クーラント液はオーバーヒートを防ぐ欠かせない冷却水
車に乗ってない方も「オーバーヒート」という言葉を1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?今回は、そのオーバーヒートを防ぐのに欠かせない冷却水についてご紹介していきます。一般的には、冷却水には「クーラント液」が使われています。「クーラント液」は「ラジエーター液」「不凍液」「LLC(ロング・ライフ・クーラント)」などとも呼ばれています。今回の記事では「クーラント液」と記載します。 冷却水には真水ではなく、不凍液の一種であるクーラント液が使われるのが一般的です。真水だと、寒い所に車を停めた場合、水が凍って氷になり体積が膨張することによって、冷却水(水)の入ったラジエーターが破裂する恐れがあるからです。またエンジンは金属でできているので、真水だと錆びてしまう可能性もあることから、冷却水にはクーラント液のような、気温が低くても凍らず、金属が錆びにくい液体が使用されています。
<クーラント液の補充・交換・点検方法 目次>
- クーラント液が減るとオーバーヒートを起こす
- クーラント液の種類
- クーラント液(冷却水)の交換時期の目安
- クーラント液(冷却水)の量の確認方法
- クーラント液(冷却水)の補充/交換に必要な道具の紹介
- クーラント液(冷却水)の抜き方
- クーラント液(冷却水)の補充のやり方
- ラジエーターの汚れもチェック
クーラント液が減るとオーバーヒートを起こす
エンジンは燃焼やエンジン内各部の摩擦により熱が生じます。その熱を冷ましてあげるのがクーラント液の役割です。クーラント液はエンジン内部を循環し、発生した熱を吸収し、ラジエーターで放熱してエンジンの温度を適正に保っているのです。 このような働きをするクーラント液は「減る」し、「使用期間があって劣化」します。そのクーラント液が減ってくると熱を吸収、放熱する容量能力が不足しオーバーヒートを起こします。オーバーヒート初期はアクセルのレスポンスが悪くなったり、エンジンの回転が不安定になるといった症状が出てきますが、オーバーヒートした状態が続くと、最悪の場合、熱によりエンジンの部品が歪んだり、焼きつきを起こしたりと重大な破損を発生する事があります。オーバーヒートを防ぐために、日頃からクーラント液の量をチェックすることをオススメします。
クーラント液の種類
クーラント液には、原液と補充液の2種類があります。■原液タイプ 原液を、水で薄めて使用します。 自分で、水道水と原液の割合を調整しながら希釈していきます。画像のように、容器に希釈の割合が記載されています。原液の濃度を濃くするほど、クーラント液が凍る温度も低くなります。寒い地域で運転することが多い人は、商品の指示に基づいて、希釈する水の割合を少なくするのがベストです。自分の運転する環境に合わせて、クーラント液の濃さを調整できるのが魅力です。水で希釈せず、原液のまま使用してしまうのは避けましょう。薄めずに使用してしまうと、冷却効果が弱くなるのでエンジンの熱を冷ませずオーバーヒートの原因にもなります。 ちなみに、車種によってラジエーター容量が違うので、必要なクーラント液の量が変わります。
■補充液タイプ 希釈しなくてもそのまま使える調合済みのクーラント液もあります。ただ入れるだけなので、簡単で手間もかかりません。クーラント液の量が少し足りないなど、少量を補充するときにも便利です。
もしクーラントの濃度を調整するときに分からないことがあれば、ガソリンスタンドでも確認できるので、気になる方は聞いてみるのもいいですよ!
クーラント液(冷却水)の交換時期の目安
クーラント液の交換時期は、製品によって違います。2年で交換と記載されているもの4年で交換と記載されているものもあります。使用しているクーラント液はどうなのか、しっかり確認しましょう。また、運転する環境や、乗車頻度によっても違ってくるのでご注意を。明らかに、クーラントが濁っているなど不具合がある場合はすぐに交換する必要があります。クーラント液(冷却水)の量の確認方法
注意:作業の時は必ずエンジンを切りましょう。 クーラント液の量は、ボンネットの中のリザーバータンクを見ておこないます。側面に表示されている上下のライン(FULLとLOW)間に液面があれば、液量は規定量入っているということになります。 リザーバータンクは画像の印の付いた所にあります。クーラント液(冷却水)の補充/交換に必要な道具の紹介
■クーラント液
交換の際は、多量のクーラント液を使うので薄めて使う事のできる原液タイプを使用しました。
■水道水
ラジエーター液(原液)を薄める時に使用します。
■バケツ
クーラント液を受け止める容器として使います。クーラント液は、商品の指示・お住まいの地域のルールに従って廃棄して下さい。ガソリンスタンドに引き取ってもらえる場合もあります。
■ジョッキ
原液を希釈するために使います。 画像のように目盛の付いたジョッキを購入すると希釈が楽になります。
■タオルなどの布
ラジエーターキャップを外すときにあてたり、こぼれてしまったクーラント液を拭き取る時に使用します。雑巾や、使い終わったタオル等で構いません。
クーラント液(冷却水)の抜き方
クーラント液が減り、同じ種類のものを補充する場合は継ぎ足すだけで大丈夫です。しかし、違う種類のものを使用する場合やクーラント液が濁っている場合は今入っているクーラント液を抜きとる必要があります。 クーラント液はドレンプラグから排出します。ラジエーターの下部にセットされているリザーバータンクにドレンプラグが設置されています。 ラジエーターは車のフロント部分に取り付けられています。車種によって違うので、車の取扱説明書をよく確認しましょう。 まず、ラジエーターキャップを外します。この時ラジエーターの温度が充分下がっているかどうかを確認してください。高温時にラジエーターキャップを開けると熱いクーラント液が噴き出す可能性があり危険です。充分冷えているのを確認し、念のためラジエーターキャップに厚めのウエスなどを当てて回し、取り外してください。次に、ドレンプラグを徐々に緩めていきます。ドレンプラグを緩めると、排出口からクーラント液が排出されるので、あらかじめバケツをセットしておきましょう。 様子を見ながらゆっくり緩めて下さい。手に付着するのが嫌な方はゴム手袋などをしましょう。クーラント液が完全に抜けきったら完了です。 抜けきったら、ドレンプラグを締めます。そのあと、細かい配管などの冷却経路を洗浄するためにラジエーター注入口に、いっぱいになるまで水道水を入れます。 入れ終えたら、ラジエーターキャップを締めてエンジンをかけて※アイドリングし、水を循環させます。注意点として、この作業を行う時は必ずヒーター(暖房) を付けましょう。クーラント液は、ヒーターコア内にも流れています。その冷却経路も洗浄するためです。
※ハイブリッド車の場合、アイドリングストップ機能が有効だとアイドリングができない場合があります。アイドリングストップをオフにするボタンがあるので、オフにしてエンジンをアイドリングしましょう。
10分くらいアイドリングさせ、先程クーラント液を抜いたのと同じやり方で水を抜きます。水の色が透明になるまで数回繰り返します。
クーラント液(冷却水)の補充のやり方
洗浄が終わったら、クーラント液を入れます。今回は原液を使用するので、希釈したい濃度に合わせてクーラント液の量・水の量を調節します。例えば、10リットルのクーラント液が必要だとします。50%に希釈する場合だったら、クーラント液(原液)を5リットル、水を5リットルをジョッキに入れて下さい。クーラント液と水を混ざりやすくするためにクーラント液から入れるのがポイントです。 ラジエーターキャップを外したままエンジンをかけると画像のように渦ができます。 ブクブクと空気が出てきたのを確認したらラジエーターキャップを閉め10分位アイドリングさせます。そのあと、エンジンを切りクーラント液を、完全に冷まします。目安として、クーラント液が完全に冷えるまで、気温が低い冬なら3時間、夏場なら半日くらいかかります。 この作業を行うと、細かい配管に入っていた空気が抜け、クーラント液の量が減るので、減った分をリザーバータンクの注入口から補充してください。この作業を3回繰り返してください。エンジンをかけクーラント液を温め、冷ますことを繰り返すことによって、空気を完全に抜ききるためです。手間のかかる作業ですが、空気を抜ききり、クーラント液を適正量にしなければオーバーヒートすることがあるのでしっかり行いましょう。念のため交換した後、少し走らせ再度クーラント液の量を確認することをオススメします。
ラジエーターの汚れもチェック
わたしはランドクルーザーに乗っています。ときどきオフロードを走ったりするのですが、走行後には必ずラジエーターが泥で汚れていないかチェックします。クーラント液の不足のほかにラジエーターの汚れで正常にクーラント液が冷却されないことがあるからです。みなさんも、日常点検を忘れないでくださいね!【関連記事】