臨床美術とは?子どもの感性教育に役立つアートセラピー
子育てにも効果大の臨床美術って?
はじまりは1996年、医師、美術家、ファミリーケア・アドバイザーがチームとなって実践研究がスタートされました。元々は高齢者向けに開発された手法ですが、子どもの美術教育や情操教育としても注目され、現在では発達が気になる子どもへのケア、小学校の特別授業、社会人向けのメンタルヘルスケアなど多方面で取り入れられています。
臨床美術の特徴
小学生作品の「立体かぼちゃ」のりが乾くと色味に変化があるよ!
・「臨床美術」に上手い下手は関係ない。
・感性を刺激する独自の働きかけを行うことで脳を活性化させ、心の解放、意欲の向上、感性の目覚めといった効果につなげている。
・美術に対し苦手意識を持つ人でも、自然に自己表現ができるオリジナルのアートプログラムを使用。
・五感をフル活用して、参加者の表現したい気持ちや創作意欲を引き出す。
・本格的なアート性を有する独自のプログラムメソッドにより、制作する喜びや達成感を得ることができる。
・完成した作品は分析しない。
・制作後『鑑賞会』の時間を設け、それぞれの作品の素晴らしいところを作者に伝えている。
臨床美術の5つの魅力
1.年齢・性別・人生のバックボーンに関係なく楽しめる2.作品が手元に残る
3.具体的にほめることができる
4.自分自身を発見できる
5.希望が持てる
臨床美術はどういうふうにすすめられるの?
臨床美術士の資格を持った講師が、ひとりひとり楽しく丁寧に導くので、制作が苦手な子どもでも無理なくすすめることが可能です。【導入】
モチーフを持って感じてみよう!味見することもあるんだよ
【制作】
5歳児作品の「りんごの量感画」オイルパステルで、りんごの中身から描いていくんだよ!
【鑑賞会】
鑑賞会でみんなの作品の良いところが見えてくるね
臨床美術で子どもが変わった!
保育園児が酢を味見して感じたことを描いているところだよ
確かに私が実践した絵画造形教室でも、子ども達に変化が見られました。どの子も自信を発揮し、思いやりを持ち、友達の作品をけなす子はいない!臨床美術は「心」の育成でもあります。
臨床美術はどこで実践されているの?
臨床美術は、以下などの様々な現場で実践されています。・幼稚園や保育園での感性教育の場
・小中学校の総合学習時間
・子ども絵画造形教室
・知的障害者施設
・地域コミュニティにおけるサロンやサークル
・高齢者施設
・地方自治体による介護予防教室
・企業の社内研修やアートサロン
芸術造形研究所では、無料体験が実施されています。まずは、アートプログラムのおもしろさを気軽に体験してみるのもいいですね。
【参考文献】
『金子健二の言葉から学ぶ臨床美術のポイント 触れる、聞く、ほめる』芸術造形研究所[編] 日本地域社会研究所 2008年
『臨床美術 認知症治療としてのアートセラピー』金子健二[編] 日本地域社会研究所 2009年
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