お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

39歳貯金450万。3500万円の住宅ローンを組んで後悔しています【アニメ動画でも解説】(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、3人のお子さんを持ち、将来が不安な30代の女性に、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 今は現状維持を優先させる家計管理を

現状の家計について、アイスさんも「身の丈に合わない買い物だったと思います」と言われていますが、住宅購入が大きな負担になっていることは確かです。しかし、たとえ住宅を手放しても、高い確率で住宅ローンは残ります。どちらかのご実家に家族全員で引っ越すことができれば話は別ですが、新たに賃貸に住むのであれば、得策ではありません。したがって、現在の住宅ローンを返済しながら、今後のマネープランを考えていくことになります。

まず、家計を見てみますと、児童手当以外は毎月貯蓄に回っていませんが、保険のうち、ご主人の終身保険は学資保険代わりとのこと。また、奥様の養老保険も合わせて、貯蓄が目的ですから、これら保険料、月5万7000円は「貯蓄している」のと同じです。その意味で「貯蓄できていない」と悲観することはありません。また、家計支出の各費目を見る限り、なかなか大きく削ることは難しいかもしれません。状況を見ても「もっとも貯めにくい時期」です。むしろ、よく家計管理をしていると考えていいのではないでしょうか。

もちろん、節約も必要でしょうが、それよりも今大事なことは現状維持。これ以上支出を増やさず、確実に児童手当とボーナスからも貯蓄をしていく、そのことを心掛けてください。

今後の貯蓄ペースですが、お子さん3人分の児童手当を全額貯蓄できれば約650万円となります。それ以外、ボーナスから50万円できるとすれば、ご主人が定年となる60歳までの18年間で900万円。その間、ご主人の終身保険の解約返戻金が1000万円、アイスさんの養老保の満期金が100万円。今ある貯蓄が300万円(児童手当を積み立てている貯蓄162万円を除く)。これで計2950万円。

マネープランにおいて最優先すべきは教育資金ですが、高校まで公立とすれば事前に用意すべきは大学費用となります。大学にかかる費用は私立文系なら4年間で平均390万円、理系なら520万円。3人とも私立理系とすると約1600万円。先の2950万円からそれを差し引くと、まだ1350万円残ります。したがって、教育費は十分確保できると考えられます。
 

アドバイス2 老後資金は用意できるが住宅ローンがネック

先の貯蓄額の試算は、現状のまま収支が推移した場合ですが、実際はいろいろと変化するはずです。

まず、お子さんが小学校に上がれば学校にかかる教育費は今の半分程度に下がります。ただし、塾に通うなど学校外教育費は今より発生しそうですから、トータルで今と変わらないかもしれません。一方、アイスさんが2年半後にフルタイム勤務となり、毎月4万5000円、ボーナスで5万円収入アップが見込めるとのこと。年間59万円のアップですが、このうち50万円貯蓄に回れば、15年間で750万円。さらに、ご主人の終身保険の保険料の支払いが、52歳以降なくなります。この浮いた分も貯蓄に回すことができれば、60歳までの8年間で480万円。これらも加算すると、60歳の時点で2580万円、手元に残ることになります。これが老後資金です。

しかし、問題があります。住宅ローンの支払いです。完済がご主人77歳のとき。60歳以降の生活費はお子さんの独立や教育費がなくなるなどで、今よりはグッと下がりますが、それでも月25万~27万円(固定資産税や年間の不定期支出、社会保険料なども加算)くらいにはなりそうです。公的年金支給となる65歳までの5年間で1600万円ほど。これだけで老後資金の半分以上が減り、65歳の時点で手元に1000万円しか残りません。

公的年金の支給額は不明ですが、標準的な年金額として月額約22万円(※)とすると、月5万円不足します。77歳までの12年間で720万円。結果、この時点で残りの老後資金は300万円を切ってしまいます。住宅ローン完済後は公的年金だけで生活費をカバーできたとしても、やはり不安はあります。長生きリスクや、住宅のリフォーム、介護費用などにも備える必要があるからです。
 

アドバイス3 夫婦とも長く働くことが有効な老後対策

対策として、住宅ローンの繰上返済があります。できれば1、2回はしたいところですが、慌てるべきではありません。無理に返済をして、手持ち資金がなくなることは避けたいからです。少なくとも、終身保険の支払いが終わる=教育資金のめどが立つ52歳まではすべきではないでしょう。ちなみに、60歳のときに300万円を繰上返済に充てるとすると、返済期間は3年短縮され、支払利息は33万円ほど軽減されます(金利は変わらないとして計算)。

もうひとつの対策が、夫婦とも60歳以降も働くということ。アルバイトでもパートでも構いません。2人で手取り月15万円の収入なら5年間で900万円、10年間なら1800万円が先の老後資金に上乗せできます。そうなれば、住宅ローンを返済しながらでも、資金的に大きく困ることはないはずです。

そのためには、夫婦とも心身が健康でなくてはなりません。下のお子さんはまだ1歳。まだまだ長く働くのですから、今から健康には十分留意してください。そして、どうしても節約や貯蓄が生活の中で優先されるでしょうが、それだけの毎日では息が詰まります。アイスさんも3人のお子さんの育児に家事、さらに働くのは大変なこと。したがって、ときに息抜きも必要です。家族で旅行をしたり、外食をしたり。ストレスや疲れを上手に解消する。事前に無理のない予算を組めば、その範囲内は将来のための「必要経費」なのです。

最後に、ご主人が言われる奨学金利用は、個人的にはオススメしません。社会に出る前から大きな負債を背負うことは、子どもにとっては大変な負担です。安易に決める事項ではありません。住宅ローンの親子ローンも同様です。家計管理と長く働く。これを実践できれば、今抱えている不安は解消されると思います。

(※)厚生労働省発表/平成29年度「年金額改訂について」/夫・平均的収入で40年間就業し、妻が専業主婦だった場合
 

相談者「アイス」さんより寄せられた感想

今後の生活を考えると不安しかなかったのですが、今後のマネープランを具体的な金額で知れたことで気持ちが楽になりました。これからも節約貯蓄を心がけて、夫婦揃って元気に働き続けられるように頑張ります。今後は予算内で家族旅行や外食も楽しみたいです。自分達が元気で働くための必要経費と思えば、思い切って使うことができそうです。相談に乗っていただき本当にありがとうございました!


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武



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