筋肉痛の原因・メカニズム……筋収縮による筋線維の傷み修復
久しぶりに運動したり、激しく動くと筋肉痛は強くあらわれる
普段使わない筋肉を使ったり、何度も同じ動作を繰り返したりすることで、筋線維が傷んで炎症を起こし、これを修復するための過程で痛みが発症すると考えられています。
こうした過程を経て筋線維は太く強く再生されるため、身体づくりのために行うトレーニングにおいて、筋肉痛は避けては通れないものであるとも言えるでしょう。
「年齢が原因で筋肉痛が遅く出る」は本当か
筋肉痛は年齢に関係なく起こり、筋線維を修復するために必要なプロセス
年齢とともに身体を動かす機会が減ってしまいがちであり、久しぶりに運動強度の強いものを行うことで、時間をおいて筋肉痛が出てくることも考えられます。
また、筋肉を構成する筋線維そのものには痛みを感じる神経がありません。痛みは筋線維が傷つき、炎症が広がって痛みを引き起こす神経伝達物質が筋膜に届いてから感じるため、時間差があると考えられています。日頃から運動習慣がある人の筋肉は毛細血管がよく発達しているため、血液循環によって必要な酸素や栄養素を取り込み、痛みを発する物質を排出する能力も高くなるのですが、あまり運動をしていない人の筋肉は毛細血管の働きも不十分であり、筋線維の修復や痛み物質の除去にも時間がかかるため、筋肉痛の出現も遅れてしまいます。年齢によるものというよりは運動習慣の有無や運動強度による影響が大きいと考えられます。
筋肉痛が起きやすいのは伸張性(エキセントリック)運動
登山では上りよりも、下り坂をおりるときの方が足に大きな負担がかかり筋肉痛になりやすい
■筋肉を縮めながら力を発揮する短縮性(コンセントリック)運動
- 重い荷物をもちあげる
- 階段を上る
- ダンベルなどを持って力こぶを作る(アームカール)
- 登山での登り
- 重い荷物を下ろす
- 階段を下りる
- 綱引きで腕を伸ばしながら耐える
- 懸垂で体重の重みを支えながら徐々に腕を伸ばしていく
- 下り坂を駆け下りる など
- 腕相撲
- 腕立て伏せの状態をキープ
- 体幹を保持するスタビリティトレーニング など
筋肉痛からの回復法……効果的な食事とクールダウンのコツ
筋肉痛を軽減させるためにはタンパク質を補給することも大切
■運動後の食事は肉・魚・卵・豆類などタンパク質を多く摂る
傷ついた筋線維を修復するためには筋肉のもととなるタンパク質が不可欠ですので、運動後にタンパク質(アミノ酸)を摂取することは、筋肉痛を軽減させる効果があると言われています。運動後の食事は肉や魚、卵・豆類などタンパク質を多く含むものを選んでとるようにしましょう。
■運動後には適切なクールダウンを行う……ストレッチや入浴等
運動後に適切なクールダウンを行うことで、全身の血流をよくすることができます。これにより毛細血管まで必要な酸素や栄養素が届くようになるため、筋線維のすばやい修復や痛み物質の除去につながります。ストレッチをして適切に筋肉を伸ばすことや軽くほぐして血流をよくすること、入浴時には湯船につかって身体全体を温めることなども筋肉痛の軽減に役立ちます。
運動後の適切なケアは翌日以降のコンディションに大きく影響します。つらい筋肉痛を少しでも軽くできるように運動とセルフケアは常にセットで行うようにしましょう。