エンジンオイルのスペシャリスト、ワコーズに取材
一口にエンジンオイルといっても種類も豊富で、用途に応じた沢山のオイルが販売されています。そこで重要になってくるのが、自分の車に合ったオイルを使用することです。オイル交換は、距離や期間を基準に定期的におこなっていると思います。メーカー指定のオイル交換の基準もあるので、それに従っているという方も多いでしょう。ですが、車の使用年数を経るにつれて、一筋縄ではいかなくなるのがオイルの面白いところでもあります。
読者の皆さんにオイルに関する正しい情報を伝えるべく、オイルメーカーのワコーズに取材をしてきました。
<目次>
- エンジンオイルの数値の見方
- エンジンオイルの品質表示
- エンジンオイル(ベースオイル)の種類
- 車に合ったエンジンオイルを使用したときの効果
- エンジンオイルのおすすめの選び方
- 車にあった商品を使ってケアすることが大切
エンジンオイルの数値の見方
エンジンオイルはたとえば『10W-40』といった形式で粘度グレードが表示されています。数字が大きいほど、粘度が高い(堅い)オイルになります。また、エンジンオイルは、温度が高くなるにつれて、柔らかくなります。『W』の前の数字は、低温始動性に関する粘度グレードを表しています。つまり、氷点下のような寒冷地における始動性に関わります。後ろの数字は100度の動粘度で規定する粘度グレードを表しています。つまり、エンジンを動かしているとき(走行中)のオイルの粘度です。氷点下20~30度で運転するような寒冷地域の方以外、『W』の前の数字はあまり気にしなくても良いでしょう。
エンジンオイルの品質表示
販売されているエンジンオイルの容器には『品質・性能のグレード』が表記されており、『API規格』が用いられることが一般的です。当初はSAから始まりましたが、今はほとんどがSH以上でSNが最高グレードとなります。また、近年は省燃費性能も定めた『ILSAC規格』が採用されていることが多く、GF-1からGF-5の5グレードがSH以上の規格に併記する形で設定されています。ディーゼルエンジン用にはJASO規格が使われることが多く、大型ディーゼル用のDH-2、乗用ディーゼル用のDL-1には省燃費性が規定され、これらのディーゼル油はDPFの目詰まり対策も評価基準となっています。エンジンオイル(ベースオイル)の種類
エンジンオイルは、ベースオイルに数種類の添加剤を混ぜて作られています。エンジンオイルのベースオイルはグループ1~5の5段階に分けられますが、大きくは『鉱物油』『化学合成油』『石油化学以外のもの』の3種類に分けられます。
原油を蒸留して精製されたベースオイルに添加剤を配合したエンジンオイルオイルです。化学合成油に比べて値段が安いのが特徴です。
■化学合成油
精製の技術が上がった現代では、エンジンオイルは、ほぼ化学合成油で出来ています。鉱物油に比べて、耐熱性や酸化安定性が高いのが特徴です。化学合成油と鉱物油を混ぜて使うことが多いのですが、両者の割合を変えることで品質も変わってきます。
■石油化学以外のもの
植物油など、石油以外のもので出来たオイルです。
車に合ったエンジンオイルを使用したときの効果
オイルは、取り扱い説明書に記載されている『粘度グレード』に合わせたものを選ぶのが基本です。ちなみに、オイルの粘度は、通常走行時を基準に作られています。ですが、ごく稀に例外もあります。エンジンのコンディションや運転の好みによって、取り扱い説明書に記載されている『粘度グレード』以外のオイルを選ぶこともあります。また、車も人間と同じで歳を取ります。永久に新車の時のように走行できるわけではありません。その時の車の状態に合わせてエンジンオイルの粘度を替えるというのも選択肢の1つになってきます。車に合ったオイルを使用すると燃費向上やエンジンにかかる負担を和らげるなど、スムーズな走行を楽しむことができます。
エンジンオイルのおすすめの選び方
取り扱い説明書に記載されている『粘度グレード』に合わせたものを選ぶのが基本ですが、車のコンディションや、運転する環境でオイルを選ぶのがベストです。いくつかの例と共に、おすすめのワコーズ製品を紹介します。■PRP-S プロステージS
アイドリングや、渋滞時の発進・停車が続く状況で運転をする方に最適です。主に街乗りや、一般道を多く走行される方は本品を選ぶことをオススメします。 次世代ベースオイル技術である3Dテクノロジーと定評あるリキッドセラミックステクノロジー(LCT)がシンクロし、快適な走行フィーリング・レスポンス性能と耐熱ダレ性能を両立した4サイクルストリートスペックエンジンオイルです。
2輪車の規格であるJASO規格にも適合。2輪・4輪問わず、小排気量エンジンから大排気量エンジン、ターボ車まで幅広く対応する製品です。
■4CR-SR フォーシーアールSR
サーキットなど、プロのレーサーが使うオイルも一般向けに販売されています。プライベートでレースを楽しむ方などには、こういったオイルもあります。 LEXUS TEAM LEMANS WAKO'S と共に過酷なサーキットの現場で鍛え上げ、実績を積んだエンジンオイルをそのまま市販化。第二世代のSynergy FMテクノロジーを採用し、高温下でも油膜を保持しながらフリクションロスを抑え、エンジンの力を最大限引き出します。
■TR トリプルアール
アクセルを踏んだ時のエンジン反応など『レスポンス性能』と、高温時でも粘度が一定に保たれる『耐熱ダレ性能』を実現したオイルです。特に、高速道路・サーキットなどで走行することが多い方にオススメです。 レースにも対応した、高性能エンジンオイルです。特長は、元来、相反するとされていたレスポンス性能と耐熱ダレ性能を両立したところです。快適な走行フィーリングを実現しており、一般道からサーキットまで全ての路面で高い性能を誇ります。
■4CR フォーシーアール
私はよくオフロードを走行するのですが、本製品を使用しています!
「究極のローフリクション」を目指し、開発された4サイクルエンジンオイルです。 レスポンス性能・耐荷重性・耐摩耗性・清浄性能のどれをとっても最高レベルの性能を発揮します。
■4CT-S フォーシーティーS
国産車のみならず、欧州車・米国車など、輸入車の規格にも対応したオイルです。輸入車に乗車している方は必見です。
API、ACEAをはじめとする各種規格や、車メーカー(フォルクスワーゲン、BMW、メルセデス、ポルシェ)の認証を取得しています。国産車、欧州車、米国車など、様々な車両で安心して使えるオイルで、2輪車でも使用できます。
自分の車に合ったオイルはありましたか?こまめにエンジンオイルを替えることで、快適なカーライフを楽しみましょう!
車にあった商品を使ってケアすることが大切
オイル交換は自分でも出来るメンテナンスでもありますし、調べると様々な情報が出てきます。オイルだけに限ったことではありませんが、より使いやすく品質改良されているので、今までの知識が正しいとは限りません。また、種類も豊富なので自分の車に合ったものを見つけるのは難しいと思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、自分の車の症状を一番近くで見てあげられるのは乗っている本人です。しっかりケアしてあげてくださいね!
【関連サイト】
株式会社和光ケミカル
【関連記事】