マネジメント/マネジメントの基礎知識

2017年「働き方改革」振り返りと来年の展望(2ページ目)

オールアバウトが2013年より実施しているアワード企画「国民の決断2017」、キャリア部門および総合ランキングの1位に「働き方改革」を受けた「定時に帰る決断」が選ばれました。オールアバウトが行ったインターネットリサーチでは「働き方改革」という言葉の認知度は8割強におよび、うち約9割が「働き方改革」という言葉を好意的に捉えています。

大塚 万紀子

執筆者:大塚 万紀子

マネジメントガイド

働き方改革、2018年はどう動く?

こうした企業の動きをさらに加速するべく、2018年春、国・政府も大きく動くのではないかと注目されています。具体的には、労働政策審議会で2017年3月にまとめた「実行計画」に基づく労働基準法の改正が行われるのではないか、と目されているのです。

これまで、労働時間の上限は実質的にありませんでした。これが、法律改正となれば「月間100時間以内」という規制に加え、「2~6か月平均80時間以内」といった労働時間の上限が定められることになります。ここでは、よく「毎月100時間以内なら残業できる」と誤解している方を見かけますが、この変更はそういった内容ではありません。

たとえば、ある社員が「10月」に「99時間」残業しなくてならない場合をみてみましょう。
労働基準法改正案の特別条項上限

労働基準法改正案の特別条項上限


前月(9月)と翌月(11月)は61時間以下にしなければ2か月の平均が80時間以内となりません。つまり、繁忙期の前後を含め、あらかじめ労働時間の計画を立てておく必要が生まれるのです。

また、「100時間以内ならばよい」というものでもありません。長すぎる上限の申請は「働き方改革に真剣に取り組んでいない表れ」とされ、ブラック企業として人材獲得の面で大きな不利益となることでしょう。長くとも60~70時間以内の申請が基準となるでしょう。

こうした国の変化を受け、2018年には企業もより一層働き方改革に真剣に取り組むようになるはずです。結果、今まで仕事が踏み込んでいたプライベートの時間が従業員の手に戻り、その時間で自己研さんや心身の管理、育児や介護を筆頭にした家庭生活の充実を図る人が増えるでしょう。

「イクメン」も話題になっていますが、ことさらに強調せずとも、男性の育児参画が普通のことになる日も近いかもしれません。

2018年、変化に向けて私たちが準備すべきこと

2018年、働き方改革が加速する

2018年、働き方改革が加速する

2017年の動きを受けて、2018年、私たちは働き方改革をどのようにとらえ、準備をしておくとよいのでしょうか。

2017年が「働き方改革に注目が集まった年」だとしたら、2018年は「働き方改革が加速する年」になるでしょう。

2017年までは業界で「働き方改革をしている企業」は「少し進んでいる企業」だったかもしれません。ところが、2018年になると「働き方改革をすることは当たり前」で「どのような変化を出したか」で競い合うことが予想されます。

他社にはない自社の強みを分析し、その強みをより活かせる働き方の実現に向けての議論が加速するでしょう。また、オリンピックイヤー(2020年)に向けて、ダイバーシティというキーワードにもさらに注目が集まることが予想されます。多様性を力に変えるためにどのようなチームを作り、イノベーションを起こしていくのか。こうした流れに乗り遅れないよう、働き方改革を行うための「時間」をしっかり確保できた企業が頭角を現すでしょう。

たとえば、
・働き方改革に関する対話をチームの中で行ってみる(2週間に一度、30分程度が理想)
・「今少しやりにくいな」と思っている仕事を列挙し、やりやすい方法にするために何ができるかみんなで考える
などの取り組みが第一歩としておすすめです。

大きな変化は、小さな一歩から生まれます。特にマネジメント層の皆さんは「働き方改革」を担う中心的な存在です。変化を恐れることなく、楽しんで取り組んでくださいね!


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