アドバイス1 実家の扱いをできるだけ早く決めたい
住宅については、順番としてまず、ご主人の両親と祖父母の家を将来どうするのか。住宅購入の前に、それを決めておく必要があります。相談文にあるように、まだ決められない部分はあるかと思いますが、少なくとも自分たちの中で、将来そこに住むのか住まないのかは明確にしておくべきです。しかも、できるだけ早く決めておきたいところ。長引けば長引くほど、住宅購入の際、ローンの返済期間を短く設定せざるを得なくなります。また、住まない選択をして、結果的に実家を相続した場合、その処分についてもみおさんが心配されているとおり、不安要素はあります。周囲の環境は不明ですが、実際に売却できるかどうか。売却できても、更地にする必要があれば、150万~250万円の費用は考えておくべき。また、空き家として放置していても、所有している限り、固定資産税は発生します。誰も住まなくても、手間とコストはかかるのです。
購入した場合、「現実的な予算として土地込みで1000万円程度。頭金に200万円と考えている」とのこと。住宅ローンは、できればご主人60歳のときには完済したいので、現時点で返済期間は20年。800万円を借り入れすると、全期間固定の金利1.5%で、返済額はボーナス払いなしで毎月3万8600円ほど。それに固定資産税(月1万円前後)と、将来かかるであろう修繕費用の積み立て分(1万円ほど。ただしこれで安心ではなく、あくまで予備費)を加算すると、今の家賃とほぼ同額程度の住宅コストと考えていいでしょう。
ただし、購入時に諸経費(税金、ローン手数料、登記費用、引越し費用など)として100万~150万円は別途必要。もしそれも含めての頭金200万円であれば、借入額は900万~950万円となります。
アドバイス2 iDeCo利用で「賢く」運用
運用に関しては、毎月2万円、積立投信をしていきたいとのこと。その場合、目的が老後資金づくりなら、金融機関の特定口座で買っていくのではなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用するといいでしょう。掛け金が全額所得控除になりますから、所得税、住民税が還付されます。これは、確実に手にできる利益と言えます。また、運用益(売却益や配当金など)にかかる20.315%の税金が非課税となる点も大きなメリット。掛け金の上限は、企業年金のない企業の従業員であれば月2万3000円(企業年金があれば月1万2000円もしくは2万円)。また、iDeCoそのものは夫婦それぞれ利用できます。ただし、注意点がいくつか。まず、拠出した掛け金は60歳以降でなくては原則引き出せません。また、利用する金融機関によって、扱う運用商品が異なり、また利用できる投資信託の種類も限られます(数十種類程度)。さらに、iDeCoを利用する際にコスト(年間3000円~5000円程度)が発生しますが、その額も金融機関で幅があります。事前に複数の銀行や信用金庫、証券会社をチェックしておくといいでしょう。
アドバイス3 貯蓄ペースを維持することがポイント
家計管理はほぼ問題ありません。収入から考えて貯蓄ペースも頑張っていると思います。ただし、気になるのが、ご主人の給与から天引きとなる10万円ほどがあること。自動車ローンや保険料、その他、仕事の経費とのことですが、これに税金や社会保険料の天引き分も含む(つまり、額面)ならまだわかりますが、それを含まず10万円の天引きはかなり大きな額です。まず、自動車ローンの詳細は不明ですが、完済後はその支払い分をそのまま貯蓄に回しましょう。また、保険については上記データに書かれたもの以外に死亡保障、医療保障があるのであれば過大。見直す余地は十分にあります。
今後は現在の貯蓄ペースを維持することがポイントになってきます。現在、年間で64万円。20年間で1280万円。これに退職金を加算すると約2500万円。これに今保有する金融資産から住宅資金を差し引いた額を加えたものが老後資金となります。夫婦で厚生年金加入ですから、現在の生活コストからみても、おそらく老後で資金的に大きく困るということはなさそうですが、それも貯蓄ペースが維持されるという条件付きです。そのためにも、日頃から心身ともに健康に留意して、60歳以降も元気に働くことを目指してください。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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