オーディオプレーヤー

極上の音を実現するデジタルオーディオプレーヤー3選

今や50万円を超えるモデルすら登場しているデジタルオーディオプレーヤー業界だが、そこまで高いとなかなか手が出ない。そこで今回は、ちょっと高価格ながらもかなり満足度の高いデジタルオーディオプレーヤーを3機種紹介したい。

安蔵 靖志

執筆者:安蔵 靖志

デジタル・家電ガイド

ガイドおすすめの高音質DAPを3機種紹介!

iPhoneをはじめとするスマホで音楽を楽しんでいる人は多いことと思うが、その一方で根強い人気となっているのがデジタルオーディオプレーヤー(DAPとも呼ばれる)だ。最近ではCDを超える音質を実現した「ハイレゾ」対応のプレーヤーも数多く出ており、高級イヤホン・ヘッドホンとともに楽しむオーディオファンも増えている。

人気の中心はやはりソニーの「ウォークマン」シリーズ……といったところだが、ハイレゾ対応の高価格帯モデルでは韓国アイリバーの「Astell & Kern(アステル&ケルン)」ブランドが音質にこだわるファンに人気となっている。

今や50万円を超えるモデルすら登場しているデジタルオーディオプレーヤー業界だが、そこまで高いとなかなか手が出ない。そこで今回は、ちょっと高価格ながらもかなり満足度の高いデジタルオーディオプレーヤーを3機種紹介したい。

3機種とも「ハイレゾ」「バランス出力」に対応

まず今回紹介する3機種は、ハイレゾフォーマットとして「e-onkyo Music」や「mora」などのメジャーなハイレゾ配信サイトで扱われている「FLAC」や「WAV」、さらにその上を行く音質を実現していると言われる「DSD」に対応している。そのため、リッピングしたCD音源も含めると、かなり幅広い楽曲を楽しめるようになっている。

また、3機種ともステレオミニ端子による「アンバランス接続」(一般的なイヤホン・ヘッドホン接続)に加えて、2.5mm 4極端子もしくは4.4mm 5極端子を利用した「バランス接続」にも対応する。バランス接続というのは2本の芯線で信号の「+」(ホット)と「-」(コールド)を伝送し、シールドでGND(グラウンド)を伝送する接続方式のこと。アンバランス接続は1本の芯線とシールドでホットとコールド、GNDを伝送する接続方式のことだ。

バランス接続はホットの芯線とコールドの芯線に混入したノイズが打ち消しあうため、アンバランス接続に比べてノイズに強いといわれている。ただしオンキヨーとアイリバーは2.5mm、ソニーは4.4mmの端子を利用しているため、イヤホンやヘッドホンを購入する際には対応する端子を持つモデル、もしくは対応するケーブルに交換できるかどうかを確認してほしい。
 

コンパクトさと力強い低音が魅力のオンキヨー「DP-S1A」

3機種の中で最もリーズナブルなのがオンキヨーの「rubato DP-S1A」だ。FLAC/WAV形式は192kHz/32bit、DSD形式は5.6MHzまで対応(どちらも数字が大きいほど高音質フォーマットに対応していると考えていい)。また、高音質と利便性を両立した革新的な高音質技術として注目される「MQA」にも対応するのが特徴だ。
オンキヨーが2017年12月に発売した「rubato DP-S1A」

オンキヨーが2017年12月に発売した「rubato DP-S1A」


DP-S1Aの大きな特徴の一つとして、16GBの内蔵メモリーに加えてmicroSDカードスロットを2スロット(各256GBまで対応)搭載している。内蔵メモリーも加えると、最大528GBまで拡張できるのが大きな魅力だ。

さらにWi-Fi機能も内蔵しており、ハイレゾ音源配信サイト「e-onkyo music」から、パソコンを介さずダイレクトに楽曲をダウンロードすることも可能。民放ラジオをWi-Fi経由で楽しめる「radiko.jp」や、インターネットラジオ「tuneIn Radio」にも対応する。

音は低音がパワフルで、ボーカルなど中音域の力強さも感じられる。高音域はほかの2機種に比べると解像感が物足りなく感じたものの、パワフルなロックやボーカル曲を中心に楽しむのにはなかなかいいという印象を受けた。

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シリーズ最高峰のバランスを実現したソニー「NW-ZX300」


ソニーの「ウォークマン NW-ZX300」は、個人的にコスト面も含めてこれまでのウォークマンシリーズ最高峰のパフォーマンスを実現したと感じられる。
ソニーが2017年10月に発売した「ウォークマン NW-ZX300」

ソニーが2017年10月に発売した「ウォークマン NW-ZX300」


ハイエンドモデルの「WM1シリーズ」用に開発したハイレゾ再生対応の高性能フルデジタルアンプ「S-Master HX」を採用し、ZXシリーズとして初めてDSD音源のネイティブ再生(※)に対応した(最大11.2MHz)。ただしDSDネイティブ再生はバランス接続時のみ対応で、アンバランス接続時はリニアPCMへの変換再生になるとのことだ。WAV形式は最大384kHz/32bitまで対応する。

※DSDネイティブ再生……DSD形式からWAVなどと同じ「リニアPCM形式」に変換することなく、直接音声出力する再生方法のこと

音の傾向は、いい意味でソニーらしい音という印象を受ける。低音がパワフルで、高音域はシャキッとしている。「ドンシャリ」などと揶揄されることもあるが、そんな安っぽい印象は全くない。中低音の力強さがありつつ、「重低音モデル」などにありがちな解像感の低下は全くなく、スッキリさとパワフルさを兼ね備えているのだ。80年代ロックなどCD黎明期の音源を聴くと、そのときのグルーブ感が鮮烈によみがえってくるような印象を受けることだろう。

 

 

旧世代と新世代のハイエンドを凝縮したアイリバーAstell&Kern「AK70MKII」


アイリバー「Astell&Kern」ブランドの「AK70MKII」は従来機種の「AK70」から大幅にステップアップしたモデルだ。
アユートが2017年10月に発売したアイリバー「Astell & Kern AK70MKII」

アユートが2017年10月に発売したアイリバー「Astell & Kern AK70MKII」


同社の第2世代フラッグシップ機「AK240」に搭載していたシーラス・ロジック製のハイエンドDAC(※)「CS4398」を採用しつつ、最新の第4世代フラッグシップモデル「A&ultima SP1000」の設計思想を踏襲したことで、さらにパワフルかつ低ノイズ・低ひずみなサウンドを実現している。DSDは5.6MHzまで対応し、FLAC/WAV形式は384kHz/32bitまで対応する。

※DAC……デジタルアナログコンバーターの略。デジタル信号をアナログ信号(音声)に変換するチップのこと

音の傾向は低音域や中音域を強めに出すような方向性ではなく、フラットな印象。とはいえ、低音域から高音域まで解像感は高く、なめらかかつ伸びやかなサウンドを楽しめる。オンキヨーのような低音重視型、ソニーのようなドンシャリ(いい意味で)傾向とかではないので、最近の音源と違ってパワフルさをあまり押し出さない古い音源だと、物足りなさを感じることもあるかもしれない。しかし、ジャズのライブやクラシックなどをディテールまで堪能したいという人には向いている。また、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)系の最新楽曲など、スピード感があってパワフルな楽曲にもピッタリだ。

 


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