弟が借金整理のため両親から1400万円を借りています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、同世代よりも貯金が少ないことで悩む47歳の会社員女性です。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談はすべて無料になります)

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定年まで働けるか、体力に不安もあります

定年まで働けるか、体力に不安もあります




■相談者
にゃんとも笑顔さん
女性/会社員/47歳
大阪/親の持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
両親(80歳)
 
■相談内容(原文ママ)
47歳独身・実家暮らしです。同年代の方に比べて貯蓄が少なく、結婚の予定もなく、老後資金が非常に不安であるのと、両親が亡くなった後、一人で住む家をどうすべきか悩んでいます。できれば中古のマンションを購入したい気持ちもありますが、現実的に難しいのではないかと思います。また実家を建て替えることも視野に入れていますが、両親の今後もまだ何も決めていないため(現在は2人とも生活に支障はない)、それにもよると思います。近隣に住む弟が1人おりますが、3年前に借金整理のため両親から1400万円を借りており、両親はそのお金を工面するため、実家を抵当にリバースモーゲージで借りています。

●コロナの影響により、ボーナスは手取り10万円に減り、次回もいくらもらえるかわかりません。会社の業績としては、今後少なくとも数年は厳しい状況が続くと思われます。

●現在は毎月頑張って貯めるようにしていますが、20~30代の頃は何も考えずにファッションや化粧品にお金を使っていました。また過去にFXで100万円の借金と、貯金150万円をなくしたことがあります。現在もストレスがたまると、つい買い物をし過ぎてしまいます。

●趣味と言えるのがスポーツ観戦で、コロナ前は年1~3回地方へ観戦に出かけていました。地方遠征となると1回の費用はチケット代・交通費・宿泊代・食事代で5万~10万円かかるため、観戦・その他旅行費用として毎年ボーナスから別途貯金をしており、現在合わせて50万円ほど残高があります。   

●以前仕事が激務でうつ病になり、働けない期間がありました。現在の仕事にかわってからは体調もずっと安定していましたが、ストレスが増え軽度に再発しました。通院治療を続けながら仕事しており、悪化はしていませんが、更年期も近いことや、年々ストレスに弱くなってきているのを感じており、今の仕事をこのまま定年まで続けられるかどうかという不安と、会社自体がコロナの影響で業績が急速に悪化しており、果たしてこのまま雇用が維持されるかどうかも不安があります。それでも今の職場は通いやすく、給料にもそれなりに満足しており、条件的にはこれ以上の勤務先は見つからないだろうとも思っています。

●勤務先に退職金制度はありますが、金額的には少なく、ほぼないものと考えております。できれば60歳で定年退職できればよいのですが、現状無理だと思うので、65歳までは再雇用制度でなんとか今の仕事を続けられればと思っています。現時点で65歳からの年金額試算では11万5000円ですが、受取りを70歳まで繰り下げることを検討していて、65~70歳までを貯金で賄いたいと考えています。

■家計収支データ
相談者「にゃんとも笑顔」さんの家計収支データ

相談者「にゃんとも笑顔」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
昨年実績25万円(手取り)  
内訳:貯金10万円、積立定期預金10万円、生活費補てん5万円  

(2)家計収支について
毎月の収支のマイナスはボーナスから補てんすることがあります。
 
(3)住居費について
食費、光熱費として家に入れています。
 
(4)加入保険について
1. 終身年金(60歳払込、60歳時解約返戻金465万円)=毎月の保険料1万5000円
 ※払込終了後、年金受け取りにする予定
2. 個人年金(60歳払込、5年確定年金、年額50万円)=毎月の保険料1万円
3. 個人年金(65歳払込、10年確定年金、年額52万円)=毎月の保険料1万5000円
※その他、親が掛けてくれている入院保険・がん保険あり(日額5000円/がん一時金100万円)

 
(5)その他
●雑費4万円の内訳
医療費1万円、猫費用5000円、猫の医療費積み立て5000円、ふるさと納税積み立て5000円、電化製品・携帯買換え費用積み立て1万5000円
●趣味・娯楽費5万円の内訳
美容院1万円、コスメ代5000円、洋服代2万5000円、旅行・趣味代積み立て1万円
※友人との食事代や贈り物などの交際費がある場合はこちらから支出しています。
 
(6)退職金、仕事について
60歳まで勤めた場合、100万円程度はもらえるかと思います。現在、月給はコロナ前と変わっていませんが、ボーナス分が減ってしまったため副業を探すことも考えていますが、仕事が見つかるかどうかもわからず、新しいことに踏み出す恐怖もあって躊躇しています。
 
(7)ご家族について
両親は年金のみで暮らしており、決してぜいたくな暮らしではありませんが、現在は生活に困っているということはないと思います。この先どちらかの介護が必要になった場合、介護施設入居など家を売却することも検討せざるを得ないかもしれません。金融資産などは特になく、自宅のみです。リバースモーゲージでの借入額は1400万円のみで、利息分を含めて毎月弟から12万円を直接振り込み返済されています。借入上限額は把握していませんが、父の話ではもっと借りることもできたと聞いております。現在まで返済が滞ったことはありませんが、ここ2年ほどは教育費のため繰り上げ返済はできていないようです。上の子は就職し下の子が現在大学生です。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 趣味を楽しみながら、10年先のために貯蓄を頑張る
アドバイス2 65歳までは収支トントンになるような働き方を
アドバイス3 実家に住み続けることを念頭に親、弟と話し合いを
 

アドバイス1 趣味を楽しみながら、10年先のために貯蓄を頑張る

ご家庭のご事情はわかりました。ご実家の抵当が外れるまでは、建て替えは難しいでしょう。現状維持で同居を続けられるのがよいと思われます。中古マンションを購入するよりも、ご自身の貯蓄を増やすことが優先です。毎月貯蓄がしっかりできていますので、趣味を楽しむためにも、今一度、収支を整理して、ご自身の老後資金をどのくらい準備できるのか把握しておくようにしましょう。
 
ご相談者がストレスをためずに健康で過ごせるのは、趣味があるからでしょう。その趣味にかかるお金はこれまでどおりで構いませんが、年間の上限は決めるようにしましょう。現在、趣味娯楽費と雑費で毎月9万円、年間で108万円です。これにボーナスからの支出を加えて年間120万円。これを上限と考えてみてはいかがでしょう。それ以外の毎月の支出は現状維持で大丈夫です。ただし、ボーナスで毎月の生活費を補てんするのは好ましくありません。その分だけは毎月の支出を整理してみてください。
 
毎月8万3000円の貯蓄とボーナスから10万円程度の貯蓄ができれば、年間で110万円貯めることができます。60歳になるまでの13年間で1430万円です。これに、現在の貯蓄430万円、投資330万円を加えると2190万円です。さらに退職金100万円を加えれば2290万円となり、これが老後資金のベースとなります。
 
趣味を楽しみながら、ここまで貯められたら、ひとまず安心できるのではないでしょうか? 無理をして副業をしなくても、しっかりと家計管理をして貯蓄を増やせるよう頑張ってください。ストレスで買い物に走ってしまっては元も子もありませんから。
 

アドバイス2 65歳までは収支トントンになるような働き方を

65歳まで再雇用制度があり、仕事が続けられるのであれば、給料が今より減ってしまっても続けてください。収入が減り、貯蓄はできなくなるかもしれませんが、収支トントンの生活ができればいいでしょう。60歳から65歳まで個人年金があり、年間50万円受け取れます。収支がトントンであれば、まるまる貯蓄に回すことができ、5年間で250万円を老後資金に上乗せでき、都合2540万円になります。
 
また、終身年金は60歳で払込み終了し、年金で受け取るとのことですが、もし解約すれば返戻金465万円が受け取れますから、65歳時点では約3000万円を老後資金として残せる計算になります。
 
65歳からは、公的年金と個人年金で年間約190万円の収入に対して、支出は保険料の払込みがなくなり月15万円程度になると年間で180万円です。65歳からも計算上は収支トントンで生活できるでしょう。
 
ただ、趣味にどれぐらい使うかにもよりますし、この頃には実家の固定費などの負担もあるでしょう。ある程度、貯蓄からの取り崩しはやむを得ません。ですが、現時点での試算では、公的年金を70歳に繰り下げる必要はなく、老後に金銭的に困ることは基本的にはないでしょう。
 

アドバイス3 実家に住み続けることを念頭に親、弟と話し合いを

ここまでは、ご実家に住み続けることを前提に話を進めてきましたが、借入額1400万円の返済が滞りなく続けられるかが懸念材料になります。弟さんに確実に完済してもらうことが何よりも重要ですが、完済したあと、ご実家をどうするかも話し合いをされておくといいでしょう。
 
万一、ご両親に今後介護が必要になり、施設入居された場合、ご両親の年金などで賄えればいいですが、不足した場合、ご実家の売却なども視野に入れなければならないかもしれません。また建て替えは無理でもバリアフリーなどの修繕・リフォーム工事は必要になるかもしれません。こうした費用について、どのように負担するのか、また実家の相続はどう考えるのかで、ご相談者の住まい方も変わってくるでしょう。実家を売却すれば、家賃負担が発生し、貯蓄からの取り崩しが多くなってしまいます。相続時にご両親に金融資産があまりなく、実家のみとなると、相続でトラブルに発展しかねません。
 
ご相談者は、将来的なこともお考えになっておられるようですので、できれば親御さんを交えて、弟さんと十分に話し合いをされておかれるといいでしょう。
 
保険については、個人年金を一括で払込みをしても大丈夫ですし、このまま払い続けてもいいです。どちらでも老後資金に大きな影響はありません。一括で払込みをした場合、毎月の保険料支払いはなくなりますが、その分は貯蓄に回すなど支出の管理はなさってください。また、医療保険に新規で加入する必要はありません。何かあれば貯蓄で対応できます。
 
貯蓄と投資のバランスについては、やや投資の比率が大きいように思います。iDeCoとつみたてNISAはこのまま継続し、積み立てを中止している投資については、頃合いをみて売却してもいいでしょう。流動性のある預貯金の割合を増やしておくことも大切です。
 
一人でいろいろと考えないといけなく、大変なお気持ちになるかもしれませんが、悩みを抱え込まず、ご家族で話し合われてくださいね。にゃんとも笑顔さんご自身は、できるだけストレスをためずに、長く働けるように健康第一で過ごしてください。
 

相談者「にゃんとも笑顔」さんから寄せられた感想

深野先生からのアドバイス、じっくり読ませていただきました。まずは自分の現在の方向性が大きく間違っていることはないということがわかり、そのことに大変ホッとする思いがいたしました。 一人で考えているとどうしても不安のほうが大きくなり、何から手を付けてよいのかもわからなくなってしまっていたところ、もっといろいろと厳しいご指摘を受けることも覚悟しておりましたが、深野先生の冷静・的確でありながら、温かく親身なアドバイスをいただけたことで、漠然とした不安が一つ解消され、将来に向けてこれまでより前向きな気持ちで取り組んでいけそうな気がしております。思い切って相談させていただいて本当によかったなと思いました。今後は先生にいただいたアドバイスに従って、まずは現状の貯蓄ペースを維持すること、マイナス分について早急に支出の見直しをすること、また、両親・弟ともなるべく早いうちに今後についての話し合いの機会を持てるようにしたいと思います。そしてできるだけ長く働けるよう、これからもストレスや健康に気を付けながら頑張っていきたいと思います。この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。深野先生もどうかお体に気を付けて、さらなるご活躍をお祈り申し上げます。



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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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