「末端ではなく先端」自治体の先進事例がまるわかり

こちらの 『LGBT差別禁止の法制度って何だろう?』も、2016年に発売された本。LGBT差別禁止法の必要性について解説しているのはもちろん、2015年以降、渋谷区などの地方自治体が先進的に実施してきた取組みにフォーカスし、LGBTの人権問題を議会や自治体で取り上げていただく際に参考になるような決定版的な一冊となっています。

第1章「LGBT差別禁止法とは」、第2章「LGBTを生きる」という2つの章で、LGBT法連合会が設立された経緯、同会が作成した「性的指向および性自認を理由とする私たちが社会で直面する困難のリスト」(通称「困難リスト」)や、「性的指向および性自認等による差別の解消、ならびに差別を受けた者への支援のための法律」に対する私たちの考え方」(通称「市民案」)について、説明されています。なぜ差別禁止法が必要なのか、これを読んでいただければ、ご理解いただけると思います。

そして、第3章「自治体から始めよう」では、国の法制度に先立って地方自治体が実施し、「困難リスト」の解消に貢献してきた取り組みのことが、詳しくまとめられています。東京都・多摩市長(あまり知られていませんが、多摩市はいち早く条例に「性的指向および性自認」を盛り込み、LGBT支援の姿勢を明確にした市です)、世田谷区長、渋谷区長、兵庫県宝塚市長という4名の現職の首長へのインタビューをはじめ、10自治体の先進的施策が紹介されています。

自治体の話って、自分が住んでない地域だと関係ないように感じたり、地味に見えたりもするかもしれませんが、「地方は末端ではなく、先端である」という言葉の通り、2015年以降、渋谷区という一自治体の先進的な取組みが世論に影響を与え、メディアや国会で議論されたり、企業がLGBTのために動くようになったりということが現に起こっているわけですから、決して小さな話ではありません。

なんとなくカタくて難しそうな印象を受けるかもしれませんが、本の装丁もとても読みやすく仕上げられていますし、一般の方にもわかりやすい内容になっています。興味のある方はぜひ、読んでみてください。