マイ電柱と奥深きオーディオ電源の世界を紹介

柱上トランス

電柱/柱上トランス(イメージ)

THE WALL STREET JOURNAL.の記事『究極のオーディオマニアが行き着く「マイ電柱」』がYahoo!ニューストピックスで取り上げられ、注目を集めている「マイ電柱」。SNSの反応を見ると、奇異な事象として捉えられ、効果への疑問も多いようです。

そこで今回は、「マイ電柱」で音質が良くなるという諸説と、さらにマニアが拘る「オーディオと電源」の奥深さをご紹介します。


マイ電柱で音が良くなる理由

オーディオの音質は、ありとあらゆる要素に左右されると言って良いほど繊細なものです。部屋の縦横比や温度湿度などの環境を無視し、機器のみに焦点を当てた場合、音質を劣化させる2大原因は、"振動"と"電源"と言っても過言ではありません。

一般に振動は理解を得やすく、電源はオカルトと思われてしまう傾向がありますが、オーディオ機器が電気で動いている以上、供給される電気が「汚れ」ていると、音も濁ってしまうことをご想像頂けるでしょう。

「汚れ」の主な原因は電気的なノイズと考えられ、実際の家庭では、蛍光灯やLEDなどインバーターを搭載した照明器具が発する高周波ノイズは、悪影響が大きいものです。

ほかにも、エアコン、冷蔵庫、洗濯機といったインバーター回路や大出力モーターを使用した家電も、オーディオの天敵とされています。

話を、電気の「汚れ」とマイ電柱の関係に移しましょう。オーディオマニアの家庭では、照明に昔ながらの白熱球を使うのは常識で、問題の原因となる家電は配電盤で回路を分けるなどの対策を行います。

しかし、電気の大元は、電柱の上に取り付けられた「柱上トランス」から複数の家屋に引き込まれているため、近隣の住宅がノイズを発していると、その影響を受けてしまいます。とは言え、騒音問題のように苦情は言えないので、コントロールできません。

そこで講じる自衛策が「マイ電柱」。マイ電柱の「マイトランス」は、隣家からのノイズを低減する機能を発揮し、自宅のオーディオシステムだけに電気を供給すれば、「汚れ」が少ない電力が手に入るという訳です。

実際の効果ですが、電気的ノイズが低減すると、微少な音の再現性が高まり、音色がリアルになったり、空間の広がりや奥行きが増す、さらに演奏者の位置関係が明瞭になるなど、音質として改善に方向に向かいます。

効果の度合は、システムの構成や聴取者の経験で異なり、一概に述べることはできませんが、非マニアも聴きどころなど少しアドバイスを受ければ、きっと体感できるでしょう。

因みに、電力の利用者が少ない深夜も、ノイズが少なく音質面で有利と考えられます。「マイ電柱」は無理でも、興味の湧いた方はお試しを!


オーディオマニアが拘る電源事情あれこれ

マイ電柱を持てるのは、費用の面でマニアの中でもごく一部に限られます。しかし、多くのマニアが電源を重視し、興味や予算の度合に応じて、様々な対策を講じています。

最も身近なのは、機器の電源ケーブル交換で、他にも電源タップ、壁コンセント、配電盤、屋内配線といろいろあります。

日本ではオーディオ・ビジュアルに特化した出版社もいくつかあり、中でも音元出版の電源関連を重点的に扱う「電源&アクセサリー大全」は人気で、先述の電源ケーブルやタップをはじめとするアクセサリーを紹介しています。

興味の無い方は全く関心がないでしょうが、それも充分理解できます。筆者はファッション誌を一度も開いたことはありませんから。

具体例として、マニアが手を加える部分と、製品例をご紹介しましょう。結構なお値段で驚く方も多いでしょうが、それも充分理解できます。筆者は数万円もする化粧品を見て、気絶しそうになりますから。

■電源ケーブル
主にAV機器に付属している着脱式のケーブルと交換して使用します。いろいろなメーカーから多数の製品が発売されていますが、その中でも注目は、新導体PC-Triple C導体を採用したSAECのPL-8000。静寂を引き出せる高品位なケーブルです。


■電源タップ
壁コンセントとAV機器の間に設置します。クリプトンのPB-HR1000は、「3つの高機能素材」により、電気的ノイズや振動を抑制。アンプなどの機器をグレードアップしたような音質改善効果が得られます(筆者の感想)。


■壁コンセント
マニア度が増すと、工事で壁に埋め込まれたコンセントも交換します。オーディオ用のほか、病院で医療機器の接続など信頼性が求められる用途に使われる「ホスピタルグレード」品も人気です。

こうしたハイグレード品は、一般のコンセントよりも接触抵抗が少なく、電気の流れがスムーズになると考えられています(諸説あり。測定上は有意な差異が認められないケースが多い)。


■コンセントプレート
壁コンセントのカバーもオーディオ用が!手間も費用も比較的手軽です。クリプトンのCP-HR10は、電源ケーブルなどを交換した際の音質向上効果が、より明確になります(筆者の感想)。


■クリーン電源 IsoTek EV03 SIGMAS
マイ電柱に関わらず、電気をキレイにする機器も!コンセントとAV機器の間に設置します。数ある製品の中でも、今世界で注目を集めているのが「IsoTec」。覚えておくと良いでしょう!


バッテリーを搭載した据え置きオーディオも!

オーディオで電源が重要視されているのは、製品を見ても分かります。過去、パナソニックの高級オーディオブランド「テクニクス」では、バッテリーを搭載し、コンセントからの電源の影響を受けないとする製品で注目を集めました(製品例: 紹介サイトより、プリアンプ SU-C7000)。

ハイレゾデジタルオーディオ時代に復活したテクニクスブランド最新製品でも、バッテリー駆動の良さを求める「Virtual Battery Operation」技術を搭載しています。

・「Virtual Battery Operation」技術搭載製品例:
テクニクス ネットワークオーディオプレーヤー ST-C700
ST-C700

ST-C700



「マイ電柱」の次は、「マイ発電所」

「マイ電柱」の次は「マイ発電所」。大それた発想のようですが、太陽電池の普及が進み、マイ電柱よりも手に届きやすいと言えます。

現在の家庭用太陽電池システムは、一旦蓄電池に充電し、直流を家庭用コンセントに合う交流に変換して出力するため、オーディオマニア的には波形や精度が気になるところですが、いずれは直流をオーディオ機器に直接供給する時代が来るかもしれません(既にエアコンや照明は、直交変換のロスを回避する観点で、直流で動作する製品も登場しています)。


さいごに

非マニアの知らない世界「オーディオの電源事情」、いかがだったでしょうか? 今回はマイ電柱を取り上げ、音質を劣化させる主な要因を「電気的ノイズ」と解説しましたが、ほかにも、振動(P波)が導線を伝わって悪影響を及ぼすという説もあります。

音質を左右する原因や理由は科学的に未知の部分も多く残っていそうですが、完全に解明されない方が、オーディオの趣味としての面白さや探求が果てしなく続くのかもしれません。


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