ミラーリング効果とは?人に好かれる心理テクニック
ミラーリング効果を活用すると、相手との間に親近感や信頼感が生まれます。
これは、「ミラーリング」といって、好意を持っている相手の表情や動作などを無意識に真似てしまう現象のことです。お互いのコミュニケーションがうまく進んでいる時には、ミラーリングが特に活発になることがわかっています。
ミラーリングは、相手に対して「あなたに好意をもっています」というメッセージを無意識のうちに送っているのです。ミラーリングをした相手に好意を抱き、親近感や信頼感が増すことを「ミラーリング効果」といいます。
ビジネスシーンでも使える「ミラーリング効果」
社内外を問わず、なぜか好かれる人っていますよね。そうした人は無意識にミラーリング効果を使っているのかもしれません。コミュニケーションの場面でミラーリング効果を活用すると、「良い関係を築きたい相手」との間に親近感や信頼感が生まれ、心を通わせ合うことも可能です。
とっつきにくい初対面の相手や、苦手な上司とのコミュニケーションの場面で、「相手とうまくいかないな」「好かれていないかも」と感じたら、ミラーリング効果を試してみましょう。
ミラーリング効果は、どうやって使うの?
ミラーリング効果はどう使うのでしょうか?「良い関係を築きたい相手」に対して、相手の動作や表情、会話などをさりげなく同調させて真似します。
心が通い合っていることを「息が合う」といいます。実際に気の合う者同士が一緒にいると、呼吸のペースまで合ってくるといわれています。
以下はミラーリング効果の使い方です。参考にしてみてください。
相手の動作や表情、話し方などをさりげなく真似します。
ミラーリングのやり方1. 動作や姿勢、表情を合わせる
■動作を合わせる
相手の動作を観察し、相手がお茶を飲んだら自分も飲む、相手がペンを持ったら自分も持つなど、さりげなく動作を合わせます。
また、相手が手帳を開いたら、自分はパソコンを開くなど、動作を合わせればアイテムは全く同じでなくても大丈夫です。わざとらしくならないよう、タイミングを少しずらすなどして自然に行ってみましょう。
ただし、足や腕を組む動作を真似る時は、相手との関係や状況を考慮しないと生意気な印象を与えるので、逆効果になります。
■姿勢を合わせる
相手が身を乗り出して話をしているなら、自分も身を乗り出して話を聞きます。相手が姿勢を正したら、自分も同じように姿勢を正します。
不自然にならないように、さりげなく行ってみてください。うまくいくと、お互いの共感性が生まれ親近感が増すでしょう。
■表情を合わせる
相手が楽しそうな表情で話をしている時は、こちらも楽しそうな表情で話を聞きます。相手が真剣な表情の時は、こちらも真剣な表情をすることで、相手は自分の気持ちを理解してくれたと感じるでしょう。同じような表情をすることで、相手との信頼感が増します。
ミラーリングのやり方2. 会話のテンポや声のトーン、声の大小を合わせる
会話のテンポや声のトーン、声の大小を相手に合わせることも、親近感や信頼感を深める重要なポイントとなります。話の聞き手は、自分とほぼ同じようなテンポで話す人を、より有能だと判断する傾向にあることが示されています。
相手の会話のテンポを観察し、相手がゆっくりと話をするならこちらもゆっくりと、相手がテンポよく話をするならこちらも同じ速さで、息を合わせて会話をするようにします。
ミラーリングのやり方3. 会話の中の相手の言葉を繰り返す
会話の中で、相手の言葉と同じ言葉を繰り返すと、相手の話を肯定的に、真剣に聞いているという印象を与えます。動作や表情などの情報を伝えることができない電話の場合も、言葉を繰り返すことで親近感を深める方法の一つとして有効です。
■話の中の出来事や気持ちなど、ポイントになるキーワードを反復
【例】
相手:「先週見た映画○○は面白かったよ」
自分:「○○は面白かったんですね」
■相手の話を要約して反復
【例】
相手:「昨日は同窓会で飲みすぎたよ」
自分:「同窓会で飲みすぎたんですか」
■相手の情報を事前にリサーチした場合は、共通点を示す
【例】
自分:「○○さんはゴルフが趣味だそうですね。私もゴルフが趣味なんですよ」
人は自分に似た相手に好意を抱きます。
営業や接客での「ミラーリング効果」の活用法
■営業/接客:とっつきにくい初対面の相手営業や接客では、初対面の相手とどれだけ距離を縮めて親近感を持たせるかが、成果のカギを握っています。
人は、自分に似た相手に好意を抱く「類似性の法則」という心理が働きます。初対面の相手がとっつきにくいと感じたら、動作や表情、話すテンポを真似ることで、「あなたに好意があります」という気持ちを相手に働きかけます。会話の中で、相手の言葉を繰り返すのも親近感を深める一つの方法です。
また、初対面の相手と「話がかみ合わない」と感じた場合、会話のペースが合っていない可能性があります。
自分は一生懸命にセールストークをしているつもりが、仕事に熱が入り早口でしゃべりすぎているかもしれません。そうなると、相手は「商品を売りつけられている」と受け取ってしまいます。
このような場合、相手の話のテンポや声のトーン、声の大小を注意深く観察し、相手の話し方を真似して息を合わせてみましょう。相手との波長が合うと、自然と好意を持ってもらえるでしょう。
苦手な人とのコミュニケーションでの「ミラーリング効果」の活用法
■上司/部下:苦手な相手とのコミュニケーションに活用「上司に挨拶したのにそっけなくされた」「部下から話しかけてもらえない」など、社内での人間関係に悩んでいる人も多いでしょう。
会社にはさまざまなタイプの人が働いています。中には「苦手だな」と感じる上司や「合わないな」と思う部下もいるでしょう。
そのような相手とは、できれば関わり合いたくないと思ってしまいますが、共に仕事をしていく上司や部下であれば、そうも言っていられません。
何とか相手と信頼関係を築いていきたいけれど、きっかけがなくどうしていいのか悩んでいるなら、ミラーリング効果を試してみましょう。
まず、相手の動作や姿勢、表情や話し方などをよく観察します。チャンスがあれば相手に同調して真似することで、相手との「共通点」を作り出してみます。これらの態度は、相手に「共感している」ということを無意識に伝えます。
さりげなく真似ることを続けていくうちに、相手に安心感や信頼感が生まれ、しだいに心を開いてくれて良好な関係を築いていけるでしょう。
わざとらしい真似ではなく、タイミングを考慮したミラーリングを
いかがでしたか? ミラーリング効果を活用することで、相手とのコミュニケーションがより円滑に進む可能性があります。でも、わざとらしく必要以上に相手の真似をするのは逆効果です。
相手が真似をされていることに気づいてしまうと、信頼感どころか不信感を抱くことになりかねません。
あくまでも自然に、タイミングを考慮してミラーリング効果を試してみてください。
出典:
Feldstein,S.,Dohm,F.-A.,&Crown,C.L.2001Gender and speech rate in the perception of competence and social attractiveness.Journal of Social Psychology.141
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