸人の代理人の立場で賃貸物件を借り受けている。
2 転借人が転貸借契約の終了により賃貸物件を明け渡した場合、原賃貸人と管理業者は、転借人に対して、連帯して敷金返還債務を負う。
3 原賃貸借契約が管理業者の債務不履行により解除された場合、原賃貸人が転借人に対して明渡しを請求したとき、転貸借契約も終了する。
4 原賃貸借契約が合意解約された場合、原賃貸人が転借人に対して明渡しを請求したとき、転貸借契約も終了する。
【問 10】 借主の募集において、宅地建物取引業法により禁止されている行為に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア 重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実(本当でないこと)を告げることは禁止されている。
イ 借受希望者が一度申し込んだ事実の撤回を妨げるため、借受希望者を脅迫することは禁止されている。
ウ 将来の環境又は交通その他の利便について、借受希望者が誤解するような断定的判断を提供することは禁止されている。
1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.なし
【問 11】 入居審査に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 申込みを行っている者が入居申込書面の申込者と同一であるかどうかを確認しなければならない。
2 入居審査に当たり収集した個人情報は、個人情報の保護に関する法律上、利用目的を特定しなくても自由に活用できる。
3 借受希望者の職業・年齢・家族構成・年収が申込物件に妥当かどうか検討することは、差別的な審査であるため、することができない。
4 サブリース方式による賃貸住宅の管理業者は、入居者の最終決定権者にならない。
【問 12】 定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 定期建物賃貸借契約の事前説明は、「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨を口頭で説明すれば足り、別途、書面を交付する必要はない。
イ 定期建物賃貸借契約書に「契約の締結に先立って説明を受けた」旨の記載がない場合には、事前説明書を交付して説明を行っていたとしても、定期建物賃貸借契約としての効力を有しない。
ウ 契約期間を1年未満とする定期建物賃貸借契約も有効である。
エ 賃貸借の媒介業者が宅地建物取引業法による重要事項説明書に基づき、「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨の説明を行ったので、貸主による事前説明を省略した場合、定期建物賃貸借契約としての効力を有しない。
1.ア、イ
2.ア、エ
3.イ、ウ
4.ウ、エ
【問 13】 住宅の賃貸借契約の当事者が死亡した場合の法律関係に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、借主は賃料の支払を拒むことができる。
イ 貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、相続開始から遺産分割が成立するまでの間に生じた賃料は、遺産分割により賃貸物件を相続した者がすべて取得する。
ウ 借主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、貸主は各共同相続人に対して賃料全額の支払を請求することができる。
エ 借主が死亡し、相続人がいない場合、事実上夫婦の関係にある者が同居しているときは、その同居者が借主の地位を承継することができる。
1.ア、イ
2.ア、ウ
3.イ、エ
4.ウ、エ
【問 14】 賃貸借契約の保証に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 連帯保証においては、附従性が否定されるため、連帯保証人は、借主が負担する債務よりも重い保証債務を負担する。
イ 保証人は、賃貸物件の明渡義務を直接負うわけではないので、借主が賃貸借契約の解除後に明渡しを遅滞したことによって生じた賃料相当損害金については保証債務を負わない。
ウ 賃貸借契約の更新の際、特段の事情のない限り、保証人は更新後の保証債務を負う。
エ 法人が保証人となる場合であっても、書面によらない保証契約は無効である。
1.ア、イ
2.ア、エ
3.イ、ウ
4.ウ、エ
【問 15】 賃貸借契約の特約の有効性に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
ア 賃貸借の期間内に建物が競売により売却され、その所有権が他の者に帰属した場合に賃貸借契約が終了する旨の特約は、無効である。
イ 賃貸借の更新について合意が成立しない場合は賃貸借契約が期間満了と同時に当然に終了する旨の特約は、有効である。
ウ 借主が貸主の同意を得て賃貸建物に設置した造作について、建物明渡し時に買取請求権を行使することができない旨の特約は、有効である。
エ 振込みにより賃料を支払う場合の振込み手数料を貸主負担とする旨の特約は、無効である。
1.ア、イ
2.ア、ウ
3.イ、エ
4.ウ、エ
【問 16】 賃貸建物の全部又はー部が滅失した場合の法律関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 地震により賃貸建物が一部滅失した場合、修繕が物理的経済的に可能であったとしても、貸主は修繕義務を負わない。
2 賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失についての借主の帰責事由の有無にかかわらず、貸主は修繕義務を負わない。
3 賃貸建物が一部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由がない限り、借主は使用収益が妨げられている割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
4 賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由があっても、賃貸借契約は履行不能により終了する。
【問 17】 敷金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 賃貸借契約書に借主からの敷金の相殺について禁止する条項がない場合、借主は契約期間中、敷金返還請求権と賃料債務を相殺することができる。
2 賃貸借契約書に敷金の返還時期について何らの定めもない場合、借主は敷金の返還を受けるまでの間、建物の明渡しを拒むことができる。
3 借主の地位の承継があったとしても、特段の事情のない限り、敷金は新借主に承継されない。
4 賃貸借契約書に敷金によって担保される債務の範囲について何らの定めもない場合、敷金によって担保される借主の債務は賃料債務に限定され、貸主は原状回復費用に敷金を充当することはできない。
【問 18】 建物賃貸借契約書の記載に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 賃貸借契約書に借主からの期間内解約を認める規定があるものの、予告期間の定めがない場合、解約申入れから3か月を経過することで契約は終了する。
2 賃貸借契約書に賃料の支払日について記載がない場合、平成30年11月分の賃料の支払日は平成30年10月31日である。
3 賃貸借契約書に必要費償還請求権の規定がない場合であっても、借主が雨漏りを修繕するための費用を支出したとき、借主は貸主に対して必要費の償還を請求することができる。
4 賃貸借契約書に遅延損害金の規定がない場合であっても、借主が賃料の支払を遅延したとき、貸主は借主に対して年5%の遅延損害金を請求することができる。
【問 19】 普通建物賃貸借契約(定期建物賃貸借契約でない建物賃貸借契約をいう。以下、各問において同じ。)の解約及び更新拒絶に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 貸主からの期間内解約条項がある場合には、貸主からの解約申入れに正当事由は不要である。
2 賃貸建物の老朽化が著しいことを理由として更新を拒絶する場合、貸主は立退料を支払うことなく、当然に正当事由が認められる。
3 貸主による更新拒絶通知に正当事由がある場合であっても、期間満了後に借主が建物を継続して使用し、貸主がそれに対して遅滞なく異議を述べなかった場合には、契約は更新されたものとみなされる。
4 契約期間満了までに、更新について合意が成立しない場合、特約のない限り、従前と同一条件かつ同一期間で賃貸借契約が当然に更新されたものとみなされる。
【問 20】 書面によらずに行った法律行為の効力に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1 書面によらずに定期建物賃貸借契約を締結した場合、普通建物賃貸借契約としての効カを有する。
2 書面によらずに連帯保証契約を締結した場合、保証契約としての効力を有する。
3 書面によらずに賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした場合、契約解除の意思表示としての効力を有する。
4 書面によらずに賃料減額に合意した場合、賃料減額としての効力を有する。
【問 21】 未収賃料の回収方法としての少額訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 債権者は、同一の簡易裁判所において、同一の年に、同一の債務者に対して年10回を超えて少額訴訟を選択することはできないが、債務者が異なれば選択することは可能である。
2 少額訴訟において証人尋問手続が取られることはないため、証人尋問が必要な場合、通常訴訟の提起が必要である。
3 裁判所は、請求の全部又は一部を認容する判決を言い渡す場合、被告の資力その他の事情を考慮し、特に必要がある場合には、判決の言渡日から3年を超えない範囲内で、支払猶予又は分割払の定めをすることができる。
4 裁判所は、原告が希望すれば、被告の意見を聴くことなく少額訴訟による審理を行うことになる。
【問 22】 賃料未払の借主に対する明渡しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 明渡しの強制執行を行うための債務名義となるのは、判決における判決書のみであり、裁判上の和解調書は債務名義とならない。
2 強制執行を申し立てるに当たって必要となるのは、債務名義のみである。
3 未払賃料を支払うことを内容とする判決書は、建物明渡しを求める強制執行の債務名義となる。
4 賃貸借契約書に、「賃料を滞納した場合には、貸主あるいは管理業者は鍵を交換することができる。」との約定があっても、貸主は、建物明渡し前に借主の外出中に無断で賃貸建物の鍵を交換した場合、法的責任を問われることがある。
【問 23】 賃貸借契約の解除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 賃料の滞納が一度でもあれば、滞納自体が債務不履行に該当し、契約当事者の信頼関係を破壊するため、滞納理由について調査する必要はない。
2 賃料滞納を理由として賃貸借契約を解除する場合、配達証明付き内容証明郵便を用いて催告を行うと、催告を行ったことについて裁判上の証拠となる。
3 賃料滞納を理由として賃貸借契約を解除する場合、催告と解除の意思表示は別個の書面で行わなければ、解除の効果が生じない。
4 借主が長期にわたり行方不明となっている場合、すでに賃貸建物を占有しているとは言えないため、賃貸借契約の解除の意思表示をしなくても、契約は終了する。
【問 24】 賃貸借契約の更新に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 期間の定めのある建物賃貸借契約において、期間満了4か月前に更新拒絶の通知をした場合、当該契約は法定更新される。
2 期間の定めのある建物賃貸借契約が法定更新された場合、更新前の契約と更新後の契約は、契約期間も含め別個独立の同一性のない契約である。
3 更新料特約以外に更新手数料特約を定めることは、有効である。
4 建物賃貸借契約の更新に係る事務は、賃貸住宅管理業者登録制度では、基幹事務のーつとされている。
【問 25】 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(国土交通省平成23年8月。以下、本問において「ガイドライン」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 ガイドラインでは、借主によるペット飼育に伴い生じる「臭い」は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負わない。
2 ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄は、「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。
3 ガイドラインでは、賃貸建物の鍵の紛失は、賃借人負担と判断される場合が多いため、「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。
4 ガイドラインでは、風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ等は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負わない。
【問 26】 鍵の管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、賃貸借契約に鍵に関する特約はないものとする。
1 貸主からの依頼又は承諾を受けて管理業者が各部屋の鍵を一括管理する場合、借主に対し、その目的を説明する。
2 新規入居の場合は、借主が鍵を紛失した場合と同様に、鍵の交換に要する費用を借主負担とする。
3 新しい借主が決まり、新しい鍵を取り付けたところ、借主から「防犯面に強い鍵」に交換するよう要望された場合、借主にその費用の負担を請求できない。
4 管理物件での非常事態に対する早期対処のため、管理業者の従業員が各部屋の鍵を常時携行する。
【問 27】 賃貸管理における緊急時の対応として最も適切なものはどれか。なお、当該賃貸物件について管理業者以外に管理を委託されている者は存在しないものとする。
1 管理員が置かれてない建物では、自動火災報知器の発報や借主からの通報で火災の発生を感知後、通報を受けた者は直ちに現場へ駆けつけ、火災を確認し借主等の避難誘導を行った後に消防署へ通報しなければならない。
2 地震発生時、管理員が置かれていない建物では、震災後できるだけ早く賃貸物件を訪れて被害状況を把握し、復旧や後片付けを行う。
3 上階がある居室の天井からの漏水の発生を入居者から知らされた場合、管理員が置かれている建物であっても、「急いで上階に行き、下階に水が漏っている旨を告げて下さい。」と入居者に伝え、修理業者と共に現場へ行く。
4 空き巣被害が発生した後は、警察の巡回も厳しくなり、しばらくは犯人も警戒するので、掲示板等に空き巣被害が発生した旨の掲示さえすれば、管理業者の対応として足りる。
【問 28】 アスベストとシックハウスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 アスベストとは、天然の鉱石に含まれる繊維のことで、石綿ともいわれる。
2 アスベスト粉じんは、肺がんや中皮腫、肺繊維症(じん肺)の原因になる。
3 アスベストが含まれる建築材料を使用することは、すべて禁止されている。
4 シックハウス対策として、居室を有する建築物は、建築材料及び換気設備に関する技術基準に適合するものとしなければならない。
【問 29】 建築物の定期報告制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 政令で定める建築物及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物で特定行政庁が指定するもの(以下、本問において「特定建築物」という。)は、定期的にその状況を調査してその結果を特定行政庁に報告することが義務付けられている。
2 特定建築物の定期調査・検査は、一級建築士に実施させなければならない。
3 特定建築物に関する報告の主な調査内容は、敷地、構造、防火、避難の4項目である。
4 特定建築物の共同住宅の定期調査報告は、3年ごとに行う義務がある。
【問 30】 ガス設備に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 ガスの使用を開始する際には、住戸ごとに、管理業者が立会い、ガス会社による開栓作業が必要である。
2 ガス管の配管材料として、近年は、屋外埋設管にはポリエチレン管やポリエチレン被覆鋼管が、屋内配管には塩化ビニル被覆鋼管が多く使われている。
3 ガスメーター(マイコンメーター)には、ガスの使用量を計量する機能や、ガスの異常放出や地震等の異常を感知して、自動的にガスの供給を遮断する機能が備えられている。
4 ほとんどの都市ガスは空気より軽いのに対し、プロパンガス(LPガス)は空気より重い。
【問 31】 電気設備に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 各住戸に供給される電カの供給方式のうち単相2線式では、3本の電線のうち、中性線以外の上と下の電圧線を利用すれば200ボルトが利用できる。
2 住戸内のブレーカーが落ちる原因は、入居者が一時的に数個の家電製品を使用することや、漏電等である。
3 漏電遮断機(漏電ブレーカー)は、電気配線や電気製品のいたみや故障により、電気が漏れているのをすばやく察知して回路を遮断し、感電や火災を防ぐ機器である。
4 照明設備の電線を被膜しているビニールは、熱や紫外線の影響によって経年劣化し、絶縁抵抗が弱まるため、定期的な抵抗測定により、配線を交換する必要がある。
【問 32】 防火管理者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 管理権原者は、防火管理者を選任し、防火管理業務を行わせなければならない。
2 賃貸住宅における管理権原者は、貸主(所有者)等である。
3 管理権原者は、管理業者を防火管理者として選任することで、防火管理責任を免れることができる。
4 防火管理者の行う業務のうち、特に重要なものは、消防計画の作成である。
【問 33】 アセットマネジメントとプロパティマネジメントに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 アセットマネージャーには、収益拡大とコスト削減の両面から、具体的に、計画の基礎資料の収集、計画策定等の調査・提案が求められる。
2 アセットマネジメントは、不動産投資について、資産運用の計画、決定・実施、実施の管理を行う業務である。
3 プロパティマネジメントにおいては、賃料等を徴収し、預託金を受領し、必要な経費を支出し、アセットマネージャーとの間で精算を行う。
4 プロパティマネジメントは、投資家から委託を受けて、投資家のために行われる業務である。
【問 34】 保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 保険は、将来起こるかもしれない危険に備える合理的な防衛策のひとつであるが、中でも賃貸不動産の経営においては、損害保険の知識が有用である。
2 賃貸不動産の建物所有者が火災保険に加入する場合、主契約である火災保険の保険金額の8割以内の範囲で地震保険にも加入しておくことが一般的である。
3 住宅に関する火災保険である「すまいの保険」は、火災、落雷、破裂・爆発、風災、電(ひよう)災、雪災により建物や家財に生じた損害に備える保険である。
4 保険は、保険会社の商品によって特性が異なるので、関係者に適切なアドバイスをするためには、その内容をよく理解しておく必要がある。
【問 35】 個人の賃貸不動産経営に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 所得金額の計算上、購入代金が10万円未満の少額の減価償却資産については、全額をその業務の用に供した年分の必要経費とする。
2 不動産所得の損失額のうち賃貸建物を取得するための借入金利息がある場合であっても、その損失を他の所得と損益通算することはできない。
3 印紙税は、業務上の契約書等や領収書に貼付した場合でも、所得計算上の必要経費にならない。
4 不動産所得がある場合には、賃貸物件の所在地を管轄している税務署ごとに確定申告を行う。
【問 36】 相続税に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 所有地に賃貸住宅や賃貸ビルを建設すると、相続税の評価額の計算上、その土地は、貸家建付地となり、更地のときと比べて相続税の評価額が下がる。
2 生前贈与について相続時精算課税制度を選択した受贈者(子)については、贈与者(親)の死亡による相続時に、この制度により贈与を受けた財産を相続財産に加算をして相続税の計算を行う。
3 法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の法定相続分は、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1(複数の場合は人数按分)となる。
4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例により、被相続人の貸付事業用宅地等については、240㎡までの部分について80%減額することができる。
【問 37】 賃貸不動産管理業をめぐる状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 賃貸住宅の経営主体は、個人と法人の比率がほぼ同じである。
2 賃貸住宅の委託方式は、全部委託と一部委託の比率がほぼ同じである。
3 賃貸住宅の管理受託方式とサブリース方式の比率は、管理戸数の多少にかかわらず、ほぼ同じである。
4 賃貸住宅の経営規模は、20戸以下の小規模なものが多い。
【問 38】 賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 秘密を守る義務とは、職務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしてはならないことであり、賃貸不動産経営管理士の職務に携わっている間だけ、守らなければならない。
イ 賃貸不動産経営管理士は、自らの能力や知識を超える業務を引き受けてはならない。
ウ 賃貸不動産経営管理士は、常に依頼者の立場で職務を行い、万一紛争等が生じた場合には、誠意をもって、その円満解決に努カしなければならない。
エ 賃貸不動産経営管理士は、公共的使命を常に自覚し、公正な業務を通して、公共の福祉に貢献しなければならない。
1.ア、イ
2.ア、ウ
3.イ、エ
4.ウ、エ
【問 39】 計画修繕に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 中長期的には、修繕計画による的確な修繕の実施により、賃貸経営の収支上プラスに働くこともあり、計画修繕が望まれる。
2 計画修繕の実施に当たっては、計画された修繕部位を点検、調査した上で状況を把握することが重要である。
3 修繕工事は、日常生活の中で行われる工事であるため、騒音や振動により居住者等に迷惑をかける問題があり、配慮しなければならない。
4 計画修繕を実施していくためには、長期修繕計画を策定する必要があるが、修繕管理の費用を賃貸不動産経営の中に見込む必要はない。
【問 40】 賃貸住宅のコンセプトに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 サービス付き高齢者向け住宅とは、賃貸住宅又は有料老人ホームにおいて、状況把握・生活相談サービス等を提供するものである。
2 賃貸住宅における入居者像の「とりあえず賃貸派」は、家を持つことにはこだわらず、賃貸住宅で十分と考えているのが特徴にある。
3 ペット可能な賃貸住宅においては、主にペット同士のトラブルを念頭に、共用部分で他のペットとの接触が最小限に抑えられている程度なら許可を与えることを基本ルールとしている。
4 シェアハウスとは,宿泊用に提供された個人宅の一部やマンションの空室等に宿泊するものである。
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