オーディオプレーヤー/オーディオプレーヤーの選び方

音楽ファイルのフォーマット、どれがいい?

音楽ファイルのフォーマット(形式)について解説します。フォーマットによって音楽ファイルの音質やファイルサイズに違いが生まれます。あなたにおすすめの音楽ファイル形式を紹介します。

鴻池 賢三

執筆者:鴻池 賢三

オーディオ・ビジュアルガイド

オーディオフォーマットとは「音声を0と1のデジタル方式で記録する方式」のこと

オーディオフォーマットとは、もともと波形の連続であるアナログの音声を、0と1のデジタル方式で記録するための方式で、たくさんの種類が存在します。

デジタルオーディオの基本となるフォーマットは、CDで使用されている非圧縮のPCMで、LPCM(リニアPCM)などとも呼ばれています。

ポータブルプレーヤーの場合、限られたメモリー容量で、より沢山の楽曲が収録できるよう、PCMからデータ量の圧縮を行うのが基本で、いくつかあるそれらの圧縮方法もフォーマットと呼んでいます。各種フォーマットで圧縮された音楽ファイルは、そのフォーマットに対応したプレーヤーでのみ再生が可能です。
 
音楽ファイルのフォーマット、どれがいい?

音楽ファイルのフォーマット、どれがいい?

 

圧縮フォーマットの種類:MP3、AAC、ATRAC、WMA

フォーマットの種類は、世界的に普及しているメジャーなものから、一部のマニアが利用しているマイナーなものまでさまざまです。

今日のオーディオプレーヤー普及の礎となったのは、誰もが耳にした事があるであろう「MP3」。人間の耳が聞こえないとされる高域の音や、大きい音の直後の小さな音を間引くことで音質を大きく損ねずに、データ量を1/10に圧縮できるとされ、登場当時は画期的な技術として注目されました。

黎明期のポータブルオーディオプレーヤーで必須だったMP3は、その後、新しくより圧縮効率の高いフォーマットの登場により、陰が薄くなった感はありますが、最新型プレーヤのほとんどは、未だにMP3に対応しています。

現在メジャーなフォーマットとしては、Apple社がiPodで採用した「AAC」、ソニーがWalkmanで採用した独自の「ATRAC」、マイクロソフトの「WMA」などがあります。

これらのフォーマットは、一般的にMP3よりも圧縮率が高く、同じ音質ならファイル容量はより小さく、同じファイルサイズなら音質はより良いとされています。
 

ビットレートは「データの圧縮率」を示す

音質は、フォーマットの種類に加え、データをどれくらい圧縮するかで決まります。圧縮率が高くなるほど間引かれるデータが多くなって音質は悪くなり、圧縮率が低いと間引かれるデータは少ないので、音質の劣化が少ないという訳です。

圧縮率は、「ビットレート」で表され、単位はkbps(キロビット・パー・セカンド)が一般的です。例えば128kbpsであれば、音楽1秒間に割かれているデータ量が128キロビット、256kbpsなら256キロビットという意味です。

圧縮率としては、256kbpsのほうが、128kbpsよりも1秒間に割いているデータ量が多いので、「圧縮率が低い」と言う訳です。ちなみに、CDのPCM(44.1kHz/16bit)は、1411.2kbpsに相当します。
 

ロスレスとは「再生時にオリジナルのPCMデータを完全に復元できる圧縮方式」のこと

フォーマットの話になると出てくるのが「ロスレス」と言う言葉。先述のMP3のように、聞こえない音を間引いて圧縮するフォーマットは、再生の際、PCMデータに復元しようとしても元の通りには戻りません。これらは「不可逆圧縮」と呼ばれたり、オリジナルのデータが欠落し、ロスがあるがあるという意味で「ロッシー圧縮」と呼ばれます。

一方、音を間引かずに数学的な手法のみでデータを圧縮し、再生時にオリジナルのPCMデータが完全に復元できるのが「可逆圧縮」です。ロスが無い(Loss-less)ので、ロスレス圧縮と呼んでいます。

オーディオプレーヤーで利用できるロスレスフォーマットの代表的なものには、Appleの「Apple Lossless」や、「FLAC」などがあります。

一般的に、ロスレスフォーマットの圧縮率は、PCMデータに対して1/2程度と、圧縮率はそれ程高くありません。
 

音楽ファイルのフォーマット、結局どれがいい?

音質を重視するユーザーの中には、PCMと同等の非圧縮フォーマットである「WAV」を利用する方もいるようです。この「WAV」は、iPodやWalkmanなど、幅広いオーディオプレーヤーで再生可能ですが、ファイルサイズが巨大なため、メモリ容量を圧迫したり、転送に時間がかかるなど、一般的なユーザーにとっては実用性が乏しいと言えます。

ロスレスフォーマットは、音質を損ねる事なく、約1/2に圧縮可能ですが、やはりまだファイルサイズは大きく、一部のマニア向けといった感が否めません。

筆者鴻池が、同じ楽曲をいろいろなフォーマットに変換し、ランダム再生で聞き比べてみたところ、どの圧縮フォーマットも、256kbps以上であれば、違いを聞き分ける事ができませんでした。音質と実用性を重視するユーザーには、256kbps程度でのエンコード(圧縮)をおすすめします。

ちなみに、旧来からCDの音質と同等とされきたMP3/128kbpsの音楽を改めて聴き直すと、ほんの僅かですが、余韻の少なさによる広がり感や空気感の欠乏に気が付きます。オーディオプレーヤーやヘッドホンが、それだけ高性能になったからかもしれません。

次の機会には、少しマニアックに、量子化ビット数と、サンプリング周波数について解説したいと思いますので、お楽しみに!
 
適切な音楽ファイルのフォーマットを選んで快適な音楽生活を!

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