会話から知る心の病気の初期症状・病気の状態

会話

心の不調や心の病気の前兆は、会話の際の違和感や問題にしばしば現れます

物には色々な言い方がありますが、実際に伝えたい内容が、話し方のせいでうまく伝わらないこともよくあることです。

心の病気は、しばしば本人にしかその精神症状や精神体験がわからないため、当人から話を直接聞かないことには、どんな問題が出ているのかはっきり分かりません。精神症状を知るためには、当人の話の内容がとても重要なのです。当人がどのように話を伝えてくるかにも、病気の症状が反映されることがあります。

今回は心の病気の基礎知識として、どのような話し方や会話の際の特徴が心の病気や心の不調に関わる可能性があるのか、会話を通じて知ることのできる問題を詳しく解説します。

話すスピードが異常に速くなった……論理的思考の低下や躁状態の可能性も

会話をする際、話す内容以上に話し方には気が向くものです。声の大きさ、小ささ、話し方の速さなどは人それぞれですが、普段と違う場合には注意が必要です。

例えば、話し方が速いというレベルではなく、あたかも機関銃のように次から次へと言葉が出てくるような場合です。普段からそのような話し方の人であれば、それも個性として済むことですが、その人の普段をよく知る人から見て、人が変わったかのような違和感を感じる場合は、精神医学的に問題性を考える必要があります。

話すスピードが上がるということは、見方を変えれば、話したいことが次から次へと頭に浮かんできている状態でもあります。頭の回転が通常よりもかなり上がっている状態とも言えるでしょう。頭の回転が速いことは結構なことですが、重要なのはそれらの話の内容が論理的につながっているかどうかです。もし話がわき道へ逸れ続けるような場合、論理的な思考能力の低下の可能性も考えるべきでしょう。あるいは一つのことに注意を向け続けるのが困難になっているのかもしれません。

話したいことが次から次へと頭に浮かぶような時は、一般に気分がハイになっていることが多いものです。何かしら大きな良い出来事があった後などは饒舌になる人が多いと思います。しかしそのような背景もない場合は、躁(そう)状態に近くなっている可能性も考えたいです。

返答があまりに遅くなった……認知機能の問題の可能性も

相手との会話中、問いかけをすると返答が遅すぎるような場合も、注意が必要です。うっかり違うことを考えてしまったり、ぼんやりしたりすることは誰にでもあるものですが、精神医学的に問題になる場合もあります。

まずは、こちらの問いかけを相手がしっかり理解できていたのか確認する必要があります。認知機能の低下から、問いかけを理解できなくなっていたら問題です。とはいえ、これが認知症の症状だとは、あらかじめその可能性を意識していないと周りの人もなかなか気づき難いかもしれません。

例えば統合失調症の場合も、その経過のある時点で、認知能力がかなり低下することがあります。そうした問題が現れるかどうか、現われた場合の深刻さにはかなりの個人差があります。統合失調症は10~20代の年齢での初発が多い疾患ですので、もしそうした問題が起こっても、周りの方はまさか認知機能の低下が起こっているとは思いにくいものです。しばしば、本人が周りに興味を失っているため、自分の問いかけにも答えない……といった誤解をしてしまいます。

会話中の表情や声の調子がいつもと違っている……

会話をする際は話の内容だけでなく、相手の表情や声の調子からも相手の内面がよく分かるものです。真剣な話をしているとき、面白い話をしているとき、悲しい話をしているときで、表情や声の調子は変わるでしょう。感情が表情に出やすい人もいれば、ポーカーフェイスの人もいるでしょうが、こうした声の調子や表情は、精神医学の用語で「アフェクト(affect: 感情)」と呼ばれます。当人が声の調子や顔色によって外面に現す、感情の内容やレベルを表す言葉です。会話をする際にもしこのアフェクトに問題があると、周りは違和感を覚えやすくなります。

たとえば何の話をしていても声が単調すぎて、思わず顔を見てみると、まるで表情が浮かんでいない……といった時は、アフェクトに問題がある時です。多くの場合は一時的な問題ですが、もしこのようなアフェクトの問題が継続するような場合、そして以前の当人の様子とは明らかに違うような時は精神医学的に注意したいときです。

まずは、自分自身でその状態をコントロールできるのか、できなくなっているのかが問題です。実際にアフェクトの問題は、「もっとにこやかに話せるはず」だといった印象を周りの人は持ちがちです。実際、その通りのこともあるでしょうが、場合によっては当人自身にはどうすることもできない問題になっていることがあります。特に脳内の何らかの問題が原因になっている場合、精神科的な対処が望ましいこともあります。周りの方は無用の誤解をしないためにも、そして事態を改善していくためにも、このことをぜひ知っておいていただきたいです。

以上、今回は会話を通じて分かる心の不調や心の病気に関わり得る問題を詳しく解説しました。一般にこうした問題がもし起きていれば、相手には分かりやすいものですが、自分ではなかなか気付きにくいものであることもどうかご注意ください。
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