オートソックは水分が多くてすぐ溶ける「都会の雪」には危険?
布製チェーンの代表選手オートソックはメーカー各社に緊急用のチェーンとして推奨されており、JAFのロードサービスでも使っています。筆者がオートソックを初めて使ったのは2013年1月でした。新しいので装着もしやすく、小学生の息子でも簡単に着けることができました。そして雪道を走ってみたのですが……10分程度走って幹線道路に出た際、ズルっと滑りました。あれ?なんで?と焦りましたが、その後も片道3キロ程度の場所にある近所のドン・キホーテに行くまで何度も滑りました。駐車場でタイヤを見てみると……接地面に氷が貼り付いていました。スリップの原因はこれでした。氷をできるだけ取り除いで家に帰ってきましたが、グリップ力が保たれているのは最初の数分で結局、すぐに氷が張り付いてしまい、またズルズル滑り始めたのでした。
チェーンの選び方。今回の都会の雪でオートソックを再び試してみて分かったこと
それから5年。このたびの大雪で金属チェーンとオートソックを試してみることにしました。両方とも98年式トヨタ・カレンに装着して周辺の道路を走ってみてわかったことを簡単にまとめておきます。
1.外気温が低い(0-1度)場所で濡れたタイヤにはとてもつけにくい。
2.圧雪路(雪がたくさん積もっている場所)では抜群のグリップ性能を発揮する。
3.雪が溶け始めた場所ではやはり、氷が接地面に張り付いて滑る。
1番→前回は新品で装着する場所は屋根付き駐車場だったのでとても簡単に装着できましたが、今回は金属チェーンで雪道を走って来た後のタイヤに装着したため、タイヤの温度も外気温も低く、濡れていたので装着するのに大変、時間も労力もかかりました。
2番→5年経ったオートソック(保管は室内。洗ってなかったので汚れアリ)でも雪が20センチ位積もっている駐車場でもしっかりグリップしてくれました。これは素晴らしいです!
3番→こちらはやはり5年前と同様。シャーベット状の雪道では氷が張り付いてズルズル滑りました。
なお、オートソックを始めとする布製チェーンでは高速道路のチェーン規制には対応できない場合がほとんどですので、注意してください。都会は雪が溶けている所も多いため、金属チェーンをおすすめします!
雪にハマった時に抜け出す方法とは?
スコップや脱出ボード、スプレー式タイヤチェーンなど、特別な道具をもっていない場合の抜け出し方をお伝えします。
最も良いのはフロアマットを使うことです。裏を上にして使うのがベターです。裏は樹脂製で滑らないようトゲトゲがついていたり、滑りにくい素材になっていたりすることが多いですからね。また、雪や氷が付着しても樹脂面なら落としやすいという利点もあります。ただし咬ませたものが後ろに飛んで行くことも結構あるのでこちらも要注意です。同乗者がいる場合は、車を押してもらうのが良いでしょう。その場合は周辺の交通に注意してください。ドライバーが初めてのことで緊張し、サイドブレーキを引いたままだったり、ブレーキペダルに足を乗せたままだったり……という笑い話のような事実もあります。これではフロアマットを噛ませても、同乗者が全力で車を押しても前に進むのは難しいでしょう……。周辺に砂や土があれば、雪の上に撒いてみるのも有効です。フロアマットがない、という場合は、コンビニで段ボールをもらって来て咬ませてみると良いでしょう。
チェーン無し車による大渋滞に巻き込まれない方法とは?
このたびもそうでしたが、首都高3号線や国道246など幹線道路の坂道でスリップして道路を塞いでいる車はほとんどがトラックです。4年前の大雪で筆者も体験しましたが、坂道を上がれないトラックが道を塞いでしまい十時間以上車の中にいました。前回も今回も数日前から、この日は大雪が降ると警戒を呼びかけていたにも関わらず……プロドライバーがなぜ雪道対策を怠るのでしょう?
このようなチェーン無し車が引き起こす大渋滞に巻き込まれないようにするには、状況として可能であれば幹線道路から外れて脇道を使って回避することが一番です。大型トラックが入れないような道ですね。車自体ほとんど通っていませんし、中にはスタックして放置してある車もちらほらありますが、乗用車サイズであれば避けて通ることも簡単です。
チェーンをつけるタイヤを間違えないで!
チェーンはどのタイヤにつけるのかご存知でしょうか? 一般的に、チェーンは駆動輪2本に付けます。駆動輪とは、エンジンのパワーを伝えるタイヤのことで、FF車であれば前のタイヤ2本、FR車であれば後ろのタイヤ2本になります。実は今回、立ち往生している小型トラックの中には、チェーンを間違って前輪に付けているため「チェーンを付けているのにまったく走れない」というケースもありました。筆者の友人がその場に遭遇し「チェーンは駆動輪に付けないとダメですよ」と忠告したのですが、「駆動輪」の意味が分からなかったようで、ひたすら前輪の前にある雪を掻きだしていました。チェーンを後輪につければ脱出できるのに…。
都会ではドライバーだけではなく、多くの人が雪道に対する知識が希薄
今回も雪対策をしていない車がたくさん道路で立ち往生していましたが、気になったのはガソリンスタンドやファストフードの駐車場で雪にハマっている車の脱出をお店のスタッフが手伝っている…というシーンです。結論から言えば(当然のことですが)、都会の人々は全般的に雪道走行の知識がほとんどありません。ファストフードのスタッフは若い人が中心で免許すら持ってない若いバイトさんもたくさんいます。ガソリンスタンドのスタッフでさえ、お客さんの車を脱出させるのに途方に暮れていましたし、マクドナルドの駐車場でもお店のスタッフ4-5人で頑張っていましたが抜け出すのに1時間以上かかっていました。自分で対処方法を知って、お店の人にヘルプをお願いする場合は車を押してもらう程度が良いかもですね。
今回の大雪では数日前から大雪に対する注意が呼びかけられていました。大雪になることが予測される場合は、まずチェーンを用意しましょう。あとは、ガソリン満タンにすることです。思わぬ渋滞に巻き込まれることもあり、そこでガス欠になったら大変ですからね。また、車内にはチェーンはもちろん、古い毛布やバスタオル、段ボールなどを積んでおくのも良い方法です。携帯電話の充電器(シガーソケットで使えるもの)もお忘れなく。脱出道具は雪対策ばっちりのあなたには必要なくても、道路上で立ち往生している車に貸してあげることもできますから。