集住して暮らすメリット マンションだから実現できる「暮らし」がある
マンションと戸建てを比較検討する上で、価格以外に留意したいのは、それぞれの居住形態から得られるベネフィット(便益)が異なる点です。竣工内覧会に最近参加した2物件を例に、マンションならではのメリットを紹介します。プラウドシティ大田六郷(野村不動産)は、東京都大田区西六郷住所地の京浜急行本線「雑色」駅徒歩10分の地に建つ総戸数632戸の大規模マンションです。敷地面積は、2万3574.74平米もありフォレスト街区、プラザ街区の5棟のマンションで構成されます。特徴的なのは、広い敷地とスケールメリットを活かしたランドスケープデザインと豊富な共用施設です。敷地内を歩くと、豊富な植栽に目がとまります。敷地内には、約2万本の樹木を植樹。サクラやモミジなどの四季折々の表情が居ながらにして楽しめます。こうした自然豊かな開放的なランドスケープデザインは、見晴らしや採光を住戸に届け住み心地にも好影響を与えます。
スケールメリットを活かした多彩な共用施設も「プラウドシティ大田六郷」の特徴です。豊富な植栽を借景にしたフォレストカフェや敷地内のミニショップ、大型コインランドリーなどを敷地内に設置。ボーネルンドがプロデュースしたキッズラウンジや認可保育所も併設(予定)。共働きや子育てファミリーにもうれしい施設が充実しています。
フォレストライブラリーには、青山ブックセンターが選定した7000冊もの本格的な蔵書やスタディコーナーも備えられていて、定期的にリユースする仕組みは、「成長する図書館」として2017年のグッドデザイン賞を受賞しています。さらに、子育てのワークショップやファミリーイベントの実施、BBQセットの貸し出しなどソフト面も充実しています。
2017年10月13日時点で、既に400戸超の住戸に申し込みが入るなど堅調な売れ行きを見せています。販売価格は、4000万円台から5000万円台中心で、多彩な施設やカーシェア、食配ステーションなどの多彩なサービスもありお買い得感があるようです。特に、4000万円台前半からのB棟の供給が中心となった今春以降の売れ行きが際立っています。ちなみに購入者の約7割は共働き層。会社員が約85%を占め20代16%、30代59%と若いファミリーが購入者の中心であり『安さ×資産性』を考えての購入が目立つようです。「プラウドシティ大田六郷」のように多彩な共用施設や充実のサービスは、戸建て住宅では得難い、マンションならではのメリット。戸建てよりもマンションを支持する人の大きな要因です。
マンションでないと得られない景色がある
「ザ・パークハウス 新宿御苑」(三菱地所レジデンス)は、東京メトロ丸の内線「新宿御苑前」駅徒歩1分の地に建つ地上14階地下1階建全52邸のマンションです。最大の特徴は、周囲約3.5km広さ約58万平米もの新宿御苑を一望できるロケーションを活かした商品企画です。屋上テラスから新宿御苑を見晴らすとその価値が実感できます。そこに広がるのは、駅徒歩1分の都心とは思えない海のような緑。見学会当日は、あいにくの雨でしたが、それでも素晴らしさは実感できました。ハイサッシュの上階リビングの窓に広がる圧倒的な緑量。高層階へと建物が伸びるマンションだからこそ実現できる空間です。
エントランスの窓は、新宿御苑に向けて大きく開かれ上質な空間を醸成。「取り込む、感じる、溶け込む」を設計コンセプトに、立地に相応しい仕上がりになっています。販売開始は、2016年5月。平均坪単価は570万円程度、最高価格は2億6900万円の設定にも関わらず販売開始からわずか3カ月程度で完売した要因は、立地ならではの商品企画が評価されてのものです。南青山、神宮前、西麻布など戸建ての高級住宅街も都心にはありますが、景色の面で勝る一戸建ては、早々出会えないでしょう。
あらためてマンションと戸建てを比較すると、マンションには貸しやすい住替えやすいといったメリットがあり、戸建てには将来の建て替えや改築のしやすさといった利点があり一概にどちらが優れているとは言い切れません。「したい暮らし」が何かによって、選択も変わってくるのではないでしょうか。また、価格トレンドは仕入れから供給のサイクルの早い戸建ての方が変化が出やすいもの。そう考えると、マンション価格も2018年は多少弱含むのかもしれません。一戸建てとマンションを並行して検討するのも良いとは思いますが、暮らしそのものに違いがあることは把握しておきましょう。