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臨床美術とは?素直な気持ちを表現するアートセラピー

臨床美術とは、子どもの感性教育に役立つアートセラピーの1つです。自分らしい創作活動を心から楽しむことができ、多様な感性や才能を育むこともできるのが臨床美術の魅力です。子育てにも効果大と言われる芸術療法を紹介します。

かまゆみ

執筆者:かまゆみ

子供の絵画・工作ガイド

臨床美術とは?子どもの感性教育に役立つアートセラピー

子育てにも効果大の臨床美術って?

子育てにも効果大の臨床美術って?

臨床美術とは、絵やオブジェなどの作品を楽しみながら作ることによって脳を活性化させ、高齢化の介護予防や認知症の予防・症状改善、働く人のストレス緩和、子どもの感性教育などに効果が期待できる芸術療法(アートセラピー)のひとつ。

はじまりは1996年、医師、美術家、ファミリーケア・アドバイザーがチームとなって実践研究がスタートされました。元々は高齢者向けに開発された手法ですが、子どもの美術教育や情操教育としても注目され、現在では発達が気になる子どもへのケア、小学校の特別授業、社会人向けのメンタルヘルスケアなど多方面で取り入れられています。
 
<目次>

臨床美術の特徴

小学生作品の「立体かぼちゃ」のりが乾くと色味に変化があるよ!

小学生作品の「立体かぼちゃ」のりが乾くと色味に変化があるよ!

臨床美術には以下の特徴があり、美術に苦手意識がある子どもも気軽に試すことができます。

・「臨床美術」に上手い下手は関係ない。
・感性を刺激する独自の働きかけを行うことで脳を活性化させ、心の解放、意欲の向上、感性の目覚めといった効果につなげている。
・美術に対し苦手意識を持つ人でも、自然に自己表現ができるオリジナルのアートプログラムを使用。
・五感をフル活用して、参加者の表現したい気持ちや創作意欲を引き出す。
・本格的なアート性を有する独自のプログラムメソッドにより、制作する喜びや達成感を得ることができる。
・完成した作品は分析しない。
・制作後『鑑賞会』の時間を設け、それぞれの作品の素晴らしいところを作者に伝えている。

 

臨床美術の5つの魅力

1.年齢・性別・人生のバックボーンに関係なく楽しめる
2.作品が手元に残る
3.具体的にほめることができる
4.自分自身を発見できる
5.希望が持てる
 

臨床美術はどういうふうにすすめられるの?

臨床美術士の資格を持った講師が、ひとりひとり楽しく丁寧に導くので、制作が苦手な子どもでも無理なくすすめることが可能です。

【導入】
モチーフを持って感じてみよう!味見することもあるんだよ

モチーフを持って感じてみよう!味見することもあるんだよ

参加している子どもの緊張をほぐしたり関心の目を向けるため、テーマに合わせた楽しい話がはじまります。モチーフ(素材)をじっくり観察したり、触る、匂いを嗅ぐなど五感をフルに活用してから制作に入るので、これまで気がつかなかったモチーフ(素材)の色や形など、細かなところまで発見!また臨床美術士が行うデモンストレーションで、「何だかおもしろそうだな」という気持ちが引き出されます。

【制作】
5歳児作品の「りんごの量感画」オイルパステルで、りんごの中身から描いていくんだよ!

5歳児作品の「りんごの量感画」オイルパステルで、りんごの中身から描いていくんだよ!

作品を具体的にほめてもらい、自分の表現に自信が持てます。制作時間は年齢に合わせ、すすめられます。

【鑑賞会】
鑑賞会でみんなの作品の良いところが見えてくるね

鑑賞会でみんなの作品の良いところが見えてくるね

制作後の鑑賞会は、講評ではありません。他の子の作品を眺めながらそれぞれの作品の魅力を聞き、自分の個性だけではなく、他の子の個性も認め受け入れるようになってきます。
 

臨床美術で子どもが変わった!

保育園児が酢を味見して感じたことを描いているところだよ

保育園児が酢を味見して感じたことを描いているところだよ

臨床美術を取り入れた小学校、福祉施設での観察調査から、「自己表現が出来るようになった」「子どもの個性が表れた」「下級生に優しくなった」「リーダーシップの発揮がみられるようになった」「人の話に耳を傾けるようになった」「相手の気持ちを理解しようとする心が生まれた」など報告がされています。さらに、自己肯定感や他人の良さを認め合うコミュニケーション力に変化があったこともわかりました。

確かに私が実践した絵画造形教室でも、子ども達に変化が見られました。どの子も自信を発揮し、思いやりを持ち、友達の作品をけなす子はいない!臨床美術は「心」の育成でもあります。
 

臨床美術はどこで実践されているの?

臨床美術は、以下などの様々な現場で実践されています。
・幼稚園や保育園での感性教育の場
・小中学校の総合学習時間
・子ども絵画造形教室
・知的障害者施設
・地域コミュニティにおけるサロンやサークル
・高齢者施設
・地方自治体による介護予防教室
・企業の社内研修やアートサロン

芸術造形研究所では、無料体験が実施されています。まずは、アートプログラムのおもしろさを気軽に体験してみるのもいいですね。

【参考文献】
『金子健二の言葉から学ぶ臨床美術のポイント 触れる、聞く、ほめる』芸術造形研究所[編] 日本地域社会研究所 2008年
『臨床美術 認知症治療としてのアートセラピー』金子健二[編] 日本地域社会研究所 2009年

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